マガジンのカバー画像

とうめいな観点からみたひかりの平行

8
詩(2021-)
運営しているクリエイター

記事一覧

「春眠」

どれくらい心地よい眠りを ぼくは感じられるだろう はるか遠い昔の方から さざめく葦の群れが…

「光景」

ぼやけた光の粒が形になり 生乾きの星をぶつけたら 柔らかく、すこし冷たくて 息を攫う 汗が、…

「灰」

微睡みに解ける体温や 電灯の色が気になって さりげない言葉を握る こんなできたばかりの心に…

「雨降りの音楽祭」

凍れた砂糖たちが 雨の体温について語り始める 夕暮れの吹き溜り 翳りゆく虹 白い息の向うに…

「熱」

風があり 熱が解け、流れ出す 空に向かって 凍った気泡らが東の方に消えていく それは私のも…

「月」

月が自由に空を揺れても いいじゃない きりのない位置を渡すから せめぎ合う風のあわいに 花…

「ハート」

眠ってる ハートは今も ハミングしてる きみが好きだと思ったら 作りかけた言語で空を訳そう 眠ってる ハートは今も 昔も形ない 瞼を少し擦って 配られたプリントの墓地を作ろう

「冬」

この冬の寒さが水色になる 乾いた空気がひとりでに燃えそうだ ベージュ色の中型犬が柱の影を…