北関東「移民」アンダーグラウンド



技能実習生制度自体は1993年からあるらしい。昔は、中国から多くの人がきていた。しかし、この20年あまりで経済成長を果たした中国からは、観光にはきても実習生はこない。今は、多くがベトナムの人らしい。
日本に住んでいる身からすると、日本に来て働いて、そんなにいいことがあるはずもないとは思うけど、来日する多くの人は貧しい地域で教育もさほど受けていない。騙され借金を背負わされ、マイナスの状態で来日し、技能とは名ばかりの過酷な低賃金単純労働を担わされる。
まず、この国が掲げる技能実習生という、一次産業救済のための欺瞞に満ちた制度設計が悪魔的である。彼らは、仕事場から逃走し、身を隠し非合法な行為に堕ちていく、その端緒を作っているのは紛れもなく日本国政府である。
すでに、30年この制度が続いていて、その間、ますます生活の根本であるはずの一次産業は担い手が減っている。そもそも少子化で年々エグいほど日本人は減っている。
きっと、産業を維持するには、なんらかの移民政策はやめられないのだろう。
それならば、もっと高待遇を!と思うけど、日本人すらまともに暮らせない、国全体の困窮を考えれば、根本的にムリのある状況だと思う。
そうなってくれば、向かう先は、混沌であることは社会の力学上、仕方ない。目先のきく者、頭のまわる者が、合法非合法に関わらず、のしていくだろう。
本では、おもに事件をとりあげているので、実習先から逃げ出し、漂流しながら、不安定な生活を続けるなかで、事故や殺人をおこす人がいることが書かれている。
無免許での車の運転が横行しているのは、単純に怖い。
終わりのほうに出てくる大阪西成の中国やベトナムのカラオケ居酒屋の隆盛は、今年、大阪に行ったときに実際に目にしていた。ズラッと同じようなお店が並び、カラオケが鳴っている。不思議な空間だった。
もう、そこが日本なのかなんなのか。
各地方、色々なところで、海外から働きに来た人たちは、生活の利便性もあり、集積し暮らしているだろう。そして、そこはおのずと治外法権めいた世界になるのは、仕方ない。
それを、日本国は後手後手で、取り締まるばかりになるのか、ちゃんと法整備も含め、実習制度、入管制度、アップデートできるのか。グズグスとしている間に、事故や事件だけが増え、日本人と移民間に知らぬ間に異避観だけが、拡がって、取り返しのつかない空気になることだけは、さけたい。

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