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We are Buddies とは?

2020年4月。”We are Buddies” というプロジェクトが、始動した。自分が社会に出てから、早7年。思えば、何もないゼロのところからプロジェクトを作ったのも、何かに対して、何の迷いもなく自分のエネルギーを注ぎたいと思えたのも、初めてかもしれない。このプロジェクトの立ち上げに至るまでの話を、書いてみようと思う。

Ciftとの出会い

2017年、藤代健介というステキ男子が、Ciftというコミュニティ実験プロジェクトを立ち上げてくれた。私は、2018年夏に、参画した。切り取り方によって様々な説明の仕方ができるプロジェクトだけれど、結果的に、私にとっては、赤の他人だったはずの「多種・多世代の人間たち」が、「共に生きる」という一つのコミットメント(そのコミットメントのことを、家族になる と表現をしている)を持ち、それぞれにとって有限であることは間違いない「時間」と「空間」を共にするということが、果てしなく尊い経験となっている。こちら、Ciftに関してのお気に入りの記事。

その中でも、子どもを産んだ経験のない自分にとって、「子ども」という属性の人間たちと、ある種のコミットメントをもって共に生きるという経験は、私に、多くの気付きと学び、そして、現代社会(特に都市)における課題のようなものを解決するためのヒントをくれた。

今でこそ子どもが複数人いる我が家だが、この家にとって、そして私にとっての初めての子どもとの生活は、2019年4月に、ご両親と一緒に、当時6歳だった少年が越してきたときに、始まった。

6歳の少年との暮らし

一見、恥ずかしがり屋のように見えた彼は、1年の月日を経て、共に生きる大人たちと関係性を築き、正しい表現かわからないが、そして良いか悪いかもよくわからないが、自らを開くようになっていった。他者の心に住むようになっていった。

私と彼の関係性の変化も、興味深かったと思う。この1年の間に、彼と一緒に、旅行をしたり、アイススケートをしたり、一緒に仕事をしたり、たこやきパーティーを企画したり…数々な時間の過ごし方を試してみる中で、大人と子どもというよりも、人間対人間の、圧倒的な信頼関係が築かれていった。彼と私は、ものすごく気が合う訳でもないし、違うことばかりだと思う。けれども、お互いにとって、お互いの存在が「何か困ったことがあったときに頼れる人」になっていることは間違いない。これは、一生続く関係性だと思う。

こうした関係性構築のプロセスがかけがえのない経験だったことは言うまでもないけれど、まだまだ続いていくことが楽しみで仕方がない。彼が大人になっていく様子を見守ることも、私の人生の楽しみの一つとなった。彼の存在は、私にとって、今までも、今この瞬間も、これからも、希望でしかない。この楽しみを、独り占めするのは、もったいない。

子どもにとっての「信頼できる大人」

こんな風に感慨深く振り返っていたときに、ふと、思った。私の楽しみが増えたことだけでなく、少年にとっても、親以外に、このレベルで「信頼できる大人」がいるって、実はすごいことなんじゃないか、と。しかも、それが一時的ではなく、一生続くって。

特に都市では、核家族化というものが進んでいるらしいし、ご近所づきあいのようなものも希薄化してきている風潮がある中では、子どもが出会える大人って、親と…学校の先生くらいだったりするのかも?興味を持って子育て家庭にヒアリングをしてみると、実際に、そうらしい。

子どもの孤立化、若年層の自殺、こういった悲しい出来事も、もし何かあったときに頼れる大人がいれば、なくなっていくのかもしれない。

この領域で、自分に、何かできることがあるかもしれない。と、思った。

オランダで40年間続くバディプロジェクト

そう思うようになり、色々とリサーチをする中で、オランダで既に40年も続いている、Vitalismaatjesというプロジェクトに出会った。子どもと大人がバディになり、週に1回程度、会って遊ぶ。これを、1年間以上続ける。内容としては、これだけ。こんなにシンプルなのに、社会のセーフティーネットとして機能しているというからびっくりする。子どもが孤立化してからの対処ではなく、予防的考え方で、シングルマザーの子どもや、障害をもった子どもの兄弟など、環境的に少しでも心配があるようなご家庭の子どもを中心に、多くの子どもが参加している。

このプロジェクトに出会い、運営チームの皆さんにお会いしてお話を伺ったときに、胸が熱くなったことを覚えている。私と、6歳の少年の信頼関係構築プロセスは、これだったんだと。これがもし日本でもできたなら…子育てを自分だけで頑張らなくては!と思われている親御さんも少し肩の力が抜けるかもしれない。子どもと無縁で生きている人たちの幸福度があがるかもしれない。子どもの孤立化が、なくなっていくかもしれない。優しい世界が、見えた。何の迷いもない、「これを、日本でやろうと思う。」という、自分の心の声が聞こえた。「心が決まる」という表現があるけれど、何かが決まるとき、意志で「決める」のではなく、もうその未来がやってくることが決まっていたかのように、自然に、すんと、勝手に決まるのだと思う。

We are Buddies

そして、始まることになった、日本版のバディプロジェクト。名前は、わかりやすく、We are Buddiesと命名。

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何気に、初めての会社作りも経験。一般社団法人We are Buddiesです。プロジェクト概要はこちら。読んでみてほしい。

We are Buddies プロジェクトでは、子どもと大人がバディとなり、オンライン・オフラインで、遊んだり、話したりしながら、細く長い関係性を築きます。バディとなった二人は、月に2~3回オンライン、月に1~2回オフラインで、 時間を過ごします。対象年齢は、5~18歳。

オンラインの場合は、30分程度、ZOOMなどのツールを使い、お喋りをしたり、画面越しで遊んだりします。オフラインで時間を過ごす際の場所は、毎回、二人で決めます。公園、動物園、博物館、カフェ、など、密室ではないパブリックな場であれば、どこでも良いです。二人ででかける際の遊び代は、1,500円/回(変更の可能性あり)程度、運営チームより出す予定です。基本的にはバディ(ボランティアメンバーのことをバディと呼びます) が子どもの自宅まで迎えに行き、2~3時間過ごし、自宅まで送り届けます。 (時間、送り迎えなどは、状況により臨機応変に変更可能)毎回、保険に加入します。

対象となる子どもは、一概に明確な言葉で表すのが難しいですが、「他者が子育てに関わった方が良さそうなご家庭のお子さん」だと思います。乳幼児のお兄ちゃん・お姉ちゃんかもしれませんし、障害を持った子どもの兄弟かもしれませんし、何らかの理由で親子関係が上手くいっておらず頼る大人がいない子どもかもしれません。親御さんから、もしくは、周りの方からからのお問合せが入り、運営メンバーが親御さん・お子さんと面談を実施⇒バディとお繋ぎという流れで進みます。

バディは、運営メンバーの繋がりの中で繰り返し面談をし、決めています。どんな子どもであっても1年以上コミットするという強い気持ちをもってバディになってくれているメンバーのみに協力いただいているので、信頼できるメンバーたちです。このプロジェクトに参加する場合のいいことは、子どもにとっては、信頼できる身近な大人ができ、親御さんにとっては、自分の時間ができるというところです。バディにとってのいいことは、「子どもと深く関わる」という貴重な経験ができる に、つきます。

運営メンバーは、子どもとバディのマッチング、子ども・親御さん・バディ とのコミュニケーション、バディの成長のサポートやバディ同士のつながりづくりなどを担います。具体的には、月に1度のバディミーティングを実施予定。バディ同士で経験をシェアし合える機会はもちろん、希望者に向けて、成長サポートのためのコーチングや、困ったことがある場合に子どもの発育に関するスペシャリストよりサポートさせていただく機会もつくります。


「一人の子供を育てるには、一つの村が必要」という、アフリカのことわざがある。とても、共感。かつては、日本でも、多くの大人が子育てに関わっていたはず。私は、都市部でも、村のように、子どもが、多くの大人と関わりながら育っていく世界が、見たいんだと思う。

やってみないとわからない。けれども、現在、トライアルで8組がオンラインでコミュニケーションを取り始めているが、既に、ものすごい可能性を感じる。それはまた別の機会にシェアしていくけれども。

まだうまく語れない。けれど、一言でいうならば、このプロジェクトの本質は、お互いが、この子どもと、この大人と、関係性を築いていくんだ という前提から始まる関係性構築なんだな、と。さらに、気が合う合わないの世界を越えて、コミットメントと信頼から始まるからこそ見える景色がある。

こんな風に感じる。見たことのない景色が、見え始めている。

どうなるかわからない。けれど、子どもにとってリスクのない形で、多くの人に見守ってもらいながら、巻き込まれてもらいながら、力を貸してもらいながら、着実に進めていきたい。

また、こちらの活動は、寄付・協賛・助成金などで成り立たせたいと思っており、最初の一歩として、月額固定のクラウドファンディングを開始しました。マンスリーサポーターになっていただける方は、こちらから応援いただけたらと思います。URLはこちらから。どうぞ、よろしくお願いします。

2020. 6. 24
加藤愛梨

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