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MONSTERが産まれるまで4〜絶望から化けたMV〜

ついに、この日が来た。

日付変わって昨日、1月28日(金)17時、渾身の新曲「MONSTER」のMVが公開された。既に見ていただいた人には感謝。まだの方は、まずはご覧いただきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=RJJRSG_yscY

作詞・作曲・ミックス:鈴木何某
マスタリング:Flehmann

監督・編集:森田剛一
スタイリング&メイクアドバイザー:石渡チカ
ロケーションアドバイザー:万太郎
プロデューサー:近藤渉

MV制作秘話

音源を完成させた半月後、俺は雪が残る寒空の下、パンクな女性とバールを持った男性に監視されながら、高身長のカメラマンの前で本作を口ずさんでいた。

予算があわない

友人にMVの相談をする前に、実は身近なクリエイターと繋いでくれるマッチングサイトでカメラマンの募集をかけていた。今まで自分がMVを作ってきた感覚で、これだけ予算をかければとんでもないものが出来るだろう張り切っていたのだが、結果は「マッチング0」。理由は、求めているクオリティに対して予算が全く合わないということだった。

その後相談した友人を通じて別のカメラマンの方に話を聞くと、俺の提示した予算の20倍の金額がかえってきたのだ。

絶望した。ありえないと思ったが、それが映像の世界の常識だということも認識した。やはりプロによる実写MVの制作は、事務所やレーベルを味方につけない限り不可能なのだ。

それでも友人は諦めず、知り合いに総当りしてくれていた。無理だろうと笑ったが、本当は死ぬほど嬉しかった。20年も音楽を続けてきたにも関わらずうだつのあがらないアマチュアミュージシャンに、何故そんなにも本気になれるのか。信じてくれているやつが隣にいるのに、どうして俺はそれを鼻で笑っているのだろうか。

本音がない上に、人情さえ感じられなくなってしまったら、生きてる意味さえ失ってしまう。俺も自分の知り合いをあたろうと思ったが、自分の醜さを鮮明に伝えてくれそうなカメラマンは一人しか思い当たらなかった。それが本作の監督、森田剛一氏である。

森田監督との出会い

「いいよー」二つ返事だった。予算は変えていない。本作にかける思いを長文にして送りつけ、まさに崖っぷちの精神状態で待っていたにも関わらず、驚くほどシンプルなOKサインをメールで受信した。

森田監督とは、俺がソロ活動を初めて半年が経った頃、宣材写真が撮りたいと思い、先のマッチングサイトで知り合った。いわゆる町の写真屋さんにお願いしたつもりであったが、店内に貼り出された写真はロックなモノトーンの渋い作品ばかりで驚いた記憶がある。

本作の監督を引き受けてくれたのも、俺がロックミュージシャンだからという理由で、普通ならそんな金額じゃ受けないよと言っていた。「自分だから」という特別感に俺という人間は悦に入った節もあるが、いつまでも喜びに浸っているわけには行かず友人と三人で打ち合わせを開始した。

ひと通り本作の世界観を伝えたところで、森田監督から紹介したい人がいると連絡があった。本作の音源を聴いてもらったところ、いたく気に入ってくれたらしく、すぐにでも連絡がとりたいと言ってくれたそうだ。

LINEで繋がったその日、2時間近く電話し、その人がとんでもない人だということを知ることになる。

スタイリング&メイクアドバイザー石渡チカ氏との出会い

「何某さんてさー、何某さんてさー、いいよ!君いいよー」のっけからテンションMAXのこの女性のことは、普段ヘアメイクをされているという森田監督からの少ない情報しか知らない。先ほどから褒めちぎられているが、一体何者なのか全くわからない。

一時間ほど話したところで、意を決して過去の経歴を聞いてみた。するとどうだろう、誰もが知っているような国内外のミュージシャンや、ロック雑誌の表紙のヘアメイクの経歴が出るわ出るわのお祭り騒ぎだった。

アーティスト名が出るたびに萎縮していく様子を感じ取ったのか、チカさんは本作の話に戻す。そして、真剣な声で言う。

「何某さん、君にヘアメイクは必要ない。普段通りが、君の最強。」

本作の詩やサウンドを聴き、1時間という短い時間の何気ない会話から出した答え。それが「何もしない」ということだった。ヘアメイクをしない代わりに、全身のコーディネートを引き受けてくださるそうで、その後チカさんを含めた4人のチームが発足し、打ち合わせは繰り返された。

※タイムリーにこの記事を書いてる時にチカさんから「明日MV公開されたらインスタあげるねー!」とLINEがきた。チカさん、もう公開されています。。。

鏡の中の真偽

撮影日当日、先日降った雪がまだ残る千葉県某所。森田監督の運転する車の助手席に乗って、千葉の撮影地に向かっていた。

森田監督の掲げた裏テーマ「鏡の中の真偽」は、自画像的な本作の特徴を重んじ、自分自身と向き合うこと、鏡の中の自分と接触することを意味する。

実は撮影日当日まで予算のこともあり、「ワンカットMV」を想定していたのだが、偶然にも撮影日当日にその裏テーマに見合うロケーションが多数見つかったため、複数のカットが積み重ねられた作品になった。このあたりは廃墟が多く、サビとカビだらけのドア、鏡、窓など本作にピッタリと合う魅力的な場所だった。

ロケ地でチカさんと合流したとき、知らない男性が現れた。この土地に詳しい案内人、万太郎さんだ。手に持ったバール、修羅場をくぐり抜けてきた人が魅せる笑顔、隠せぬ眼力。実は本当に優しい方で、終始フランクな会話で一行を楽しませてくれた。なぜバールを持っているのかは、最後まで聞くことができなかった。

その後和やかな雰囲気で撮影がはじまり、あっという間に日は落ち撮影終了。

その後チームで意見を出し合いながら修正を重ねる。ここのカットはこの方が良い、このカットはコンマ数秒短く。もっとこうしたほうが…

日夜森田さんの好意に甘えながら妥協なき修正を重ね、無事本作のMVを完成させるに至った。

予算が無い。

そこからスタートしたMV作りが、人と手を繋ぎ、月並みだが力を合わせることで、俺の楽曲の熱量を伝える力あるMVに「化けた」。そう、実感した。

次回は、本作の歌詞とマスタリング、宣伝などの話が綴ってみようと思う。


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