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記号過程、システム、意味

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人間と自然、人間と機械、人間とAI 対立するふたつのもの それらはなぜ対立するふたつのものになったのか? その答えを「記号過程」という用語を手がかりに考える
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2021年9月の記事一覧

一項・二項・三項・四項関係を発生・増殖させる -安藤礼二著『列島祝祭論』を読んで考える

安藤礼二氏の『列島祝祭論』を読む。 日本列島各地で繰り広げられたさまざまな祝祭。そこに時空を超えて繰り返し登場するモチーフの根底にある思考について、安藤礼二氏は次のように書く。 始まりは「二」である。 聖と俗 山と平地 無限と有限 人間と神 死と生 これらのペアは、互いに他方とは相容れず、反発しあい、分離しようとする対立関係にある。 人間が生きている限り、日常の至る所にこうした互いに相容れない二項の対立関係を見出すことになる。子供と大人、昼と夜、太陽と月、女と男、夏

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「聖地」の三元論と"深層意味論"-中沢新一著 『アースダイバー神社編』を読む

本記事は有料に設定していますが、最後まで無料で公開中です。 中沢新一氏の『アースダイバー神社編』を読む。 『アースダイバー神社編』は三部構成になっており、第一部「聖地の三つの層」、第二部「縄文系神神社」、第三部「海民系神社」に分かれている。 * 「縄文系神神社」と「海民系神社」では、諏訪大社や出雲大社、大神神社、対馬神道などなどを例に、その聖地の深層構造が解き明かされる。 ここで「縄文」と対比されるのが弥生ではなく「海民」であるというのがおもしろい。弥生という言葉が

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科学と意味分節理論 -ある自己組織化するシステムを、他の自己組織化するシステムで"記述"する

1991年に刊行された中沢新一氏の著書『東方的』を読む。 現在は講談社学術文庫で読むことができる。 単行本も古書で多く流通しているようである。 さて、この『東方的』の単行本195ページには「脳とマンダラ」という論考を解説する不思議な図が掲載されている。 この図は、人間の心を含む生命体のシステムが「オートポイエーシス」のシステムとして「自己組織化」していく様を表している(『東方的』p.189)。 この図の中に記された〔 〕で囲まれた文字で表される「項」と、これらの項

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