【連作短歌】 働くことは尊い
労働と称するしずかな戦争に破れて散ったあの子も私も
息をするだけでお金が減っていく家賃年金健康保険
病院で支払う医療費分さえも稼ぐ力がなくて死にたい
生命力ゼロの私が働けば経済効果はさらにマイナス
社会とは働く人のものである——私に社会は存在しない
いなくてもいい存在である僕のために働く医師は尊い
(ISの戦闘員となることも就職先の一つではある)
労働に駆り立てられて倒れても倒れてもまた駆り立てられて
(初出:「かばん」2017年5月号)
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