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「自治体3.0」を理念に行政に新しい働き方の風を吹き込む~生駒市役所・人事課/稲葉淳一さん~

こんにちは。
理念会議メンバー、奈良市在住の中野です。


今回初めての記事を書かせていただきます。
記念すべき第一号の記事は、お隣の生駒市から提供させていただきます。

皆さん、生駒市をご存知ですか?
奈良県の最も北西に位置し、大阪のベッドタウンとして有名なまちです。
人口は12万人。私が奈良に引っ越して来た昭和40年代はまだ生駒郡生駒町でした。その頃からは人口が3倍近くになっています。

4年前、この生駒の市長に就任されたのが現市長でもある小紫雅史さんです。
8年前に全国公募で副市長になられ前市長の県知事出馬に伴い現職立候補されて当選しました。
実はこの小紫市長がすごい人なんです。

小紫市長は「自治体3.0」の概念を提唱されておられます。
行政都合の施策を住民へ押し付けるのが「自治体1.0」、住民ニーズを把握して行政施策へ反映するのが「自治体2.0」だとすれば、自治体職員がまちへ飛び出し、住民と一緒にまちづくりを積極的に行っていくのが「自治体3.0」というわけです。

この新しいまちづくりの考え方に基づき、魅力的な施策を打ち出された結果、定住意向率85.7%という、まさに「住民から愛されるまちづくり」を実現されているんです。

https://www.nativ.co.jp/article/ikomashiyakusho01/3/
より記事抜粋。

今回その生駒から、市役所で人事課に所属されて活躍されている稲葉淳一さんにお話を聞かせていただきました。

今回、稲葉さんと私を引き合わせてくださったのは、生駒市にあるコワーキングスペース「イコマド」の運営スタッフの津村さんでした。

「イコマド」は企業のサテライトオフィスとしてのテレワーク機能、生駒で働く人たちのコワーキングスペース機能、起業を目指す人の支援としてのインキュベーション、シェアオフィス機能を兼ね備えた、自由に働く人たちの強い味方なのだ。

2018年のはじめくらいに、生駒市役所に勤める高校大学の友人から、「俺、今度イコマドの担当になったんやけど、ようわからんから一度見に来てくれんか?」と打診がありました。
そういう繋がりは大歓迎なので早速出かけて行って津村さんと繋がり、それからのお付き合いをさせていただいています。
その際にハウス食品様のテレワーク拠点として推薦させていただいた経緯もありました。

私は、個人的な取り組みとして「企業間合同ワークショップ」というのをやっておりまして、絶対その中に生駒市役所の職員の方が入ったら楽しい!と思っていたんです。
行政と企業とのコラボ研修。
企業間でも多様性は引き立ちますが、公務員の方が入ったらもっと多様性が増えるだろうと思っていました。

そんな話を津村さんに雑談でしていた時に、「楽しそうですね!僕、生駒市役所の人事の方知ってるので一度声かけてみます」と共感いただき、お声掛けくださったのが、今回の顔合わせに至るまでの裏話でございます。

実は、津村さんからお声掛けいただいた次の日に、「是非、企業合同研修はオブザーバーで参加させてください」と連絡があったので、さすが!早い!と感心しました。


前置きはこのくらいにして、早速、生駒市役所の稲葉さんとのお話のレポートをさせていただきます。

稲葉さんは入庁されて9年目になるそうです。
入庁後5年間は、再開発事業や都市計画の策定に尽力されました。
その後、元々は総務省の外郭団体であった「一般財団法人 地域活性化センター」へ研修派遣というかたちで2年間の武者修行に出されたそうです。
そこでの任務は「自由に学んで来い」だったそうです。

なんかさすが、生駒市って感じですよね。
これも小紫市長の人材戦略だったようです。

いきなり東京の大都会の見知らぬ土地での「大雑把な任務」を受けた稲葉さんは、当初何を学んでいいのか、、、途方に暮れていたようですが「何かを学んでからでないと帰れない」と思い立って、前向きに動き出したそうです。
そして、数多くの思い出深い仕事をされて、昨年、生駒に帰って来られました。
この時の経験がいまの彼を作っています。
動けば変わる。仕事に対する目的意識やまちへの思いが何よりも大切。

戻ってからは革新的な生駒市長の下、人事担当として、数多くの事案を担当されています。
生駒市では全国に先駆けて公務員の副業を解禁しているのですが、その担当も稲葉さんがされています。
副業と言っても、アルバイトし放題というわけではありません。
職員の方が地域活動など公益性の高い活動を行う際に報酬をもらっても良いという制度です。
これも地域に飛び出す職員を少しでも増やそうという「自治体3.0」のまちづくり実現に向けた仕組みの一つだそうです。

これまで副業をされた方は10名ほどだそうです。職員が800名ほどだそうなので約1.2%くらいですね。
以前、副業を解禁したことで有名なロート製薬での実施率が5%ほどと聞いていましたので、何事もインフルエンサー率はそれくらいまでに納まるのかと思います。
これからですね。どんどん出ていって欲しいと思います。

ちなみに、生駒市の職員の副業の対象となる活動の条件は下記の通りです。

(1)公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であって、報酬を伴うもの。
(2) 市内外の地域の発展、活性化に寄与する活動であること。
※生駒市ホームページより抜粋
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000014242.html


これら以外にも地方公務員法に抵触しないか、個別に判断しながら許可を出しておられるそうです。

また、稲葉さんご自身もプライベートの時間を使ってボランティア活動を実践されており、副業する方の環境理解をされています。
公務員の副業はもっと広がるべきと考えておられるようですが、フルタイムで働きながらの副業やボランティアは心身ともに負担が大きく、健康面に支障が出ないかが人事担当として心配とのことでした。

私も、副業ではないですが、実際に1年間パラレルキャリアで平日の夜、土日に活動している時期がありました。
さすがに12連勤とか、平日夜間の活動が3日続くとかなると、すごく体力的な面で負担を感じました。

また、私自身もやってきて感じたのですが、本業を疎かには出来ないという思いと、本業に外で得たものを全て還元したいという気持ち。
そして、何よりも外に出ての活動や人との繋がりは本当に大切だと思います。
そこで学ぶことは、同じ組織で居る時には感じない「当たり前に出来る自分の力」と、社内での共通言語が通じない「多様な価値観」、背景の違う方からの対話から生まれる「新しい自分の発見」とメリットばかりです。

さてさて、第1回目の記事はいかがでしたでしょうか?

企業理念を中心に組織開発と人材開発を促進し、幸せな組織と人を作るという概念の下、我々はこの「理念会議」に取り組もうとしています。
生駒市役所のような自治体においては、企業理念という考え方はずれているように映るかも知れません。
しかし、小紫市長のビジョンからは現在の企業理念と全く変わらないものが伝わってきます。
企業人も公務員も、組織に所属するものとして従来型の「終身雇用、年功序列」から脱却し、自律的なキャリアを築くためにどんどん外へ出て行けという姿勢には私も共感致します。

今回は、「イコマド」の津村さん、生駒市役所の稲葉さん、本当にご協力ありがとうございました。

記事 : 「理念会議メンバー」中野敦志

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