着物と呉服の違いと特徴

日本の伝統的な服装に関する文化は、長い歴史を通じて多様な発展を遂げてきました。その中でも「着物」と「呉服」は、特に注目されるキーワードです。しかし、これらの言葉の意味や違いについて正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。この記事では、着物と呉服の違いとそれぞれの特徴について詳しく解説します。

着物の特徴

1. 定義: 着物は、日本の伝統的な服装を指す言葉で、一般的には、胴体と袖から成るT字型の形状を持つものを指します。
2. 歴史: 平安時代から現代にかけて、日本人が日常的に身につけてきた衣服です。
3. デザイン: 着物のデザインや柄は季節や着る人の年齢、婚姻状況などに応じて異なります。例えば、浴衣や訪問着、振袖などがあります。
4. 材質: 着物の素材もシルク、綿、麻など様々です。季節や用途に応じて選ばれます。

呉服の特徴

1. 定義: 呉服は、元々は中国の呉地方から輸入された絹織物を指す言葉でしたが、時代が進むにつれて、日本で作られる高級な織物や、それを用いた衣服全般を指すようになりました。
2. 業界: 現代では「呉服屋」は、高級な着物や帯、その他の関連商品を取り扱う専門店を指すことが多いです。
3. 対象: 呉服は、特に格式のある場や行事に用いられる高品質なものを指すことが多い。

着物と呉服の違い

1. 範囲: 着物は、日本の伝統的な衣服そのものを指す言葉です。一方、呉服は、高級な織物や、その織物を用いた衣服、またはそれらを取り扱う業界そのものを指すことが多い。
2. 価格: 一般的に、呉服は高品質で価格が高いものが多いです。一方、着物には幅広い価格帯のものが存在します。
3. 用途: 呉服は格式のある場や行事で用いられることが多いのに対し、着物は日常の様々な場面で用いられます。

まとめ

着物と呉服は、いずれも日本の伝統的な衣服文化を代表する言葉ですが、その意味や背景には微妙な違いがあります。着物は日本の伝統的な衣服そのものを指すのに対し、呉服は高級な織物やそれを使用した衣服、またはその業界全体を指す言葉として使用されています。これらの違いを理解することで、日本の衣服文化の深さや多様性をより深く感じることができるでしょう。

呉服とは、和服などで使われる主に絹織物のことです。

呉服とは、弥生時代中期に中国の「呉」から絹の生地や織り方が日本に伝わってきたことに由来します。

当時の人々は、身分にかかわらず、綿と麻素材の衣類を着ていました。
絹の生地の肌触りの良さやきめ細かなことに驚き、高い身分の人達だけが絹を着る高級生地となったのです。
その当時の人々は、生地のことを「はたおり（機織り）」の変化した語の「はとり」と呼んでいました。
呉から来た絹の生地⇒呉から来た絹の服⇒音読させて呉服(ごふく)となったというわけです。

絹は、時代が下っても高級な素材であり、庶民は木綿や麻で作られた着物を身につけていました。

そうした木綿や麻の織物(反物)は、「太物(ふともの)」といいます。

太物に対して、絹織物を意味する語として呉服は使われるようになりました。

呉服と混同しやすいのが「着物」です。
近年では絹織物だけでなく、それを使って仕立てた着物のことを呉服と呼ばれるようになっています。
この歴史的な経緯についてご説明していきます。

昔の衣類は、反物の状態で販売し、仕立ては自分で縫うか仕立て屋さんに着物を縫ってもらうものでした。
江戸時代に「呉服屋」「太物屋」が誕生し、呉服を販売する店と太物を販売する店ができたのですが、そのうち呉服も反物も扱う店も出てきて、呉服という言葉は織物全体を指す意味として使われるようになりました。
時代を経て呉服屋のうち着物の仕立てをするオーダーメードをする店が現れるようになりました。
呉服屋は身分の高い人や金持ちしか買えないものでしたので、庶民は呉服屋から絹の着物で出てくる人を見て、呉服のことを絹の着物を売っているところと勘違いするようになりました。

こうしたことから現在では呉服を絹の生地で仕立てた着物を指す言葉として使われるようになったのです。