#37 冷たい男

2週間ほど、更新を滞らせてしまった。少しばかりコロナにやられていたのである。何とか持ち直したので今週から再開だ。

ところで、目の前に白杖を持った男性がおぼつかない足取りで歩いていたらどうするだろうか?今、まさに交差点に差し掛かろうとしている。少し前方には僕と同様に心配そうに振り返る若者もいるが、明らかに一番近くにいるのは僕だ。つい先日の体験だ。

結論として僕はその方の50cm手前を通り過ぎ、何事もなかったように行き過ぎることにした。僕は冷たい男なのだろうか?

逆の立場になって遠目に僕のような人を眺めていたら、近くにいるんだから助けてやれよ、くらいのことは思うだろう。

ここで少し情報を付け加えてみる。

その時の僕は濃厚接触者に認定された直後で、自身もそんなに体調が良くない中、PCR検査を受けてきた帰りであったのだ。

その時僕が考えていたのは、もしこの方にうつしてしまったら大ごとだ、ということだけだ。同時に、その立場になってみないと解らない事情があるな、ということも考えた。傍からみたら僕は困っている人を助けない冷たい奴だが、見ようによってはコロナをうつさないように心がける親切な男だ。

似たような話で個人的にいつも気になってしまうのが、献血の勧誘である。献血はすればするほどみんなが幸せになること請け合いなのだが、僕は献血をしたことがない。これも理由は簡単で、狂牛病の流行っていた時期にイギリスに滞在していたため、今後、永久に献血をすることができないのだ。
以後、献血の前を素通りするために、(被害妄想だが)人でなしと思われているようで気がかりになってしまった。必要であればいくらでも説明できるのだが。

人には外からは見えない事情があることがあるので寛容になろう、という話である。

(2021/8/25)

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