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理想は理想だから美しいのであって


手に入れたいものって、人間誰しもあると思う。どれくらいのお金を稼ぎたいとか、好きな人の恋人になりたいとか、韓国アイドルみたいな可憐さとか、情熱に満ちたセックスとか。なりたい姿、望むシナリオ。皆んなこんな具合に、手に入れたいものを心に秘めている。


だけど理想って、理想のままだから理想なのであって、現実になったらそれは理想ではなくただの現実になる。(何を言ってるんだ小娘( ◠‿◠ ))


彼の恋人になりたいと思ったのだ、心から。自分なりの努力とアプローチを踏んで『理想』を手に入れた。だけど段々、彼との交際は『理想』とは違うことに気づく。連絡の頻度、電話の好き嫌い、嫉妬の強さや愛情表現。小さなズレの積み重ねは、彼との物語に推敲の余地も生まなかった。思い描いていた彼との交際は、『現実』になってみればこんなもんだった。


刺激的なセックスがしたいと思った。理性を飛ばして欲望のまま向き合う、そんな大人な夜を経験したいと憧れた。ひと回りも上のサラリーマンと『理想』的な夜を過ごした。期待と興奮を持ったホテルでの『理想』的なセックスも、『現実』となれば痛みを伴うただの虚しいものだった。


頼られる人になりたいと思った。困ったら相談出来るような、頼めば期待した以上の物を提供してくれるような、頼られる人になりたかった。そんな『理想』像を掲げて、率先してバイトに取り組んだ。社員からも先輩や後輩からも称賛と感謝の言葉をかけられるようになった。だけど『現実』はプライベートの時間を削ってまでも仕事に取り組む社畜の結果でしかなかった。



『理想』って『理想』だから美しいのであって、一度それが『現実』になってしまうと『理想』の時には考えもしなかった醜い、嫌な『現実』が顕になる。『理想』が『現実』味を帯びる、そんな不思議な現象だ。


『理想』は『理想』でしかないこと。

手に入れればそれは『現実』ということ。

夢を見るのは自由だけど、それが夢である限り、夢の部分しか見えていないこと。

恋は盲目しかり、『理想』は盲目である。



それでも今日も私は『理想』を胸に、訝ることもせず、夢を見る。『現実』になる前のキラキラ輝いた、夢にまで見る『理想』を心から手に入れたいと願う。『理想』が私を魅了している。


『理想』よ、

どうか届かない『理想』のままであってくれ。

綺麗で期待的な『理想』のままで。



#理想は理想だから美しい