【ぶんぶくちゃいな】広州か杭州か:習近平新体制が選んだ中国第3の都市

NewsClipでピックアップした、「『4大トップ都市』記念切手から広州が落選」というニュースはちっぽけ(なよう)で、日本を含め海外のメディアが取り上げた様子はないものの、ピックアップした後もずっと気になっていた。

というのも、中国で「大都市」「トップ都市」といえば、中国人の頭にはすでに「北京、上海、広州」の3都市がインプットされている。そこに文脈と必要に応じて重慶(直轄市)や深圳(経済特区)などが加えられ、臨機応変に活用されることはあっても、「北上広」という短縮語があるくらい、この3都市の地位は過去ゆるいだことはなかった。

それが第19回中国共産党全国代表大会を記念して発行された記念切手で、広州がはずれ、北京、上海、深圳、杭州になったというのだから穏やかではない中国人は多かったはずだ。その「ショック」をごまかすためだろうか、WeChat上で配信された記事はその後削除され、メディアの公式ページでのみ読むことができるようになっている。

くだんの記念切手とは、額面1.2元(約20円)の切手2枚と同6元(約103円)の小型シート1枚がセットになった3枚組で、それぞれにテーマがあって切手2枚は「不忘初心」(初心忘れず)と「継続前進」(前進し続ける)、そして小型シートは「築夢」(夢を紡ぐ)を巡ってデザインされていた。

「不忘初心」(初心忘れず)

「継続前進」(前進し続ける)

「築夢」(夢を紡ぐ)

そのうち、「初心忘れず」切手には、主に共産党が政権を取るまでの歴史を象徴した、北京の天安門広場にある人民英雄記念碑、陝西省の革命聖地である延安にある宝塔山、北京の政府首脳が暮らす中南海入口になっている新華門、浙江省嘉興で開かれた共産党第1回会議の場となった南湖紅船などのモチーフが採用された。

また、「前進し続ける」では、高速鉄道「復興号」、国産大型航空機C919、太陽発電や風力発電所、そして今やアジア一の集積量になった港湾設備、国内中に伸びる高速道路などに加え、今年「一帯一路」サミットのメイン会場となった北京郊外の雁栖湖にある漢唐飛揚国際会議センターが描かれ、「今」の成就を思わせる。

そして問題になったのが、「夢を紡ぐ」の小型シートの図柄だった。そこには、天安門広場に残る「華表」(王宮に建てられる道標。却って「民の声を聞く」という象徴になった)、上海浦東の上海センターと金貿大廈、深圳の平安金融センターに、昨年杭州市で開かれたG20サミットメイン会場の杭州国際博覧センターの姿が描かれていた。

ここから先は

6,876字 / 2画像
この記事のみ ¥ 300

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。