気に入ってた服が燃えた話

手元から白い羽毛が宙を舞って落ちた。天使がいるようなロマンチックな瞬間だけど、ユニクロのライトダウンが破れていたのが現実だった。調理中に燃えたらしく、ライトダウンから次の羽毛が顔をのぞかせていた。


軽くて薄くてあったかくて一年中着ていた。だけど、ダウン特有のデザインが昔から苦手で、着るたびに守りに入る気持ちになった。

手放すにはちょうどいい時がきた。


ちょっとのお気に入りに囲まれた暮らしがいい。人間の脳みそが機能や情報を、どれだけ手に入れても10%しか使わないのと一緒で、不安になって揃えても、使わないから必要なかったのだ。

「まだ使える」と物を大切にしたい良心が誘い、長く使うのも悪くはない。だったら、欠けてしまった物として仕方なく存在させるのではなく、お気に入りとして昇華させて側に置いていたい。


手放すとは無くなるんじゃなくて、自分に必要な物として返っていく。本来の自分に帰る過程みたいだなあ、と床に置かれたライトダウンを見て思った。

#日記 #エッセイ #コラム




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