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【イベントレポート】「越境留学」×「鹿屋」※オンライン開催※ 2023.11.30

「越境留学」×「鹿屋」をテーマとしたイベントを事務局として開催しましたのでイベントレポートにて報告いたします。(主催:鹿屋市)

今回は、地域を超えた取り組みを紹介する連続セミナーの第二弾として開催しました!タイトルにある「越境学習」とは、社内には無いチャレンジングな環境を求めて社外に飛び出し、新たな知見やネットワークを獲得する学習方法のことです。変化の激しい時代の中で注目を集めており、企業側も「地域への越境」を実践するケースが増えてきました。

本セミナーでは、地域への越境を斡旋する人材育成サービス提供者、関東から鹿屋市内企業の支援を行う越境実践者、越境者を受け入れた鹿屋市内企業が登壇し、それぞれの立場から地域への越境の魅力や可能性についてお話しました。


イベント概要

▶日程:2023年11月30日(木)19:00~21:00
▶主催:鹿屋市
▶運営:株式会社ワークデザインラボおおすみ
▶場所:オンライン開催

第一部:オープニング

まず初めに、「リナシティかのや」について共有しました!
令和6年4月1日にリニューアルオープンを予定していますが、その目的は「オープンイノベーション拠点」の創出です。この拠点に行くと面白い企業と出会えるといった、目的特化利用を見据えています。具体的には、地域課題に精通しているものの、リソースやノウハウが不足している鹿屋市内の企業と、リソースや技術提供は可能である一方、実証の現場が不足している市外の企業がこの場で出会うことで、新規ビジネスを共に創り上げることを目指しています。今後の具体的な実現に向けて、本セミナーでは地域×越境学習の実践例をもとに、可能性を深堀りしました!

第二部:地域×越境学習の潮流とは

第二部では、「地域」×「越境学習」を既に実践されている3社にご登壇いただき、具体的な事例をお話いただきました!

■地方への越境は何をもたらすのか

はじめに、地域への越境を斡旋する人材育成サービス提供者の代表として、株式会社エンファクトリーの島崎さんにお話いただきました。

私は昨年鹿屋市に移住し、現在フルリモートで東京にある株式会社エンファクトリーで働いています。事業の一つとして「みんなの越境支援事業」を行っており、人材ポリシーに「専業禁止」を掲げているユニークな会社です。従業員の6割が複業経験のある組織で、それぞれの社員が社外での出会いや経験を武器に、生き生きと活躍する社会の実現を目指しています。

中でも「複業留学」というサービスでは、自社業務を行いながらベンチャー企業で働くことで越境学習を促すプログラムとして、これまで大企業を中心に累計30社、150名の方を支援してきました。参加された方からは「働き方の再発見やスキル価値の向上に繋がった」という声を多く頂き、送り出した企業側からも「社員の変化を実感できた」という意見を頂いています。
この先も「越境をみんなのもとへ」をミッションに、個人と組織の持続的な成長支援をしていきたいと考えています。

■次世代リーダーの育成を目指して

続いて、同じく地域への越境を斡旋する人材育成サービス提供者の立場として、日本能率協会(通称:JMAM)マネジメントセンターの渕上さんと、同組織に所属し、実際に越境学習を体験された佐久間さんにお話いただきました。

JMAMは、「時間(とき)」と「学び」のデザインで人々の成長に寄り添いリードすることを生業とし、人材育成支援事業などを行っています。
変化の激しいVUCAの時代において活躍できる「自立型人材」の育成を目指し、今後求められるリーダーシップを体験するために「ラーニングワーケーション」を提供しています。その地ならではのユニークな体験を学びのプログラムに組み立てることで、地域・企業・自社にとっての相乗効果を生み出しています。

越境学習の舞台としては、やはり地域が最適だと思います。理由としては、正解のない社会課題に向き合うことができ、オープンイノベーションの環境のもと想いのある当事者と出会い、関係性を深めることで本質的な課題解決や今後の可能性を模索できるからです。
実際のプログラムでは、短期間のものと長期に渡り取り組むことが出来るものの2種類があり、研修を通して実際のビジネスに繋がった事例もあります。今後も越境学習での学びを実践に活かしていけるような、次世代リーダーの人材育成を目指していきたいと思います。

■複業の可能性とは

最後に、複業の実践者コミュニティであるWork Design Labの取り組みについて、都市部側と地方側の両方の立場から支援しているワークデザインラボおおすみの伊藤から紹介いたしました。

Work Design Labでは、気づきや成長など"非金銭的報酬"を目的として、チームで複業に参画するスタイルが中心となっています。
直近では、複業を体験したメンバーが本業の同僚にもその体験を進めるなど、規模が拡大してきておりニーズの高まりがみられます。送り出す企業側にとっても、社員の成長や組織改革を狙いとして、特に大企業を中心に複業を推進する流れが加速しています。こうした背景も踏まえて、今後受け入れる側の地方企業と、進出する側の企業や複業人材がいかにオープンに価値創造をしていけるか、「越境学習」をテーマに考えていければと思います。

第三部:パネルディスカッション(地域×越境学習の実践例@鹿屋)

第三部では、ワークデザインラボおおすみの伊藤がファシリテーターとなり、鹿屋市における地域×越境学習の実践例をテーマにパネルディスカッションを実施しました!
登壇者は、越境学習のコーディネーターである株式会社エンファクトリーの島崎さん、受け入れ企業である株式会社オキスの取締役兼ワークデザインラボおおすみの代表である岡本、そして実際に越境学習を体験された日本能率協会の工藤さんと、同組織に所属する渕上さんです。
それぞれの立場から、鹿屋市における越境留学の実例をもとに、今後の展望を語る有意義な時間となりました!

■大隅地域における受入事例

(島崎)私からは事例を紹介します。1社目は、鹿児島堀口製茶様に受け入れ企業になっていただき、お茶を世界に流通させるためのマーケティング調査を行いました。参加された方からは、社長がアイデアマンで「こういう人がいると会社が成長するんだ」と肌で実感できたなどといった感想をもらっています。
2社目の受け入れ企業は、株式会社オキス様です。ミッションとしては、商品ごとの損益分岐の明確化、仕事の流れやボトルネックの可視化などがありました。実際に参加された方は、現地に赴くことで生のデータに触れながら共に創り上げていく経験がためになり、自信を持つきっかけになったと話していました。

(岡本)実際に受け入れを行った中で、一人の方には製造ラインから考え、原価計算のやり直しをしてもらいました。もう一人は今日参加されている日本能率協会の工藤さんで、中期経営計画の策定に関わっていただきました。期間は、3か月間は複業留学でその後業務外の複業として継続してもらいました。実際に感じたメリットとしては、相談相手の獲得と既存従業員の意識向上です。それらをコスト0で行えたことは非常に良かったと感じています。

(工藤)今回複業留学先として、会社の理念に共感できたことからオキス様を選びました。実際参加する中でより思い入れ強くなり、期間終了後も土日を利用し1年ほどお手伝いをさせてもらいました。体験から得た学びは多くありますが、経営理念の大切さや人材育成の大切さなどを、実体験を通して学習できたことはとても大きな気づきとなりました。

(渕上)社内で工藤さんの上司から話を聞く中でも、とても楽しそうだと感じました。今まではしなかった提案をするようになったとも感じたので、越境留学にはとても価値があると感じました。

■通常の副業・兼業と越境学習の受け入れの違いは?

(岡本)越境留学ではミッションと期間がきちんと決まっているため、業務内で副業をしてもらえるのが大きなポイントだと思っています。

(工藤)最初の3か月はまさに業務だったので、周囲を気にすることなく行えました。期間終了後は土曜日を使うようになりました。一番気にかかったのは報酬の話です。私自身が非金銭的報酬を求めていたので、私にとっては自分の成長のために活動をしていたこともあり、越境学習よりも思いが強まったということがありました。何よりオキス様の成長のスピード感や熱量を目の当たりにして、自身の勉強になると革新しました。

(岡本)今まで複業していただいた方にお話をするときは、会社としての理念やゴールをお伝えするようにしています。現実を見てもらうよりも、その先を見てもらうようにしているので、こうした点は重要かと捉えています。

■今後鹿屋での地域×越境学習を増やすために何が必要か?

(島崎)人が心を動かされるものとして、生の事例に勝るものはないと考えます。越境留学は参加者・受入企業双方にとって大きな意味のあるものだと思いますし、生の事例から生まれる良さにスポットを当てて、社内報や地元の新聞に取り上げてもらうなど、可視化していくことが大切だと思います。

(渕上)元来企業のニーズと地域のニーズはマッチングしにくいものだと思います。越境留学を促進するには、地域と企業をつなぐ緩衝材、通訳になってくれるような役者が必要だと考えます。

(岡本)受け入れ企業の立場としても、緩衝材は必要だと思います。都市部と地方では常識が違うことが多いです。そこをつなげる役がいるだけで、プロジェクトの進み方が大きく変わると思います。具体的には、2代目、3代目など会社を継いだ後継者の人は都市部で一度働いている人が多いので、都市部と地方の両方を分かっている人が多いと思います。また、様々な事業に手を広げたいと思っている人にも越境留学を利用してもらうことで、多くの繋がりをもってもらえると考えます。

(渕上)地域によっては、行政がハブとしての役割を担われているケースもあります。また、観光関係の方が中間案内人になっている場合もあります。Uターンで地域に戻り、都市部と地域を結んでいることが多いです。

(岡本)行政や商工会議所の方が緩衝材になればスムーズに進むのではと思っていますが、難しい状況もあるかと思うので、地元企業が緩衝材となり、そのサポートを行政や商工会議所が行っていけたら良いのではないかと考えています。
また、今回受け入れ企業として、自社の売り上げを上げようと思いで活用させてもらいましたが、越境学習は企業側・地域側双方でメリットのあることだと感じました。企業の売り上げが上がり、人口が増え、地域の活性に繋がるような、好循環が生まれればいいなと思いました。

(工藤)オキス様とのご縁は本当に偶然でした。知れば知るほど惹かれました。今回の経験はとても貴重なものとなり、エンファクトリー様のサービスでご縁をつなぐことが出来ました。この取り組みを発展させることで、日本という国が発展していく、とてもいい土台ができると感じています。

おわりに

都市部企業が地方で働くメリットは数多くあります。このうち、本セミナーでは「人事部門」に関わるメリットに焦点を当て、越境留学による成長や学びについて参加者の皆さんと共に考える機会となりました。
今後鹿屋市からさらなる好事例を増やし、地域への越境の魅力や可能性を広げていきたいところです。

今年度の都市×鹿屋シリーズでは、数回に渡りセミナーを実施予定です。近日オンライン共創コミュニティをFacebook内に立ち上げ予定ですので、興味のある方、共感いただいた方はぜひご参加お願いします!

WDLおおすみでは、これからも
「地元、鹿児島県鹿屋市を盛り上げていきたい」とお考えの方や
「本業以外で地域に貢献したい」とお考えの方と
地元企業を繋げる取り組みを続けていきます。

複業を通じて、ワクワクすることに携わってみませんか?