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下北山村は、手つかずの自然の一部を借りて丁寧に暮らせる村だと思う(家族移住体験:奈良県下北山村#1)

今回は奈良県吉野郡下北山村へ。

オンラインかリアルかじゃなく、オンラインを挟んでからのリアルの良さ

一昨年から縁をもらって一緒にお仕事をさせていただくことが増えてきた奈良県。
1月~3月にかけて「奥大和サスティナブルデザインスクール」がオンラインで開催されるという告知を見た時に「オンラインだし気軽に夫婦で参加してみようか」と思ったことがきっかけで、今実際に奥大和の奈良県吉野郡下北山村に来ている。

オンラインだからこそ離れた場所や人と気軽に繋がれるわけで、オンラインは気軽でいいなぁと思っていたけれど、リアルでも意外と気軽に行けるものだと今は思う。

そう思わせてくれたのはオンラインを挟んだおかげなわけだから、「結局はリアルが一番だよね」とかでもなくて、いや実際そうなのだけど、でもどっちがベストとかじゃなくて「オンラインを挟んでからのリアルの良さ」ってものなのかなぁと思いながら書いている。

8時間半の移動時間も楽しんでさえいれば無駄じゃない

といってももちろんビューンパッと行けちゃうわけでもなく。
23時に千葉を出発して、奈良県に到着したのは休憩や仮眠を挟みつつの朝7時半。

移動時間ってどこか無駄なもののように思っていたけれど、今回はこの8時間半が既に楽しかった。
いつも通り夜逃げのような荷物を車に乗せ、高速道路を走り、疲れたら休憩をして、大きい車がほしいとか、朝と夜はまだこんなに寒いんだとか、毛布持ってくればよかったね、などと言いながら伸びをしたり。
愛知県あたりでサイドミラーに朝日が昇り、朝日なんて見たのはいつ以来だろうなんて思いながらその眩しさにワクワクして、家から持ってきた熱いコーヒーを飲んで「お、なかなかおしゃれだな」と思った直後に朝一番のブラックコーヒーに胃がやられて、やはり白湯だよね、と思ったり。

サイドミラーの汚れはさておき、朝日が綺麗

そうこうしているうちに7時半に着いた奈良県。
チェックインは13時なので東大寺に寄り道をすることにした。

昔はスカートの長さや足の太さや前髪を気にしながら見ていた東大寺に再び

修学旅行以来の奈良だけど、大人になって来ると全く別物のように感じる。

あの頃はここに夫と子どもと来るとは思っていなかった

子どもの頃に友人と見た東大寺を夫と子どもと見ることの不思議さ。あの時は大量の鹿も怖くて、東大寺を見ても「大きいなぁ古いなぁ」というぼんやりした感想しか抱かなかったことを思い出す。

東大寺の歴史や仏像の大きさよりもスカートの長さや足の太さや前髪を気にしていたあの頃は、こんな未来は当たり前だが想像していなかった。多分20年後も同じように「こんな未来は想像していなかった」と思うんだろうな、なんて思いながら、鹿をなでたり、春の東大寺の優雅さに心打たれたりして過ごすこと2時間。しかしまだ10時…!

優雅だなぁ
氷室神社にも寄り道

会いたい人に会いたい時に会いに行こうと思った生駒市

次はここ数年お世話になっている奈良県生駒市に移動することに。オンラインキャリア教育やライフスタイルのトークイベントなどでお世話になっている生駒市。リアルでお会いしたい方やリアルでお会いしたい鴨(リアルでお会いしてみたいと思っていた方が度々SNSにあげている鴨!)がいる生駒市。

温かみを感じたり、
ハイテクさを感じたり!

会えた…!
滞在時間は20分程だけど、やはり会うって大事だ。勝手にだけど心の距離感が全く変わるように思う。そして人を好きになるとその人が住んでいるまちももっと好きになる。
会いに行ったら図々しいかな、仕事のおじゃまかな、などとモジモジしていたのだけど会いに行って良かった。
会いたい人に会いたいと思った時にすぐに会いに行けるというのもこの生活を選んだ理由の一つだったことを思い出す。

会いたかったお二方

人生で初めて水の色というものを知った下北山村

そしていよいよ奈良県吉野郡下北山村へ。
2時間経ったあたりで「ようこそ下北山村へ」という文字が見えてきて、おぉ!!いよいよ…!と思って看板をよく見ると

「あと40㎞」

と書いてある…!!
いよいよ到着か、と一瞬肩の力を抜いた夫に娘が「ラスト40㎞だよ!ふりしぼりな!」と声をかけ、ラストスパートに入る夫。
生駒市から3時間、やっと到着した!

生駒市からの移動中、仕事をしようかとも思っていたけれどそうはさせてくれない下北山村。
仕事をしている場合じゃない。
こんな景色見たことがない。
いや、見たことがある。
まんが日本昔ばなしだ…!

緑の山々に薄ピンクの桜がぽっと点々と咲いていて、
その山にもこもこと雲海が広がっていて、
桜並木もぶわっと広がっていて、
コバルトブルーの川が流れている。

私の知っている川じゃない

こんな景色見たことないと思ったのは、この川の色のせいだろう。
川だけ見ると海外にきたんだっけ、と思うようなコバルトブルーなのだ。
何でなんだろう。
何で川がこんな色なんだろう。

本当に水なのだろうかと思ってしまう

着いて早々川の色について質問すると、「これが水の色だよ」とのこと。
私は生まれて初めて水の色というものを知った。

いつもなら写真をパシャパシャ撮るのだけれど、撮っている場合じゃないかもと思うほどレンズ越しではなく自分の目でちゃんと見たい景色がここにある。

「ちょっと住まわせてもらいますね」と思ったのは手つかずの自然に対して

面積の9割以上を森林が占める、人口約800人のこの村。
鹿やカモシカやイノシシやサルが普通に出てくるという下北山村。

これがすごいよ!これが大迫力だよ!とかじゃない。
なんて説明していいのか分からない。
ただ、つくりこまれていない手つかずの自然の凄みを見たような気がする。

ちょっと住まわせてくださいね、と山や川や動物に対して思うような、うまく言えないけどそんな感じだ。

この自然をもっと守っていこうとか、増やしていこうとか、実際そうだし私もその一人でありたいんだけれど少し違くて、一体人が本物の自然を前にしてどれだけのことをできるんだろう、何故自然は管理できるものと思っていたんだろうと思わせられるような場所だ。
管理するものではなく、住ませてもらうかわりにせめて丁寧になるべくそのまま残していこうと思うような、そんな場所。

ガサツな私には「丁寧な暮らし」なんて縁遠いと思っていたけれど、私にとっての丁寧な暮らしがここにあるように思う。

とにもかくにもそんな下北山村に15時に到着してから、これからお世話になる方々に挨拶をしにコワーキングスペース「BIYORI」へ向かう。

コワーキングスペース


山村留学の宿舎だったやまびこ寮をリノベーションしコワーキングスペースにした 「BIYORI」はとにかくおしゃれ。BARのようでもある。
(この様子もまた明日以降)

迎えてくださった村の方々が私たちの緊張を解いてくれるような気持ちいい笑顔の方で、楽しい滞在にきっとなると思えた。

そして荷物を降ろさずに流れのままに家族で薪割り体験。

張り切る夫。割れない。
張り切る娘と優しい職員さん。割れない。
張り切らない息子と優しい職員さん。もちろん割れない。


色々説明を受けるものの、一つ一つ話が興味深くてつい脱線させてしまって話は尽きない。
そしてたまたまその時にコワーキングスペースを利用しに来ていた、山で仕事をされているムーミンさんに挨拶させていただき、滞在中に山を案内していただけることに。

テレビもWi-Fiもない木の宿で生活を考え直す

このままずっと話していたいような、ずっと薪を割っていたいような気もするけれど日も暮れてきたしまずは荷物をおろすことにする。

今回宿泊する場所はBIYORIから徒歩20秒にある移住交流体験施設「むらんち」。
かつてお好み焼き屋だった建物を慶應義塾大学や大阪工業大学の学生さんや講師さんたちと村の人が協力してリノベーションしたとのこと。

木の香りに癒やされる
なんと言ってもおしゃれ

杉やヒノキがふんだんに使用されている内装は心底素敵だ。
木の香りに包まれているだけで癒やされていく。

「むらんち」にテレビはない。
Wi-Fiもない。
そこが今回とても気に入っている。

Wi-Fiは徒歩20秒のBIYORIで24時間使用できるのでそもそも家にある必要はなさそうというのもあるが、
普段の生活では子どもたちはテレビっこになっているし、困った時のYouTubeと言えるほど家の中でのテレビやネット環境は私たち家族にとってかかせないものになっていた。
私も昼夜問わず仕事の連絡がきたらPCを開いている。

ここでは一度、なんとなく24時間営業だった仕事や、なんとなく理由をつけては頼ってしまっていたテレビ生活を少し考え直せたら嬉しい。
仕事をするときはその環境が整っているBIYORIに行って、家では食べて話して星を観て湯に浸かって寝るのだ。

読書(と見せかけて実はメール)

疲れたら、カップラーメン食べて寝る

と思ったところで夕飯はどうしようかという話に。それもそうだ。もう19時だ。
スーパーに行こうと思っていたけれど、スーパーまで車で40分かかるので買い物は明日にすることに。

今日は全員でカップラーメンを。
いざという時のために持ってきてよかった!子どもたちが夜更けのカップラーメンの美味しさを覚えてしまうだろうけれどまぁいいや。

千葉から持ってきた残りの野菜たちとソーセージを炒めてラーメンにのせて食べて、子どもたちから「今まで食べたどんなものより美味しい!」という言葉をもらって無言になる夫を横目にお風呂に入って歯を磨いたら、家族全員死んだように寝た。

今日はこんなところで。

つづく

娘も楽しそうで何より。職員さんと薪割りしたことが嬉しかったみたい。

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