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【ニッチビジネスのプランニング】リサーチはあきらめ妄想にたよる

狩猟業界のようにあまりにニッチすぎると情報(特に二次情報)がないため、情報収集に基づく精緻なプランを考えていても全く進みません。そのような場合はリサーチはどこかで割り切って、自分の妄想力を信じ一歩踏み出してみてはどうでしょう。

Google先生も知らない情報

「新しい業界のプロジェクトをやるときには、ソースはなんでもいいからまずは一般的な情報を頭に入れとけ!」新卒で入ったコンサル会社ではそんなことを言われていました。大体の場合は「俺が若手のころは本屋に行ってはじからはじまで買って・・・・」と続くのですが、僕が入社したころは既にWebにもだいたいの情報があったため、時代が違うんだよなーと心の中でつぶやきつつ基本的な書籍数冊とWebでみつけたよさげなレポートでインプットを済ませていました。

大企業の新規事業というわけではないため、まずは業界の規模感やおかれている環境、ジビエとして消費されるまでの流れといったいわゆる常識くらいは知っておくべきと考え調べることに。いつもは頼りになるGoogle先生も「シカの生息頭数推計方法に関する論文」や「ジビエ料理レシピ」、「マタギのブログ」といった的を外れた答えばかり、、、、。
もちろんよさげな書籍があるはずもありませんでした。


精緻なプランをあきらめ、妄想力に頼る

今でこそ農水省から猪や鹿の生息・捕獲頭数、ジビエ利用率等の情報がまとめられたものが公表されています(http://www.maff.go.jp/j/nousin/gibier/suishin.html)が、当時はバラバラに存在していたPDFデータを一つずつ探し出して、それらを並べることでやっと把握した全体感とトレンドが次のような状況。
⇒鳥獣被害は農作物以外も含めると数百億円規模であり、原因となる鹿・猪の生息頭数は増加傾向
⇒捕獲側の狩猟者は減少するとともに高齢化が進んでいるものの、捕獲方法は規制等により昔のままで負担も大きい
⇒捕獲された個体の多くは利用されておらず、一部では衛生面で懸念のある闇ジビエが問題
いやいやいや、だいぶざっくりしすぎて個別のプレーヤーの顔が浮かびませんよ…。

時間をかけてもたいした二次情報は見つからないこと、仮にプランが間違ってたところでたいした損もないことから、自分たちの妄想力を信じ走ることに。ひたすら実現したい姿を考え、それに沿って開発を進める。都度都度知り合った人にその時のプランをぶつけ、間違ってそうだと思ったら方向転換を図る。文字にすると当たり前のように見えますが、あらかじめ決められた予算や先行投資があったらこのような意思決定はできなかったでしょう。

<参考:狩猟・ジビエ関連情報の入手先>
現在では狩猟・ジビエ関係に関する情報についてWebからもだいぶ入手できるようになりました。統計情報は上記の農水省のデータ、実際の狩猟者の声や狩猟方法についてはSNSのコミュニティやYouTubeなどから知ることができます。
※狩猟や解体の様子といったものも多いので閲覧は自己責任でお願いします。また、具体的なコミュニティやチャンネルを知りたい場合は個別にご連絡ください。


もともとの欲望は絶対!捕獲~加工~流通すべてを変える!

スマートトラップ自体の発想はいいと感じていたのですが、それだけでは「美味しいジビエを食べる」という当初の欲望が達成されません。ジビエ食べたい、ジビエたべたい、ジビエタベタイ…

ここで蘇る産直プラットフォーム(ジビエの処理場と飲食店のマッチングサービス)。スマートトラップから得られる「誰が・いつ・どこで獲った」という情報は、個体差のあるジビエだからこそストーリーや安全性を訴求する際に価値が出るんじゃないか。

まずはスマートトラップで捕獲業務の負担を減らし、猟師さんとの関係を作る。その後、スマートトラップと連携し個体情報を記録・共有可能な仕組み(現ジビエクラウド)でジビエの付加価値を上げ、加工処理施設とも関係ができる。そうすると飲食店にもお肉が流れるようになり、美味しいジビエが食べられるんじゃないか。妄想と欲望の掛け算から、現在も掲げる捕獲~加工~流通のプロセスを改革するという戦略に至っています。


<情報がない中でのビジネスプラン検討のポイント>
・ないものはない、あきらめも必要
・妄想(=実現したいこと)ベースで走り出す
・とはいえ、方向転換できる柔軟性は必要
・楽しく取り組むためにも、もともとの欲望には素直に

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