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#35 100日後

100日後に死ぬワニというのが話題になったのは昨年のことであったが、100日後に食われる豚というのが最近の注目だ。その名の通り、100日後に食べる豚の成長過程をYouTubeで見せる企画だ。案の定、賛否両論となってしまったが、面白い企画だ。

僕も以前に学生と鶏を育てて食べたことがあって、noteでも触れさせてもらった。自分達の食べものから命をもらっている事を理解するために必要なことと思っている。

ちょっとだけ注意しなくてはいけないのは法律がらみの問題で、あまりに酷い飼育の仕方をしていると動物愛護法に触れる危険性はある。もっとも「食用」と明言している時点でこの法律の範疇から外れる可能性は高いし、蹴ったり掃除を怠ったりなどの、明らかな虐待が無ければ問題はない。鶏を飼育していた際に判例を調べてみたのが、そこそこ非道なことをしないと起訴までは至らない。

もう一つ大事な法律が屠畜場法だ。牛や豚などを食用に屠殺する場合には屠畜場で行わねばならぬという法律だ。マイナーなので知らない人も多いが、今回のケースでも彼ら自身で豚を捌くことは基本的に不可能だ。以前にネットで買った豚を自宅で解体した外国人が起訴されたというニュースもあった。ちなみに僕らが鶏を個人で捌けたのは、鶏が屠畜場法の範疇外になっているからである。

この手の「命の授業」の初出は豚のPちゃんだろうか。映画版の『ブタがいた教室』の方が有名かもしれない。時代が変わったな、と思ったのは、命の授業にヒラメが使われるケースがあることを知ってだ。確かに豚を学校で育てるのはしんどいだろうが、個人的には魚を捌くのに全く心が痛まないので、授業になるのだろうかという点を心配している。魚屋でも丸々一匹の魚の魚を見たこと無い世代への授業なのだろうが、家庭での命の授業をできない親世代が増えたということだろう。

(2021/7/28)

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