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父親

20年前にガンで死んだ親父との思い出は、
日常的な事はあまりない。

ただ母親の実家近くの漁港で海釣りをした時、買ってくれた100%のオレンジジュースやチョコレート、エサのイソメの気持ち悪さだけ鮮明に覚えている。

物静かで感情をあらわにしない親父だった。

小学生の時に入っていた少年野球、
私が卒業しても20年以上そのままコーチをやっていた。

そして歌が上手かった。

親父の葬式の時、少年野球の卒業生や子ども達がみんな来てくれて私たち家族はびっくりしてた。

余命があまりなく、最後の旅行に行った。温泉地で混浴だった。
親父と二人で入っていると、脱衣所から女性の声がしたので、二人で「どうぞ〜」と声を掛けた。
結局入って来なかったので、二人でなんだよ〜と言って笑った。

私が好きな斉藤和義の曲で、ぐっとくる歌詞がある。

「いつかの別れが僕らにきても、それは特別意味などないって

この世界がゆっくり教えてくれた
大切なのは、はじまりなんだって」

いつかどこかにあったであろう「はじまり」から命が繋がり今ここにいて、それが花火のように一瞬であっても、鮮やかなに周囲を照らせる事ができれば、それは幸せな人生だなと思う。

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