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ビジネスデザインという視点からサービスやブランドを考える

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マガジン

  • 小売りのミライ

    激変する小売業の未来像を探る

  • USリテール&トレンド

    米国流通に関するニュースやトレンド分析を独自の視点から。

  • BTS現象と近未来のエンターテイメントビジネス

    BTSが世界中で社会現象化している。予め断っておくが、私自身このグループには音楽的にまったく興味を持てないし、もちろんファンでもない。たまたま関わっている勉強会で研究対象としたため、その現状やビジネスについて調べてみると、現在のエンターテイメントビジネスが抱えている課題や近未来が、透けて見えてくるように思われてきた。個人的に大好きな、伝説と言われるロックグループ「グレイトフルデッド」やその革新的なビジネスにも共通するような出来事が、BTSの周辺ではグローバルに起こっている状況も見えてきた。ただし、十分時間をかけて調査しているわけではないので不正確な部分などあるかもしれないが、今後徐々にアップデートしていく予定。とりあえず現段階で考えていることをまとめてみた。

  • グレイトフル・デッドとジェリー・ガルシアに学ぶ

    60年代サンフランシスコに生まれた伝説のジャムバンド、そして尊敬するギタリストのジェリー・ガルシアは音楽を超えた何かを僕に考えさせる。

  • ビッグブラザーの近未来に幸せな小商い

    組織は巨大化していくにつれて、日々の活動のベースとなっていた創業時の思いからいつの間にか離れ、独自の意思を持つようになる。そんな視点から、あのシアトル企業の研究ばかりが盛んな現在、ここでは「あちら側」ではなく、むしろ「こちら側」について研究しようと思う。小説1984のビッグブラザーがどうしてもあのシアトル企業に重なって見えてしまうカウンターな視点から、近未来に幸せになれそうな「小商い」の姿を探っていく。

最近の記事

サービス視点から見た小売業の考察 「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年)

2019年バンコックの経営学会で研究発表(全文英語 横浜市大鴨志田教授との共同研究)したものを日本語化し、現段階で必要と思われるアップデートを瀧澤が施しました。 ================================== 概要:コロナ禍という地球的な災害も影響して、いま小売業界は多くの課題に直面している。築き上げた地位を失いつつあるのは「製品の在庫と分配」を主な機能としてきた「旧型」の小売業である。そうした企業に必要なのはデジタル対応(DX)だけではない。アマゾン

    • (3)「サービスとしての小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) 商品の先にある価値とD2C

      ■「商品の先にある価値/Beyond Product Value/BPV」を創造するD2C SPA(製造型小売業)はすでにアパレル業界における一般的なビジネスの形態になっている。SPAは自社で商品企画とデザインを行い、自社の責任で商品を製造し販売する。アマゾンも現在SPA化を目指して着々と準備を整えている。前の項で述べたように、2020年時点で同社は様々なカテゴリーにおいて100を超える自社ブランド、あるいはアマゾンだけが販売できる独占的なブランドを展開しており、その数は急

      • (2)「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) 分配の先にある価値

        ◼️製造業と流通業 流通業の最終的な目的は製造業によって生産された製品を消費者に引き渡すことにある。つまり流通業(Distribution Industry)は製品のDistribution をおもな目的とする産業である。それぞれの店舗においてはマーチャンダイジングという行為が加えられて「業態」、たとえばコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店、百貨店などが創り出される。こうした業態においえ新しい価値が付加されることもあるが、そ

        • (1)「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) ナチュラルモノポリー企業の誕生と小売の輪理論

          ◾️ナチュラルモノポリー企業の誕生 現在、変化をドライブするエネルギーはテクノロジーだ。進化するテクノロジーの中で、ビジネスと消費者、あるいはビジネスとビジネスとの間でコミュニケートされる情報の総量も爆発的に増加している。AIの急激な進化とビジネスへの普及によって、情報の発信者と受信者がAIに置き換えられるという未来がすでにSFではなくなってきた。近未来的には、リアルな人の手を介さずにAI同士のやり取りだけで様々なBtoBあるいはBtoCのトランズアクションが済まされる時代

        サービス視点から見た小売業の考察 「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年)

        • (3)「サービスとしての小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) 商品の先にある価値とD2C

        • (2)「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) 分配の先にある価値

        • (1)「サービス視点を持つ小売業 / Retail as a Service / RaaS 」(2022年) ナチュラルモノポリー企業の誕生と小売の輪理論

        マガジン

        • 小売りのミライ
          5本
        • USリテール&トレンド
          4本
        • BTS現象と近未来のエンターテイメントビジネス
          1本
        • グレイトフル・デッドとジェリー・ガルシアに学ぶ
          0本
        • ビッグブラザーの近未来に幸せな小商い
          4本
        • 二地域居住/Dual Habitationのススメ
          3本

        記事

          RaaS/ 小売業の未来

          テレビのビジネスニュースなどで「RaaS」という言葉を耳にすることが増えている。「Allbirds」や「b8ta」などのD2C企業が相次いで日本に上陸していることが影響しているようだ。実は2019年3月にバンコックで開催されたある経営学会で、横浜市立大学の鴨志田晃教授と共同で「Consideration of Retail company from the Service point of view "Retail as a Service / RaaS"」という研究発表をし

          RaaS/ 小売業の未来

          「BTS現象と近未来のエンターテイメントビジネス」

           BTSが世界中で社会現象化している。予め断っておくが、私自身このグループに特別な興味は持たないし、ファンでもない。たまたま関わっている勉強会で研究対象となったため、その現状やビジネスについて調べてみると、現在のエンターテイメントビジネスが抱えている課題や近未来が、透けて見えてくるように思われてきた。個人的に大好きな、伝説と言われるロックグループ「グレイトフルデッド」やその革新的なビジネスにも共通するような出来事が、BTSの周辺ではグローバルに起こっている状況も見えてきた。た

          「BTS現象と近未来のエンターテイメントビジネス」

          D2Cの強い味方「b8ta/ベータ」

          皮肉なことに、ネット専業であるはずのD2Cにとって意外に重要なのがリアル店舗をしっかり運営すること、と前回のnoteで書いた。なぜならば、ユーザーとブランド・商品の接点という意味で、リアル店舗以上の体験を創り出せるものがそう多く存在しないからだ。オンラインのみでそれを行うとするとやはり多額の費用が必要になるし、その効力は次第に低下してきたように思われる。 ただしたとえば書籍など、ユーザーがすでにタイトルや著者など商品に関する主要な情報を認識している場合、無数に存在する書籍の

          D2Cの強い味方「b8ta/ベータ」

          アマゾンは試食の楽しみを奪うか?

          実は書店が苦手だ。書籍そのものが嫌いなわけではなく、もちろん本はけっこう読むし、忘れることのできない本に人生の節目で出会ったことでその後の人生が大きく変わってきた。でも日本の書店に入るとなんだかいたたまれない気持ちが心に沸き上がってきて、特にビジネス書やマーケティング関係の書棚では、何も手に取ることなく店を出てしまう。 なぜならば、書棚に並ぶ書籍が一斉に、身も蓋もないむき出しの下品な言葉で、しかも大声でこちらに訴えかけているように感じられるからだ。だから、ビッグブラザーにな

          アマゾンは試食の楽しみを奪うか?

          D2Cでリ・フレームされるリアル店舗

          ビジネスメディアでD2Cという言葉を目にすることが珍しくなくなってきた。言うまでもなく、D2C(Direct to Consumer)は米国発のオンライン専業の製造型小売業のこと。オンライン専業ではあっても、ある程度に成長するとリアル店舗を展開することが多い。大都市において展開されるそうした店舗が販売目的であるケースはほとんどなく、大部分は純粋にショールーム目的で運営されるために在庫もごく限られており、だいたいは店舗で商品をチェックしてその場からオンラインで発注する、という仕

          D2Cでリ・フレームされるリアル店舗

          ナチュラルモノポリー

          いまビジネスに勝利するためにもっとも重要なのは、言うまでもなくテクノロジーだ。テクノロジーにおいて世界最強とされる企業群がGAFAであり、Eコマース分野において世界最強最先端のテクノロジーを持つ企業はアマゾンだ。そのうえ現在も年に数兆円というとんでもない予算規模で継続的に技術開発を進めている。そして自社が未着手な分野において先端的な新興企業を見つけた場合には、拒否することのできないような金額を提示し買収して技術を自社のものとしてしまう。 アマゾンは米国のEコマース市場ですで

          ナチュラルモノポリー

          アマゾンはビッグブラザー?

          前回、アマゾンは現社会におけるビッグブラザー最有力候補ではないかという僕の疑念を述べた。それなら何よりもまず現地で「直感的に」感じることから始めようと思いたち、現地、つまりシアトルに行ってみた。2019年2月末のことだ。 直感的な感覚などが企業分析の役に立つのか、と言われそうだ。でも企業価値を考える上において、ブランドとしての評価は重大なポイントであり、それはつまり「その企業が市場やユーザーや社会から好まれているか、嫌われているか、なんとも思われていないのか」という差でもあ

          アマゾンはビッグブラザー?

          Big Brother is watching You

          イギリスの作家ジョージ・オーウェルが1949年に発表した有名な小説「1984」はディストピアの近未来を描いた暗い物語。「・・・1950年代に発生した核戦争後、世界は3つの超大国によって分割統治されていた。そこでは絶えず戦争が繰り返されている。その一つオセアニアでは、市民のあらゆる生活が「テレスクリーン」という双方向性のテレビや、街中いたるところに配備された隠しマイクによって監視されている・・・」(詳しくはWikiPedia参照)。 デジタル機器もインターネットも存在しない1

          Big Brother is watching You

          Empty Big Box の急増に見る米国流通の未来(1)

          この数年、カリフォルニアやニューヨークに行くたびに何となく感じていた米国流通業界激変の兆しのようなものが、とうとう現実になってきたようだ。全米各地に建設されてきたリージョナル型のショッピングセンター(SC)ではテナントが抜けてしまった空きスペースが数多く見られるようになってきた。さらに主要幹線道路沿いに建設されたコミュニティ型のSCでも、そして複数の大型専門ディスカウンターを集めて絶対的な集客力を誇ってきたはずのパワーセンターにおいても、空きスペースが目立つようになってきたの

          Empty Big Box の急増に見る米国流通の未来(1)

          米国ウーマンズアパレル「リミテッド」のチャプター11申請は「フォーマット」時代の終焉?

          ギャップとならんで米国のアパレル業界におけるトップ企業の一つであったリミテッドが、今年(2017年)はじめに米国版民事再生法であるチャプター11の適応を申請した。ただしチャプター11を申請しているのはリミテッド本体であり、グループの中にはいくつかの優良リテーラーが存在している。リミテッドの破綻は米国リテール業界が新しいステージに移行しつつあることの一つの象徴だと思う。 リミテッド社は以前から周辺事業の多角化に非常に積極的な企業だ。たとえばビクトリアズシークレットやバス&ボデ

          米国ウーマンズアパレル「リミテッド」のチャプター11申請は「フォーマット」時代の終焉?

          二地域居住のススメ(つづき2)

          サンフランシスコ(シリコンバレー地域)で20年近くを過ごしたあと、僕は90年代の終わり近くにマンハッタンに引っ越すことになった。それまでのサンフランシスコ~東京という二地域居住は、マンハッタン~東京へとさらに距離を伸ばすことになった。 米国の西海岸と東海岸は距離的にも離れているが、文化的にも別の国かと思えるほど異なる点が面白い。ちなみにサンフランシスコ(SF)とNYは飛行機で片道約5時間の距離。ところがこの東海岸地域と西海岸地域の間には3時間の時差があるので、NYからSFと

          二地域居住のススメ(つづき2)

          二地域居住のススメ(つづき1)

          ほんの軽い気持ちで米国に移住して数年過ぎた80年代初期、サンフランシスコの南の小さな街Belmontに生活の拠点を持つことになった。その頃から、日本の視察グループが頻繁に米国にやってくるようになっていた。米国流通業界の最新動向を研究することを目的として、大手流通企業から派遣されたグループだ。 僕はそうした企業向けに、米国の流通とマーケティングの最新トレンドをまとめたレポートを毎週発行していた。この仕事は、僕の人生に大きな影響を与えた「師匠」である(故)ロバート鈴木おさむ氏が

          二地域居住のススメ(つづき1)