どうしようもない群れ

5月7日
最近、お店や電車、そういった場所で声が大きいのは、子どもや女子高生ではなく、おばさんとおばあさん、これは確実に耳が遠くなっているからなんだろう。でも子供や女子高生は、自分の活動時間帯では遭遇することがないからかもしれない。
           
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「はだしのゲン」を教科書に載せる載せないで、色々と揉めてるけど、結局、揉める理由は、子供たちにどういった洗脳をほどこしたいか、という各大人たちの思惑であって、「はだしのゲン」を自虐史観だという、歴史認識の浅い馬鹿な人は大人とも思えないが、歴史はすべからく自虐であるべきだし、そうじゃないと歴史を学ぶ意味がない。
なにも進歩しない。
歴史の輝かしい部分だけを抽出し、悦にいるのは、あまりにもグロテスクな大人ではないか。

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ソクーロフ監督の新作「独裁者たちのとき」を観る。面白い。20世紀の権力者4人が、あの世とこの世の間で彷徨っている。
彼らが喋る言葉は、実際の彼らが生前に語っていた言葉などをベースにしているらしい。
でも、その言葉たちはほとんど単なる罵詈雑言。世迷い事。
なんでこんなジジイたちに、民衆は力を与え、数百万人も死んでいったのか。
訳わからないし、なんだか馬鹿馬鹿しすぎて笑えるし、使われている映像が実際のアーカイブ映像が元になっているから、どこかずっとグロテスク。
こんなにタチの悪い映画を作れるのはすごい。

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結婚や出産で社会の規範と違う行動をとる人たちに対しては、まだまだ世の人は拒否感を表明する。
それも部落差別とかと一緒で、なんか違うことしてる人が怖いんだろう、群れの安定が脅かされる、そんな気分になるんだろう。
Netflix「チンパンジーの帝国」を観て以来、なんとも人間社会がチンパンジーの群れに思えて仕方ないが、根本的にはあんまり変わらないだろう。
個々が弱いから群れる、群れて力を合わせる。その時に、足並みを揃えない奴がいると群れにとって不利益である。チンパンジーの群れでは、足並みを揃えないと、群れでとった獲物が貰えなかったり、最終的には他の群れの餌食になったりする。
だから、足並みを揃えられて、なんならそのなかでも優位なオスであることが、いい生活と子孫を残せる確率が上がる。
まあ、いわゆる部族社会と一緒だ。
族の掟と上下関係を守ることが大勢の安全につながる。歴史上、長い間、社会の根本的なありかただったと思う。
それが、21世紀の人類はある程度、群れなくても、個々人が好きな生き方をしても死ななくなった。
それでもやはり群れていなくてはいけないという規範は実に強固なもので、なるべく多くの人と違う行動はとらない。
特に、日本人はそれが強固だし、それが良しとされる。
だから、コムアイさんのように、こども作っておいて、別に結婚しないけど、アマゾンで出産してみたいから、そしてそれを映像に撮るからお金を集めたい、っていうのは分かりやすく社会の規範から外れ、なおかつクラファンという現代社会のいい所どりをしている、としてまあ、叩かれやすい。
こういう試みこそ、おもしろそうだ、と後押しをするのが、現代社会の新しいありようだと思うけど、そうはならないのが、島国日本のかわらない心根なんだろう。
(でもクラファンは成功したみたいでよかった)

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Netflixで、「アナイアレーション」を、観ながら主人公がナタリーポートマンに似てるなぁ、と思いながら観てたら、ナタリーポートマンだった。
似てるけど、なんだか本人とは確信できぬままに最後まで観ていたんだけど。それはそれでいい。

5月10日
入管改正案が自公で通ったようだけど、その内容が全然ひどいんだけど、一体全体になんなんだろう。
「牛久」という映画を観たので分かるけれど、日本の入管は人権侵害も甚だしく、そもそも難民を国にいれたくないだけ。 
なんでいれたくないの?
とにかくそれが分からない。結局「島国、全員日本人だよね、みんな同じだよね」っていう安心感が揺らぐのがイヤなんだろう。
こんだけ、モノや労働力を海外に頼って、自給率はおそろしく低いのに、なにを言っているのか。
そして、難民の方たちは祖国になんらかの問題があるから来たわけで、そこに意地でも送り返そう、それが出来なければ収容しておこう、たまに外に出しても就労も禁止にしておこうって、意味わからないよ。

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のっぽさんが去年、亡くなっていたとのことだけど、その昔、のっぽさんのステージを観に行かせてもらって、そこで喋っていてビックリしたのをよく覚えている。
そういうのっぽさんのステージなど、小さなころ、毎月一回ぐらい、劇などをみせてくれる「こども劇場」って家族内ではいっていたけど、あれはどういう団体だったんだろうな。

5月11日
岸田さんがTIME誌上で「日本を軍事大国に変えようとしてる」と書かれたみたいだけど、そりゃ諸外国からみたら、そもそも日本はナチスと同じようなファシズム国家という印象だろうから、軍備に力をいれようものなら、ってことはあるだろうと思う。
また「誤解があるなら真摯に全力で説明を続けていく」とかいつものごとく適当なことを言い続けるつもりなんだろうけど。

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「統合失調症の一族」を読んでいる。
そもそもキリスト教的な教えかなんなのか知らないけれど、12人も子供を産むのはすごい。
そして、その10人までが男子。女子は2人。
大きくなるにつれて争いの絶えなくなる男兄弟。思春期には次々発病していく。最終的には6人。

毎週ミサに行くような家であるにも関わらず、子供たちは色々な薬物やアルコールには手を出すし、兄は妹に性暴力をふるい続けるし、なんだかそもそもどうしょうもない気もする。母も小さな頃に継父に性暴力を受けていたと出てくる。
そして、家族と仲の良かった聖職者によって子供たちは性暴力を受けていたのではという濃厚な疑惑。
夫の浮気。どうにもこうにも、一体全体、どうなってんだ、ってことと、いかに家庭内における女性への暴力が多いか、ってことかもしれない。
発症にはたしかに、遺伝的な何かがあるのだとは思うけれど、やはり環境からのストレスや事故が、トリガーになっているのではないだろうか。


5月12日
ふと、先々のスケジュールから逆算して収入を考えたりすると、唐突に不安になったりするけど、そんなことあんまり意味もないんだけど。
この先も、人生やっていけるかな、とおもうわけで。

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それにしても、ここにきてジャニーさんの性暴力が次々に実名告発されてきたのは、ジャニーズが弱体化したからなんだろうけど、一番驚くのはわりと老齢になるまで若い子に手を出していることで、人間の業の深さに恐れ慄く。
フィジカルには、肉体的には老人なのに、権力があるとされ、若い子を意のままにする。このこと自体が、生き物としては歪で。普通に考えれば、老いたら若者から駆逐されるのが、生き物の健全なあり方で、人間社会はとても歪んでいる。
なぜか、老いさらばえた醜い老人を奉ったりする。
まあ、老人は老人になるまでに、周囲の人間や世の中を洗脳してきているので、実際には単なる老人でも、あたかもなにか特殊なチカラがあるように、みんな思ってしまっているのだ。
単なる死にかけなのに。
本当は、ヤツが性加害を始めた段階で、すぐさま訴えればよかったというのが、シンプルなんだけどな、生き物としては。
衰えたらボスの座を若いものにとられるチンパンジーの群れはそんな感じだった。たしかに、普通はそうだよな。若者はどんどん老人を駆逐するのがいいと思う。

自分も含め、今度は皆がジャニーズを叩きだし、所属のタレントさんたちもディスられているのは、グロテスク。


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マスクは個人の判断で、とか、5類になったことでコロナ禍は終わったみたいに思っている人は多いと思うけど、どれだけの人がちゃんとした現状認識をして、自分の認識で動いているのか、分からない。
結局のところ、すべて「なんとなく」にまかせているような気がする。原発事故も結局、「なんとなく」危ない!から、今や忘れ去られている。
すべてが「なんとなく」なのではないかという気がして仕方ない。
個人が出来る現状認識の正確な把握には、おのずと限界があるし、物理的な正解もあり得ないから、結果的にある程度「なんとなく」にならざるを得ないところはあるけど、やはりこの「なんとなく」はどうにも無責任な空気がある。
「なんとなく」の今の空気にあわせていく。その結果、誰も責任を感じない。とらない。
それが、群れや社会で生きる、どうしようもなさなんだろうから、モヤモヤするけど仕方ないのかもしれない。
個人的にはそれこそ、なんとなくだけど、危険だ!と言われる時には、その危険を疑い、安全だ!と言われる時には、その安全を疑い、常に疑う姿勢でいるのがいい気もするが、それが進むと陰謀論者や危険厨みたいなことにもなるし、バランスよくいるのは難しい。

5月15日
ここ数日、雨だからなのか、そこはかとなく頭痛と身体重い。雨のせいにしておけばいい。

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「樋口一葉赤貧日記」を読んでいて、兄と父親の相次ぐ死で、一気に生活が傾いていく雰囲気というものが、人ごとでなくこわい。
明治というものが、それまでの家や村単位で支え合ってきたものを壊し、人々の間で貨幣が強く力を持っていく時代で、一葉の父も山梨の村から江戸東京に出てきて、金で士族の身分を買い、そして期せずして幕府が崩壊して苦労を強いられる。それでも、かなり頑張って、そして亡くなった。
まだ、読み途中だから、この先、どうなっていくのか、一葉家族。

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渋谷の「喜楽」で、ワンタン麺と餃子を食べた。ヘビィだ。年齢をもっと考えよう。

5月16日
ジョンウィックシリーズを遅ればせながら観ている。
パート2で出てきて、ジョンを困らせる誓印っていうのは、いまいちどういうことなのか分からない。
まあでもそんなこと関係なく、わりとただただ無心にドンパチし続ける感じが面白い。

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