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(前編)BtoB×SaaS×CS×LT5に登壇してきた! 〜顧客理解フレームワーク誕生の裏話〜

Repro駒谷さん(前職はbeBit)のお誘いで掲題のイベントに登壇してきました。何気に外部イベントで話すのは人生初!イベントの詳細は下記参照。

当日は100名近くの方が参加されており会場はすごい熱気。カスタマーサクセスへの関心の高さを肌で感じました。駒谷さんの集客力も半端ない。

7人の方がLightning Talkで次々にプレゼンするという形式で、私からは顧客理解のフレームワークをお話しさせていただきました。当日使用したスライドは以下。

正直、登壇内容についてはスライドをご覧いただければ大体分かると思いますので、本記事では上記スライドのフレームワークが生まれた経緯を裏話的に書こうと思います。

顧客理解フレームワークの原点はコンサル時代

実はこの顧客理解のフレームワークに気づいたのはカスタマーサクセス時代ではなく、その前にbeBitでコンサルティングをしていた時でした。(コンサル事業の内容は下記参照)

時期としては1年目の終わりの頃。一通りの仕事の流れを覚えコンサルタントとして1人でアサインされるようになり、クライアントコミュニケーションでも前面に立ち始めていました。

その時自分にはある悩みがありました。クライアントの要望を丁寧にヒアリングし、抜け漏れなく応える調査設計やインサイト抽出、提案を行なっているのに、どうにもクライアントの満足度が上がらなかったのです。「うーん、なんかちょっと求めてたものと違うんですよねえ」みたいな反応がどうも多い。そういう反応を見て「え、皆さんが欲しいと仰っていたものを出しているのになんで??」と内心思っていました。

パートナーが語った一流コンサルの仕事論

モヤモヤした私は直属のパートナーに相談しました。するとパートナーに次のようなことを言われたのです。

「そりゃ当たり前だろ。顧客に言われたことをそのまま調査して答え出してくるんだったら御用聞きと変わらねーじゃん。顧客が買ったのは作業屋なのか?違うだろ。顧客が買ってるのはコンサルなんだ。」

「いいか。コンサルは顧客が言った通りにやったら必ず炎上すると頭に叩き込んでおけ。顧客の発言の裏には必ず意図や背景がある。社内の事情だったり個人の思いだったり様々だが、まずはそこをきっちり汲み取れるようになれ。その上で顧客の期待を上回るものを出す。それが一流の仕事だ。」

「クライアントと同じ視点や問いで課題を捉えてたら顧客が価値を感じるわけないだろ。大切なのは顧客自身が気づいていない視点であり、それはお前の視点なんだ。お前が持ってる情報からお前ならではの視点や見解が出せるようになれば『ワタルさんの意見も聞きたいんです』と言ってくれる顧客がついてくる。それでようやくコンサルとして一人前を名乗れるんだ。」


顧客の要望に沿うことこそ貢献と信じていた当時の私にとっては衝撃でした。ですがこの時気づいたのです。顧客の言葉を真に受けてそのまま実行するのは二流で、満足いくコンサルティングをするためには顧客の裏にある状況や背景を捉え期待を越える必要があるのだと。当時頂いたこのFBはその後のプロジェクトでも何度も大いに役立ち、今でも自分の仕事の指針の1つになっています。

当たり前のことのように思えますが、実際の現場では顧客の発言そのものを理解することにも相当頭を使うので、実践できるようになるにはそれなりに経験も必要でした。

そしてこの時学んだ顧客理解の本質はかなり汎用的で、マーケティングや営業でも活用できるとその後のキャリアで実感しました。

マーケティング・UXデザインでの顧客理解

自動車を生み出したヘンリー・フォードの「もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」という名言に代表されるように、顧客の意見を鵜呑みにしてはいけないというのはマーケティングではとても大切な概念の1つです。

私がUXコンサルとして関わったプロジェクトも、エンドユーザの意見を鵜呑みにせず裏にある状況を深掘ってソリューションを考えたプロジェクトでは高確率で成果創出を達成していました。

そして私が今カスタマーサクセスをしているUSERGRAMというUX企画支援のクラウドサービスでも、お客様に同じことをお伝えしています。USERGRAMではデジタル上の顧客行動を簡単に把握できるのですが、それを単に裏返した施策を打つのではなく、必ず一度顧客の状況に思いを馳せるのが成果の出る施策を打つポイントなのです。

例えばサイト上で「入力フォームの前後で顧客が何度も行き来している」という行動が見えたときに「"次へ"のボタンを目立たせて遷移しやすくする」と言う裏返しただけの改善では成果は出づらい。そうではなく

・なぜ行き来しているのだろうか?(1→2:思いを馳せる)
・商品サイズがフォームに記載されていなくて迷ったからでは?(2:状況)
・フォームでも商品のサイズを記載するようにしよう(3→4:改善案)

という流れで考えると成果がでる確度はグッと上昇します。

営業でも顧客理解をした提案をすべし

これについてはWACULの垣内師匠(元beBit)も仰っていますね。

私もコンサル責任者〜USERGRAM事業のなかでセールスを担当していた時期が2年くらいありました。

法人営業でも顧客の言うことをそのままダイレクトに解決しようとしても大体上手くいかないんですよね。一旦やりたいことベースで枠を広げ、自分のソリューション以外でも解決方法を模索していったときに、実は当初の顧客の発言と異なる方向なのに提案が結実するということが結果的には非常に多かったです。

これも顧客の言葉を真に受けず、まずは背景にある状況を捉えて考える、という動作の実践ですね。

そしてカスタマーサクセス へ

このような流れで仕事を積み重ねてきていたので、カスタマーサクセスで苦境に直面したときにも、このフレームワークを活用して打開を図りました(その時の話が登壇資料です)。

ただ意外にもこのフレームワークを言語化したのはカスタマーサクセスがきっかけでした。それまでは自分の中や社内の密なコミュニティだけで通用していればよかったので暗黙知化していたのですが、USERGRAMのカスタマーサクセス活動を広げていくときに、(前述の通り)広くクライアントにこの顧客理解のフレームワークをご理解いただく必要が出てきたので、それまで頭の中で実践していたことを言語化し可視化したというのが本フレームワークが生まれたきっかけでした。


こうして可視化し様々な人にシェアすることで、様々な反響をいただけたので良い機会だったなと感じています。長くなってしまったので、登壇後にいただいた質問への回答は後半の記事に分けました!ぜひご覧ください。

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