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DAO的なコミュニティ/組織におけるSBTの活用方法

日本市場ではMZDAOの発表とともにDAOに関する議論が活性化しており、
・オンラインサロンとの違い
・スマートコントラクトの有無
など気になる点がいくつかありましたね。
コミュニケーションツールとしてDiscordを利用し、主に共創のカルチャーを育むことを目的としたコミュニティをDAOと総称する取り組みが、2021年のNFTブーム最盛期から定着しました。
実際のところ運営自体は中央集権的行った方が効率的であり、DAOの原理原則を参考とし、より優れたコミュニティ/組織運営のユースケースの創出が行われているのが現状かと考えられます。
そのため各レイヤーごとにコミュニティの特色は異なり、MZDAOの場合はより一般的な人々との社会実験的なポジションでの取り組みであるために従来のDAOの概念とは少しかけ離れたものになっている部分が多いのが特徴です。
イデオロギーポジションマップの線引きは難しいところですが、
・DAO = コミュニティ/組織(信仰)をスマートコントラクトによって制御していること
※あくまでスマートコントラクトはコミュニティ/組織を分散型自律的に運営/維持する補助的な役割
を1つの基準と考え、今回は話を進めていきましょう。

将来的な取り組みについては、上記のように前澤友作氏は答えており、今後「DAO的なコミュニティ/組織」がどのような発展を遂げ、どのような役割を果たしていくのでしょうか?
今回は、DAOに関する簡単な説明とともに「DAO的なコミュニティ/組織」におけるSBTの活用方法について解説していきます。

Crypto領域におけるDAOの現状と課題

Cryptoの文脈においては
Bitcoin:Trustless メカニズムによるコミュニティ駆動
👇
Ethereum:Community 議論による属人的なコミュニティ運営
といったようにやや大雑把ではありますが、ある一定の過程を経て、現在のマスアダプション期に移行してきた歴史があります。

・社会課題や共有の目的/ミッションごとに自主的に参加

・スマートコントラクトによる貢献度に応じたトークンでの報酬支払い・オープンなガバナンス/インセンティブ設計・最終的な属人化の排除(会社/運営母体の意図的な解散等)

などがDAOの要素や条件と考えられており、最近は

・Investment DAO

・Incubation DAO・Service DAO

など、各領域においてDAOの構築/整備が進んでいます。

Unbundling the unit economics of venture capital via DAOs

Service DAOs, Incubation DAOs, Investment DAOs

medium.com
一方で、実際のDAO運営においては下記のような課題が確認されています。

・価値観、文化に適合した人材獲得

・熟練した能力を持つ貢献者の継続的参加・文化と価値観を調整し、DAO 全体に広めること

Service DAOs - Landscape, Challenges, and Solutions

Whereas traditional companies look to consulting firms for advice, protocols and DAOs often have entirely different…

medium.com
DAOのムーブメント自体はトークンインセンティブやNFTを媒体とした民主的なIPコンテンツ制作などを通じて、これまでクラファンやボランティアの領域で行われていた取り組みを活性化させたことに大きな意義があると考えられます。✌️
一方、Cryptoと一般層の間にはDAOに関する認識に大きな隔たりが存在しており、コミュニティ/組織のグラデーションに応じたイデオロギーポジションをより明確/細分化するなど、Web3と同様にDAOが単なるバズワード、集金フレームワーク化することに対しては注意が必要であるとも想定されます。

一般層におけるDAO的なコミュニティ/組織

一般社会においてはゲームギルドや協同組合、アイドルビジネスなど「DAO的なコミュニティ/組織」の原型は古くから存在してきました。

A Prehistory of DAOs

This essay is the second in a Gnosis Guild series by @keikreutler bridging cryptonetworks, web3, and gaming. The first…

gnosisguild.mirror.xyz
スマートコントラクトのメカニズムを中心としたインセンティブ設計やトークンでの報酬支払いシステムはないものの
・社会課題や共有の目的/ミッションごとに自主的に参加
を1つの基準として緩やかな繋がりをもとに独自の文化や社会を形成してきました。
例えば、阪神ファンであれば、毎週のように甲子園に通い、毎年好きな選手のユニフォームを購入し、チームを応援し続けるようにある一定の宗教性を含んだコミュニティは身近なところに存在しています。✌️

・「聖地」甲子園を中心とした収益モデル

・阪神阪急から派遣される球団社長が調整役・監督や選手が野球を通じた「感情経済 + コンテンツ」を形成/提供

上記の構図で、1つのスポーツコンテンツとして阪神タイガースは人々の「ファン化」を促進し、一部では「神格化」されるほど熱狂的な存在でもあります。
最近ではNFTを販売しており、Cryptoのカルチャーをマーケティングに活用した施策の実施も行われていますね。

阪神タイガース初のNFTコンテンツ「Tigers Gallery」をドコモ、阪神タイガース、アイテック阪急阪神が共同で提供開始

「Tigers…

prtimes.jp
仮に阪神タイガースDAOが誕生してガバナンストークンによる投票などファンの声を球団経営に反映させるような仕組みができてしまうと

・球団運営:優勝はしないで年俸は抑えつつも満員御礼。できればAクラス。

・ファン:近年は戦略的にも充実しているし、優勝してほしい。負けてても応援には行く。

といった緩やかなつながりによって形成されてきたコンセンサスのバランスが崩れてしまう可能性もあり、必ずしもコミュニティ/組織が分散型自律的に運営されるのがすべてではないのも事実です。
一方、地方には阪神ファンのコミュニティが形成されており、全体的としては「球団-ファンコミュニティ」といった中央集権的な構図ではありつつもファンコミュニティ内においては
・DAO-subDAO
と同様の構図での仕組みがすでに構築されているとも言えます。

What's a SubDAO?

Dear Bankless Nation, Decentralized Autonomous Organizations (DAOs) have exploded in popularity in the past year…

newsletter.banklesshq.com

DAOのマスアダプション化に向けて

Crypto領域におけるDAOのカルチャーとフレームワークは、すでに多くの人々の支持を集め、応用されており、一部ではオンラインサロンと同様の取り組みが行われているのが事実ですが、有識者による議論の活性化などを通じて、DAOのあり方が模索されています。
今後は、Cryptoの原理主義的なDAOのカルチャーとすでに一般領域において分散かつ自律的に駆動しているコミュニティ/組織のエッセンスを取り入れ、より良いコミュニティ/組織運営を目指す取り組みが進むとも想定されますね。✌️
DAOのマスアダプション化に向けては、人々がマーケティング施策や話題性提供を目的にDAOのネーミングを利用し始め、各領域における社会実験を繰り返しながら、その思想概念への理解を深めるフェーズにあると言えます。
すでにスマートコントラクトによる制御を前提としない分散かつ自律的に駆動しているコミュニティ/組織をも内包するようなDAO論が展開されていることなど、より広義な拡大解釈が必要であるとも言えますが、MZDAOをふまえて社会実装に向けた議論が加速していくことが期待されますね。
また、市場全体の教育/啓蒙の観点では、世界中のDAOを探索できるデータベースなどがあるとDAOの最新事例をよりわかりやすく人々が知ることができるのかとも考えられます。(参考
誰か作ってくれないですかね。。。w

DAO的なコミュニティ/組織におけるSBTの活用方法

では、「DAO的なコミュニティ/組織」においては今後どのような取り組みが最適なのでしょうか?
2021年から現在にかけてはトークンの付与やNFT購入後のエアドロップなどのインセンティブ設計を通じ、中長期的な運営を目指す取り組みが行われてきましたが、投機性が強調される結果となる場合が多く、社会的受容に向けては「投機性の抑制」が1つの課題と考えられてきました。
その「投機性の抑制」を目的として利活用が提唱されているのが「SBT(Soul bound token)」です。
下記の記事にもあるように「SBTを活用した持続可能性のあるロングタームなWeb3カルチャー」は大きな関心が寄せられているテーマであり、譲渡不可であることはCryptoの文脈に新たな社会性を付与している側面も存在します。

Soul bound token(SBT)の活用事例|持続可能なWeb3ビジネスの構築に向けて

Soul bound token(SBT)は今年の1月にvitalickが提唱したのをきっかけにweb3領域では話題を集め、最近では下記の事例が確認/考案されています。

medium.com
「DAO的なコミュニティ/組織」内におけるSBTの活用はメンバーシップや貢献度を表すことにも繋がり、イベント参加者にSBTを配布するといった取り組みなどは「ファンであることの来歴」をブロックチェーンによって証明できることからその活用は広がりを見せています。

DNPとSUSHI TOP MARKETINGが業務提携 譲渡ができないNFT(SBT)を利用した「推し活」を共同研究 | gamebiz

大日本印刷株式会社((DNP)と、トークングラフマーケティングを実践するSUSHI TOP…

gamebiz.jp
SBTの活用がすべてではありませんが、譲渡不可であることはCryptoの文脈に新たな社会性を付与している側面もあり、「Why ブロックチェーン?」に対する1つの回答としてその普及が期待されています。

まとめ

経済活動の活性化やコミュニティ/組織へのコミットメントを促進するための新たな社会的フレームワークを模索する取り組みの一環としてDAOが注目を集めています。😄
約10年前にクラウドファンディングが流行したようにより多くの人々に向けてその社会的価値の提供が求められていますね。
去年の今頃は、「コレクティブNFTのプロジェクトのDiscordに入った=DAO的な取り組みに参画」くらいのレベル感だったのですが、そこからConstitutionDA、CityDAO、Bankless DAOなどが登場し、現在のように市場の細分化が進んでいます。
個人的には「Bitcoinこそが真のDAOである」といった思想を持ちつつもコレクティブNFTプロジェクトで知り合った人とイベントに参加するのが楽しかったり、さまざまなコミュニティ/組織に所属し、そのグラデーションを楽しむのも1つのDAO的なカルチャーなのかもしれません。
私たちもSBTに関するサービスを準備しているので、期待していてくだい!✌️


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