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益田ミリ 永遠のおでかけ

昨日、SNSで見かけたのが、きっかけで読み始めた。
目に留まったわけは、表紙に描かれている女の人に、親近感を持ったから。

その時私は
何もやらなくても、しあわせな気分になりたかった。
何も価値をうまなくても、しあわせだと感じたかった。

早速、益田ミリ著をネット検索して、どの本がいいか考えたけれど、今読みたかったので本屋へ行った。
私の住む街には本屋が少なく、選択肢は少なかった。
たまたま本棚に飾られていた本がこれだった。
短編小説?エッセイ?
最初の短編を立ち読みし、買うことを決めた。

「叔父さん」

最初のお話は、叔父さんが死んじゃった時のことと、その思い出が綴られていた。私も今年の8月に叔母を亡くしたばかりだったからタイムリーすぎるお話で、天に居る叔母を含むご先祖様が「あなたが探している本はこれだよ」と教えてくれたみたいだった。

その日は帰宅後、読む時間が取れず、今朝2つ目の短編を読んだ。
コーヒーをドリップしながら読める短いお話。

「タクシーの中で」

この話はまるで、私の気持ちを文章にしてくれたみたいだった。
「あとになれば言葉を見つけ出せる。考え抜いた軽妙な切り返しが頭の中でぐるぐるしている。でも、その時の私は、えー、とか、うーん、という困った声を発するのがやっと。いつもそうだ。ことばが1時間ほど遅れてやってくるのである。」
ここを読んで私は(うん。そうそう、そうなのよ。私みたいな人が他にもいるんだ、うれしいな。)と頷いている。

「話術が世界をまわしている。この世を動かしているのは、巧みに話せる人なのだ。いつだってそうなのだ。映画ひとつにしても理路整然と語れる人の感想がその場の正解になっていく。そういう人は、たいてい引用がうまい。・・・・意見どうこうよりも、場を制するのが重要という考え方なのかもしれない。」
ここでも私は(おーわかる、わかる!)と相槌を打つ。

「いつか私も話術の達人になれるのだろうか?なりたいと、思う反面、なりたくない、とも思う。なりたくないのかよ!とひとりツッコミをしながら・・・」
そして、ここも思いっきり共感して笑っていた。

2018年に初版された本で、2021年2月に文庫化している。

何もやらなくても、しあわせな気分になりたくて、
何も価値をうまなくても、しあわせだと感じたいと思う私にピッタンコの本に出会った。

ご先祖様のいう通り。(感謝)




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