「もしあの頃に戻れるとしたらいつ?」 私が真っ先に思い浮かべるのは高2(17歳)の夏だ。将来の進路に悩むこともなく、日々の部活に明け暮れ、仲間たちと中国大会やインターハイを目指していた時期、南沙織さんの『17歳』の世界観で言えば、「私は今、生きている」感覚が強烈に強かった。 今の17歳たちは、長引くコロナ禍の影響で思い通りにならないことが多い上に、大学進学を考えても多様化が進み(学部の種類数は私たち世代に比べて5倍以上)、自分が何者であるのかを見定める機会も経験値も少ない。