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ポジティブはネガティブから生まれる ~義足の冒険家 PositiveRyuta~

今回、私がお話を聞かせていただいのは、「義足の冒険家」こと、ポジティブ隆太(Positie Ryuta)さんです。

彼は17歳の時にバイク事故によって、左足の膝から下を失った。
当時夢中になっていたモーターバイク、そしてとび職の仕事。
一度に2つ、大切なものを失った。

命か左足か。
選択の余地のない選択が、17歳の若者に突き付けられた。

私には想像もつかない壮絶な決断。
しかし彼は3日後には、失った左足よりも、失ったからこそできることに気持ちが切り替わっていたそうです。

ポジティブ隆太さんと出会ったのは今年の4月、東京で開催されたポジティブ心理学ワークショップ。


ポジティブ心理学ワークショップにポジティブ隆太なんて出来すぎ(笑)
なぜこのワークショップに参加したのか?と聞いた時に、
彼は、「みんなどうして無理してポジティブになろうとしているのかわからないから」と言った。

ポジティブになろうなんて無理しなくてもいい。
ネガティブの何が悪いんだ。
僕はもしかすると究極のネガティブなのかも知れません。

将来に対する不安、出来ないことへのジレンマ、ネガティブな心からしかポジティブは生まれない。
だからネガティブな感情も大切なんだと。

両足あってもバック転は出来なかった。
けど、バック転が出来ないことにスコープはあたらない。
出来ないことにスコープしても仕方ない。
だけど、左足を失った瞬間、
バック転が出来ないことにスコープされる。
左足が無いから出来ない。
両足があった時に興味がなかったことが片足を失ったとたん、出来ない原因をそこに求めがちになる。

ポジティブ隆太さんは、無くなって出来なくなったことよりも、無くなって出来ることにスコープを充てる。
その切り替え方がすごい。
話す出来事のすべてがポジティブ。

失敗談を聞いてみた。

それ聞かれると一番困るんですよね~。
強いてあげるなら、自分の店の2号店を出した時に1号店と近すぎて、赤字になったことかな。

彼はいま、Youtubeを通じて自分の考えを発信されています。
同じ境遇の方、そして、健常者の方も含めてコミュニティーを作っていきたいと。
初めて2か月くらいですが、まだまだ認知されていません。

この機会に、チャンネル登録してください。

こちらは、私がインタビューした内容をご本人が詳しく語っています。


彼が運営しているTeamPOSITIVEは、スポーツを通じて障害を持っている人を応援しながら、健常者の方への理解含めて様々なチャレンジをしていこうとされています。
障害を持っている人が「できない」のは、世界が健常者をベースにして作られているからです。
障害を持っている人ができないことはないというのを世の中のスタンダードにしていきたいと考えられています。

アスリートであり、障害者である彼らは、「生きる大切さ、チャレンジする大切さ」を含めて、多様性への理解を進めていきたいと考えられています。
企業や学校での講演会企業によるスポンサーを募集されています。


彼は2017年パラリンピック選考の対象となる、スノーボードのワールドカップに参加するチャンスを得たそうです。
しかしその初戦で、怪我。
10日間のワールドカップはもちろんのこと2017年シーズンを棒に振る事態。
つまりパラリンピックへの出場断念に近い出来ごとだったわけです。

彼は何も出来ないことを受け容れ、そこから10日間は、毎日夜、飲み倒したそうです(笑)
しかしどれだけ飲んでも翌朝の練習ミーティングと、他の選手の試合のビデオ撮影は欠かさずにやったそうです。

実はただ飲み倒すだけが目的ではなく、アメリカの選手やコーチたちとコミュニケーションを取ることが目的。
英語はまったくしゃべれません。
一緒の輪の中に居て、楽しそうにしているだけで、彼らは受け入れてくれる。
そう言っていました。
その後、自らナショナルチームを辞退した後、「なぜRYUTAは来ていないんだ。」とみんなが気にかけてくれたそうです。
また2016年に知ったアメリカの義足メーカーの商品を日本で扱いたいとずっとメールで交渉してきたが、空いた時間で直接交渉して日本でも扱えるようにしたそうです。
ありきたりな言葉かも知れませんが、「ただでは転ばない」ですね。

ポジティブ隆太さんの考え方は非常にシンプルで心に届くものです。
障害の有無にかかわらず人間としての本質の部分を語っていただくことが出来る人だと思います。

ネガティブもあればポジティブもある。
両方あっていい。
すべてはバランスの問題である。
ポジティブ隆太さんの場合、強烈なネガティブの存在があるからこそ、その強烈なポジティブがあるのではないかと感じました。

企業、学校団体での講演に力を入れてやっていきたいと仰ってっしゃっています。同じような障害を持つ方へのメッセージ、また企業での雇用、多様性の受け入れなど、時代は彼を求めているような気がします。また、健常者に対しても強烈なメッセージも発信が出来る方です。

それは、彼が健常者から障害を持ってしまったからです。
あれもあればこれもある。
ポジティブ心理学のワークショップでマーティン・セリグマン教授が彼の質問に対して「君の言ってることがまさに伝えることだ」とこの言葉を復唱していました。

自分の死を覚悟し、左足切断という決断を受け容れ、それからの不自由な行動に対する考え方はすべてネガティブを受け入れることだったと思います。
受け入れた方の考え方は強いと改めて思いました。
既に彼にとってのネガティブは認識できないレベルまで昇華されてしまっている。

だけど彼は言います。
ネガティブもあれば、ポジティブもある。

記事:「理念会議」メンバー 中野 敦志


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