中明 和聖 Wasato Nakaaki

こんにちは。書いた詩をここに置いています。のんびりやっています。1996年生まれ、札幌…

中明 和聖 Wasato Nakaaki

こんにちは。書いた詩をここに置いています。のんびりやっています。1996年生まれ、札幌南高校卒、東北大学文学部卒。エンジニア。Here is a room a poet writes poems in Japanese. 世界という現象を開かれた言葉で表現したいと思っています。

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最近の記事

「風景」

ぼやけた光の粒が形になり 生乾きの星をぶつけたら 柔らかく、すこし冷たくて 息を攫う 汗が、風が、私たちになる 手を伸ばして触れることが できてよかった 空の震えが伝わるように 結露した記憶を拭う 色が、時が、自由になる

    • 「灰」

      微睡みに解ける体温や 電灯の色が気になって さりげない言葉を握る こんなできたばかりの心にも 銀色の灰が付着して 朝の風が攫ったな きっと手を翳すように容易く 明日もまた同じだろか 窓に滲む記憶のなか 海に還る魚のように きりのない夢を知る こんな皺がれた心にも 銀色の灰が付着して 風が振り撒く 寂しい景色を見た

      • 「雨降りの音楽祭」

        凍れた砂糖たちが 雨の体温について語り始める 夕暮れの吹き溜り 翳りゆく虹 白い息の向うに思うことがある 傘に伝う音の形 わかるような わかるような わからない話を聴いていよう 静かに繰り返す言葉のような 明かりがさらさら 木陰に散っていく

        • 「熱」

          風があり 熱が解け、流れ出す 空に向かって 凍った気泡らが東の方に消えていく それは私のもの 破れた色が新たな色誘い きらきらと揺る 窓越しに触れて それだけが知る 月割れるように熱が解ける そっと触れて それだけが知る

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          32本
        • とうめいな観点からみたひかりの平行
          6本
        • 変遷
          11本
        • きこえる
          10本
        • 5本

        記事

          「星」

          星に名前をつけたなら それはもう自ずとひかる 星に光をやったなら それは自ずと空を留める 星が見えなくなったなら それは自ずの中に在る

          「恋」

          その声のかけらが嵐となって 私の季節を塗り変える どんな道も羽根も植物も 紙のように剥がれ落ち 高鳴る胸の、生命の根源的な予感する 仮初めに満ち満ちた うつくしいひとよ! 舞い散る木葉らが 露わな肌色の光吸う いま 目蓋の裏を熱くて透明な雫垂る

          「ハート」

          眠ってる ハートは今も ハミングしてる きみが好きだと思ったら 作りかけた言語で空を訳そう 眠ってる ハートは今も 昔も形ない 瞼を少し擦って 配られたプリントの墓地を作ろう

          「魔法」

          空が燃えるような光の色を どこかで知った もしもそれが魔法なら 今日もきっとそうだろう 水に映った電車のように 記憶は過ぎ去っていく もしもそれが魔法なら 明日もきっとそうだろう

          「変遷」

          空はゆっくり、ゆっくりと ピンク色に燃え上がり まるで糸で吊るしたように 鳥が旋回している 時折り夕が頬を伝う 下げ忘れた温度について 思い出すように 味噌汁をとく 神が窓を開け 匂いを混ぜる 誰かが世にふれた音(ね)に きみがはっと気づく 人はゆっくり、ゆっくりとその影に 成り代わっている

          「Otherside」

          鳥の裏声 透き通る 淡い海に続く道 いつか誰かに会える道 湿った風が髪の毛を撫でつける かわいい貝の抜け殻よ 散ることのできない桜のような 微かな気持ちを拭い取る どこか向こうへ いつか誰かが通る道

          「冬」

          この冬の寒さが水色になる 乾いた空気がひとりでに燃えそうだ ベージュ色の中型犬が柱の影をくり抜いて うっすらと眩しい路傍の線 指先の感触がぬるい心に変わる あの日の朝のカーテンを留める どうしてかひかってた

          「話」

          海の中で雨は降るだろうか 傘は要るだろうかと思う 町を循環するバスが たえまない輝点を放つ 捻じ曲がる光が示す 辺りにきみはいるとして どんな話をしよう どんなくだらない話を

          「White Branches」

          一人今日もふしぎな小径で休んでる 古い土の固まった長閑な場所さ 秋は優しく空っぽだ まるで脱ぎ捨てた上着のように温かい 遠い記憶の匂いを嗅いで 落ち葉の色で気持ちを塗った そうしてぼくは晴れた日の 雷の様な白色で世界を割った

          「Somewhere like now」

          風を握れないかしらと いう側からすり抜けた 指を冷やす透明の流れが 足りない線で形を掬ぶ 手のひらに残された砂粒の ざらついた音

          「Somewhere like now」

          「ニュータウン」

          卸したてのバスターミナルには緑咲き 風がシャツを透過していく (ニュータウン あさましい輝きに魅せられて) 梅の花から雫が垂れて 薄い染みになる 雨が排水される過程だ (ニュータウン 認めたる君達に魅せられて)

          「ニュータウン」

          「嵐」

          春のちいさな嵐が照らす わたくしの町 色んな思いを残してく それでも振るのは人の袖 春のちいさなわたくしは 今もまだよく生きて 色んな匂いを忘れてく それでも見るのは人の夢