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母の老いを受け入れなくちゃ。

実家へ行ってきた。
母85歳、父85歳の二人暮らし。

母は認知症が始まっているかもしれない。
薄々感じていたが、今回は確信に近い。

その日は、私が作ったベーコンと白菜の煮物をつまみに、母と父と3人でお酒を飲みながら夕食の時間を過ごした。

そして次の朝、少し煮物が残っていた鍋は、キレイに洗ってあった。

私「残っていた煮物は?」
母「残ってなかったわ。」
私「残ってたよ。」
母「きれいに流して洗っちゃったわ。」

食べ物を大切にする母が、煮物を捨てるはずがないと私は思った。
そして冷蔵庫を探すとやっぱりだ。
ちゃんと煮物はタッパーに移され保管されていた。

私「とってあるじゃん。」
母「あらホント!」

母は(自分で煮物をタッパーに入れ、冷蔵庫へ保管した)という事実を全く憶えていなかった。
自分の行動を憶えていないということだ。

もし忘れていたのなら「あ、そうだった!」と思い出すことができる。
母は忘れたのではなくて、記憶がないのだ。
これは認知症のひとつの症状で、忘れっぽいのとは違う。
本人の行動を本人が記憶していない状態。

母は80歳まで、障害を持って生まれた姉の面倒を見てきた。
私が子供を産んだときには、姉と孫の面倒を笑顔で見てくれたし、美味しい料理を作ってくれた。
パワフルで明るく、気丈な人。それが私の母なのだ。

そして、今も
「あなたに負担がかかるから私は、お父さんと純子(私の姉)を残して先に死ねないのよ。」と話す母。
85歳の母が私を思いやってくれることが伝わってきて、涙が出ちゃう。

帰宅後、実家での出来事を夫に話すと、夫は「お母さん、認知症だな。」と言った。
私もそうかも知れないと思っている。
でも、夫にハッキリと言われたら、すごく腹が立って「違うよ!」と言いたくなった。

きっと私は、母の脳の老化を認めたくないのだ。

夫も私も介護の仕事を経験してきたから、大勢の認知症の方々と接してきた。認知症の進行は人それぞれで、ゆっくりの人、急速に進む人、様々だった。

この先、加速度的に進行をしていくかも?
そんなことを考えると、とにかく悲しい。

夕食が美味しくない。
なのに食べている。

いつものハイボールが美味しくない。
なのに2杯目を飲んでいる。

対処法を考えなきゃいけないのに
冷静になれない自分がいる。
困ってる自分がいる。

親が老化するのは自然なこと。
老化すれば、体や脳に不具合がでるのは当たり前のこと。
どうして受け入れられないのだろう…。

一晩寝たら心が少し落ち着いていた。
そして決めたことがある。

それは次の3つ。
・毎日LINEをする
・3日に1度は電話をする
・我が家に泊まりに来るように頼んでみる

私の小さな行動が、母の認知症の進行を食い止めるお薬になると信じよう。

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