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平和研究で東日本大震災に向き合う―「道しるべ」3.11までの半年間とこれから(後編)

[画像]東日本大震災の復興の象徴の一つ、ブルーインパルス。編隊飛行から、息を合わせ散開する様子。(出典:航空自衛隊 松島基地HP フォトギャラリー
https://www.mod.go.jp/asdf/matsushima/katudou/gallery1/index.html(Accesed March 18th, 2021)  

 道しるべ代表の小山森生です!

 前編に続き、後編ではテレワークでコロナ禍での社会貢献活動を展開してきた道しるべの半年余りのプロセスを総括します。
 新型コロナウィルス流行と向き合う半年間は、結果として「禍を転じて福と為す」、組織にとって新たな気づきに満ちた期間でした。社会をより良くしたいと思う方々にとっても、参考になれば幸いです。

(前編 
 ◆気づき① 平和研究のセオリーは、様々な社会課題に切り込める!

◆気づき② テレワークでも、社会貢献活動ができる!

 道しるべは、それぞれ学業、会社勤め、公務員など本業を抱えるメンバーのボランティア・プロボノで運営している任意団体です。各々、すき間時間でも平和に貢献できると信じ、知恵を共有しながらどのような活動を展開するか日々議論しています。
 そのメンバーの地域構成は様々。関東地方の中でも東京に神奈川、群馬、関東以外では愛知、果ては広島と日本各地に散らばっています。元は東京にいたメンバーも本業の都合で転勤となり、当初からリモートワークで運営可能な組織体制の実現が求められていました。

 その矢先でした。日本列島を未知の感染症が襲ったのは―。

【イラスト】外出自粛

 対面コミュニケーションを控えなくてはならない状況に、日本社会は強制的な"働き方改革"を余儀なくされました。

 本業の異なる者同士でも時間が合えば連携できるよう、道しるべでは年初からメンバーが協働できるクラウドサービスの導入を進めてきました。Micorosoft365のサブスクリプションを購入し、Teamsによるテレビ会議を実現してきました。

 リアルと勝手が違うことはありますが、道しるべの当初の活動には十分でした。プレゼンテーション資料を画面共有して意思決定をできることはもちろん、noteに掲載する記事のドラフトを共同編集できるなど地域を越えた協働を実現することに成功しました。

 テレワークでは、画面上で対面する相手との関係性が問われます。しかし、志を共有し、ファシリテーションスキルを高めていくことで、テレワークのハードルは越えることができると実感することができました。

【イラスト】リモートワーク

 テレワークに関する気づきも新型コロナウィルス流行があってこそでした。コロナ禍の日本社会をテーマに安全保障政策のオーソリティーから論考を頂戴することとなり、テレワークをはじめとする「新しい生活様式」のあり方を考える良い機会となりました。

 対面での活動が避けられない種類の社会貢献活動には、厳しい時期であると承知しております。私たちは後述する通り、オンラインコンテンツの発信とオンラインイベントの実施により、組織の意義を達成できる立ち位置に恵まれています。

 そうした境遇に甘んじることなく、私たちにも微力ながらも支えになれる人々がいると信じ、世の「道しるべ」となるアイデアや活動をご紹介してまいる所存です。

◆気づき③ オンラインで、「世界中の人がご近所様」になった!

 「隣国は隣町に、世界中の人がご近所様」―。
 この言葉は私たちが初めてオンラインイベントを実施した際のゲストの言葉でした。イベントのオンライン化への挑戦の過程で、コロナ禍だからこその出会いが生まれました。

 道しるべは新型コロナウィルス流行により、これまでオフラインで実施してきたトークイベントTurntableの自粛を余儀なくされました。そこでコロナ禍に合わせオンラインイベント化を模索し、昨年12月に実施に漕ぎつけました!

【Turntable-eのコンセプト】
 Turntableのオンライン版
・”-e”とは、
 ①電子的 ②Educational(教育上の、教育の役に立つ)の意
 ⇒オフラインよりも示唆に富んだゲスト、道しるべによるウェビナーへ

 その記念すべき第1回は、年々戦争体験の語り部が減る日本社会に一石を投じる願いを込めた企画でした。

 ゲストの楠山雅彦様は、かつて日本全土を焦土と化したB-29による大空襲の生存者のお一人です。オーソドックスな戦争の語り部と異なり、若者により興味を持って聞いてもらえるよう「マクシム平和塾」を主宰し、自ら編み出した戦争を廃絶する方法を発信するユニークな活動を展開されています。

 道しるべは楠山様とタッグを組むことで、未来にどのように平和な世界を築くのか現実的な方法を発信する「平和の語り部」になるモデルを発信できると考え、今回のトークイベントに至りました。(後日の詳細報告をお楽しみに!)

 交通機関と科学技術の発達が地球を一体化させ、世界が「ご近所様」となったと楠山様が語られた当日のセッションで、まさにそのことを実感する出来事がありました。

 なんと、日本から遥か彼方のアフリカはマリからご参加されたお客様がいらしたのです!

 マリは原住民と政府の内戦、その混乱に便乗したイスラーム主義者による紛争の渦中にあります。お客様は現地の平和構築の現場に勤めており、そうした混乱に対応するヒントがあるかもしれないとTurntable-eにお越しいただいたそうです。

《記念写真》【Turntable-e】「平和の語り部」と考える、これからの平和(1)戦争に保険をかける方法

[画像]Turntable-e当日の記念写真。一番左がゲストの楠山様。(道しるべスタッフ撮影20.12.06)

 語り部活動をされてきた楠山様も、平和構築の当事者に出会ったのは初めてだったとのこと。プレゼンテーション終了後のアフタートークでは、「コロナ禍だからこその出会いですね」と盛り上がりました。

 道しるべは今後も、日本全国、世界の方々を「ご近所様」と思いながら、あらゆるレベルで平和に携わる方々に"道しるべ"となるようなコンテンツをお届けしてまいります!


 次回以降は、いよいよAnother Track東日本大震災編の幕開けです。ブルーインパルスのように、メンバーの知見を駆って多様な視点で震災後の日本と向き合ってまいります。どうぞお楽しみに!!

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