見出し画像

#33 操り糸

子供の頃に怖かったものの一つに寄生虫によって目玉が大きくなったカタツムリの写真がある。見た目にもインパクトがあるが、さらに鳥に食べられやすいように行動を変化するというのに恐怖を覚えたものである。自分の行動も変えられてしまうのか、と。

この手の研究は現在も進められていて、ここ最近面白い発見が続いた。

まず、トキソプラズマに感染したハイエナは「大胆」になりライオンにより近づきやすくなるというものだ。トキソプラズマはネコ科の腸内で有性生殖をするらしく、ライオンに食べられるために行動が操られている可能性があるとのことだ。ハイエナの体内でも有性生殖ができるようになる進化の方が簡単な気がしないでもないが。

ハリガネムシがカマキリを水辺に連れて行く仕組みもつい最近に明らかとなった。何でも水の偏光に対して反応するように操っているらしい。ハリガネムシに寄生されることで水辺に移動することは知られていたが、そのメカニズムまではつい最近まで解らなかったそうだ。妻はカマキリの足にハリガネムシが入り込んで無理やり動かしていると思っていたようだが、仮説が否定されてしまった。

そして最近の僕自身も少しずつ行動が変えられているのを感じている。そう、コロナウィルスに、だ。厳密には寄生生物ではないが、似たようなものだろう(暴論)。人間社会の中に入り込んで主に人々の心を蝕みながら少しずつ人類の行動を変化させている。

僕もついに職域接種でワクチンを打つことにした。本来ならば嫌いで仕方ない注射を、泣く泣く受けるか、と僕の気持ちを変えさせるくらいには世の中が変わっている。いつまで経ってもマスクが取れる気配は無いし、人の暮らしがコロナで変化させられている。何でもコロナに結びつけるのは良くないが、コロナに操られている気になってしまうのだ。

(2021/7/14)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?