(前回 【PTA回想録(11)】「必要なこと」を見つけて形にする―通学路雪かきの協力呼びかけ― より続く...)
PTA会長1年目は,前回までにご紹介したように,活動方針をリニューアルし,放課後の過ごし方アンケートを実施し,大雪時の通学路除雪の呼びかけまでやってみました.基本的には,最悪,自分一人でできる程度の作業量で会全体を補強し,特に「会の社会的使命を果たす」部分に特化して取り組んでいたように思います.抜本的なことをやってやれないこともなかったのですが,PTAは数年が経過した後に自分が去る日がやってくるので,会の活動の骨格部分をうまく維持しながら,最小限の補強で次の人に渡すことで,後の人の負担を減らそう,と思っていました.
何とか会長1年目を乗り切り,2年目に突入するところで,運悪く(?),区のPTA連合会の副会長が回ってくることがわかりました.なんと,副会長は市のPTA連合会の理事も兼ねるとのことでした.会議は増えますが,どんな人がどんなことをやっているのかな?という好奇心もあって,ひとまず会合に行ってみることにしました.
まず最初に足を運んだのが,区のPTA連合会の理事会でした.年間の活動計画や予決算のような「お決まり」の話をしたのち,会長を務める中学校のPTA会長さんが「せっかくの機会なので,何かありますか?」と発言されました.そこで私は,こんなことを発言してみたのです.
「コロナ禍も長期化してきて,学校や先生方もご苦労されていると思います.もうじき区P連の総会があって,各学校のPTA会長さんがお集まりなので,各学校でPTAから学校へ,感謝と労いのメッセージを出すことを呼びかけてはどうでしょうか.私は昨年お手紙を書いて校長先生にお渡ししましたが,先生方に好意的に受け止めていただけましたよ.」
その後,その場ではいくつか発言がありましたが,もろ手を挙げて賛成,というよりは,困惑している様子だったように記憶しています.今考えてみれば,PTA会長さんと言っても,普段からたくさん文章を書いている方ばかりでもなく,いきなり言われて困惑しても当然でしょう.一方で,良いことをやっていると信じている私は,「きっと賛同してくれる」という甘い観測もあったので,軽い失望感からあれこれ余計なことを言ってしまいました.もう「後の祭り」です.会合がおわり,各校から来ていた先生方にその場でお礼を言われ,宥められたことを思い出します.区P連の総会は所用で欠席しましたが,会長さんから呼びかけがあったように後日聞きました.
その後,区の代表として,市のPTA連合会の会合に出席することになりました.市P連では理事という立場だったので,年数回の理事会と行事への出席が求められます.出席してみてわかったのは,市のPTA組織でなすべきことは多岐にわたるものの,その活動を担う人たちは各校のPTA会長を兼ねていて,市や区のPTA連合会のことだけにリソースを割けない,という現実でした.現状,PTAに対する社会からの批判もあって,各学校のPTAでは会の運営に困難さを感じることが多くなってしまい,市の連合会ではそちらの課題を克服できるような情報提供や,各校PTA間の意見交換の場の創出のほうに先に手を付けざるを得ない,ように見えました.私個人は「(各校PTAを取りまとめる)この組織の本来の役割に目を向けていかないと,この先が危うくなる」と感じ,ちょっと前のめりになってしまっていました.こちらも警戒心しか持たれず,今となっては反省する点の一つです.
市のPTA連合会では,各学校のPTAを取り巻く課題を考え,活動を企画・実施する部会に参加することになり,参加者とあれこれ意見交換することになりました.そこでの話し合いでも,どうしても会の運営を円滑に進めるための方策に関する話が中心となります.話を聞いていて,PTA会長さんとはいえ,同じ保護者であるにも関わらず,会員である保護者の不満や批判を小さくするために苦労していることに,不条理さと同情を感じ始めていました.そこで私は,少しでもヒントになれば,と思い,自分の頭の中を整理した成果をまとめて,次の集まりの時に皆さんに提示することにしたのです.
このメモは,現状のPTAで課題と感じることや,将来を見据えて考えた方が良いことをまとめたものです.これを示したことが,善意でPTA会長を務めている皆さんのためになったかどうかは,正直言って今でもよくわかりません.リストアップしたものの中には,例えば(7)のように,非常に難易度が高く,そう簡単に実現できないと思われることも含まれています.一方で,上述の論点以外にも,交通安全や防犯、子どもたちの健康のように,時代の変化によらず重要な課題もたくさんあるでしょう.ただ,自分にとっては,これらをすべて網羅する活動が成し遂げられるかどうかは脇に置いて,このメモができたことで自分自身で考えていることが単なる思い付きではなくなり,このメモを使ってともに活動に時間を割いてくれる方に「私が考えていること」を伝えることができるようになりました.その意味で有用なものとなったと感じています.
(次回 【PTA回想録(13)】子どもたちを応援する活動を創る―「わたしの好きなこと・興味のあること展」の思い出(その1・企画編)― に続く...)