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【前編】トマトパスタと半生ポテトサラダと『青空娘』(連載予定(?)「映画とごはんとワンルーム」)

登場人物
・僕:22歳、会社員。裏の顔はヒヨッコ映画監督。お姉さんのことが好き。お姉さんからはワンワンと呼ばれている。そろそろ本名を忘れられたかもしれない。
・お姉さん:25歳、会社員。たぶん、僕のことよりお布団とごはんと映画が好き。僕からはお姉さんと呼ばれている。

本日の献立
・カプリチョーザをリスペクトしたトマトガーリックパスタ
・クリームチーズを混ぜたもったりポテトサラダ
・我が家のエース・キャロットラペ

今日の映画
:『青空娘』(脚本・白坂依志夫/監督・増村保造)

土曜日が来た。Saturday、Samedi、星期六。満員電車とブルーライトの日々に焦燥した僕たちが、水を得た魚のように飛び回るあの土曜日だ。

本日の献立と映画の解説に入る前に、まずはなぜ土曜日の食卓が最高になったのかを丁寧にお話しするべきだと思う。従って本作は前編と後編に分け、この前編では土曜日のプロと呼ばれてもおかしくない我々から最高の土曜日のススメでも語らせてもらおう。

土曜の朝は、二人で豪華な朝マックを食べるべし

とりあえず今日という日の成功の起因はここにあったと我々は推測している。
もちろん、成功の起因には、そのまた起因があるというのが世の中の常だ。昨晩、僕の制作していた映画の劇伴演奏をしてくれたチェリストの演奏会に、彼女と一緒にご招待してもらい、チェロ四重奏という普段なかなか出会わない音楽を楽しんだ。その後、閉店間際のカプリチョーザで久々の外食を楽しんで帰って、おうちについてからダラダラと僕らの未来について話をした(主に僕がお姉さんを好きすぎるということについてだけれど)。
この金晩の過ごし方こそ、成功の起因の起因と言えるだろう。僕らの土曜日はこうして、世界中に支えられて成立している。ありがとう、チェリストのかほちゃんと川崎のカプリチョーザ。

金曜の夜、我々ドラキュラは珍しく早く寝てしまい、土曜の朝は6時に目が覚めた。朝9:30から柏のキネマ旬報シアターで僕らの大好きな映画『エンパイア・オブ・ライト』が上映しているというので早々と家を出たのだけれど、駅前のマクドナルドで「朝マックか、エンパイアか」の二択に迫られた僕たちは「朝マックをしよう」と即決した。二度と映画好きなどと名乗らないでいただきたい。

しかし朝マックというのは1人で行くより2人で行く方がその恩恵を最大に享受できるというのも事実。それぞれがモーニング・セットを頼むだけでは終わらせない。僕らはマフィンのセットに加えて"ビッグ・ブレックファスト・デラックス"という、現存する全ての朝ごはんの中でおそらく一番強烈な名前を持つメニューを単品で注文する。
もしあなたが、先日の土曜の朝、マクドナルドのテーブル席で朝っぱらから愉快にホットケーキを切り分け、バターとたっぷりのメープルシロップをかけて、あまりの喜びに大笑いしている2人の寝起きさんを見かけていたのなら、それは間違いなく僕たちだろう。

右手にハッシュドポテト、左手にソーセージマフィンを持ち「ここが日本で一番アメリカ……!」と歓喜するお姉さんと一緒にあっさりと特盛ブレックファストを平らげ、僕らは少し早めに柏に向かう。

TSUTAYAに1時間滞在して中古のDVDを買い漁り、朝食から3時間もしないうちに腹が減った僕たちはカフェでレモンケーキを半分こする。今週衝撃を受けた作品『カランコエの花』についての話をしながら、なぜ皆に平等に人権が与えられないのかということについて考えて軽めに死にたくなっていると、目当ての映画まであと15分であることに気がつく。

そうしてキネマ旬報シアターへ。今回観たのは『郊外の鳥たち』。
ちょっと、あまりにも良すぎたのでここの感想は割愛。

かくして、映画を観終わりおうちに帰った僕らは、スーパーに行って今夜の映画に合わせた晩餐の準備にかかるのであった。

やはり最高の晩餐には、最高の休日が必要だということを、僕は今日やっと理解したのかもしれない(久しぶりに二人の休日がかぶって僕はとっても嬉しくて楽しかったのだ)。

つづく

お気づきの方も多いだろうが、お姉さんには口を滑らせてこのnoteの存在を言っちゃったし、
僕はお姉さんの絵が好きなのでサムネ担当はお姉さんになった。。


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