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村上春樹風にご飯食べたかっただけなんです。

やれやれ使いすぎですよね。やれやれ。
よりそれっぽい村上春樹構文を思いついた方は教えてください。

僕はトンカツを食べながら、隣に座っている客に目をやった。二人組の女性客で、ひとりは群青色のレースの着いた服を着ていた。もうひとりは、市内シルバーランニングのメンバーみたいな薄紫のシャツを着ていた。どちらも歳は五十代といったところだろうか。

 僕がトンカツの最後の一切れ(いちばんソースがよくかかっているやつをとっておいた)を頬張ろうとしたとき、女性客の料理が運ばれてきた。よく熱された鉄板にキャベツの千切りが敷いてあって、その上にトンカツが数切れ乗っていた。

 先刻調理場の方に戻って行った店員が、小さな壺のようなものを持って戻ってきた。よく見るとそれは僕のトンカツに味噌をかけるときに使っていたものと同じようだった。

 店員が壺の味噌を鉄板にかけるジュワーという音が聞こえ、それと同時に、僕の座席の方に向かって、白い水蒸気が吹いてきた。ものすごくいい匂いがした。先程食べ終えたばかりのトンカツの最後の一切れのことを思い、僕は「やれやれ」と呟きながら勘定を払った。

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