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じいちゃんの左手 その8

学校から帰ってくると 
縁側には いつも 群青色の市場帽子を斜にかぶった じいちゃんがいた 
右手にワンカップ 左手には “わかば” 
田んぼの案山子のように 僕の問いに 何でも答えてくれた じいちゃん
今思えば ほとんど 的外れだったけど 心は いつもポッカポカ
そんなじいちゃんと あの縁側が 今もあったら・・・ 
きっとこんな 会話になっただろう・・・

『鬼滅の刃』

風呂上がり 
火照った体に秋風が 気持ちいい
縁側では ワンカップで出来上がってる じいちゃん
相変わらず 左手の わかばを

Pufaaaaaaaaaaaaaaaaa 

と 気持ちよく吐いている
ごほっ・・・と となりで 咳き込む僕

「おい!ヒロ坊! もう遅いから はよ寝ろ! 鬼が出るぞぃ」
じいちゃんは 機嫌がいいと 僕を名前で呼ぶ

「じいちゃん 夜って言っても まだ7時だよ それに鬼って・・・」
そうだ! 僕はふと 思いついた

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「じいちゃん 鬼滅の刃って 知ってる?」

「んん・・・ きめての・・・ あ~ 知っとるよー!  
 なんたって あの牙みたいな歯が 可愛かったな!」

牙が 可愛いって・・・ 
どこに食いついてるの じいちゃん
確かに 禰豆子の牙は かわいいけど・・・ 

そのとき 突然じいちゃんが 唄い始めた

「あなたも狼に~変わりませんか♬ Fufufunnn・・・(鼻歌にかわる)」

「なにそれ・・・ よくわかんないよ」 

「決め手の八重歯(きめてのやえば) と言ったら 
 石野真子ちゃん じゃろうが! 
 あの娘は ばあちゃんより 可愛かったなぁ!」

じっ・・・じいちゃん それっ・・・ ダメなやつだよ・・・

Gogogogogogogogogogogogogogogogogogo・・・
部屋の奥の奥・・・ 暗闇の中から オーラを感じる 

あぁ・・・ 
じいちゃん・・・ 鬼ばばぁが でた・・・ 

おやすみ じいちゃん・・・ もう遅いから僕 寝るよ!

♪石野真子/狼なんか怖くない♪



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