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子育てに万能処方箋なんてないし、年齢制限もない

 うちの家族内に思春期・反抗期の子供が一人以上いるという状態は、10年間ほどあったw

子供が多いということは、そういうことである。だからと言ってその期間、我が家全体が暗かったかというとそんなわけはなく。みんながそれぞれの日常を送っていた。この期間に我が家は引っ越しを何度となく繰り返していて、その度に新しいママ友ができたりして、いろいろな国のママから、そういう時期の子供を持つ悩みもたくさん聞いた。

個人的に何かを誰かに相談するようなことはないので(関係者がいれば一存で決められないこともあるから、それはもちろん相談するが)、自分の子供のことについて具体的に誰かに相談することはなかったが、それでもそういう時期の親の気の持ちようについて一般的な話として聞いてみることは多々あった。

例えば、先輩ママさんたちにこういう質問をした。

「うちの子、いま難しい年頃なんですけど、あなたのお子さんはどうでした?特に大変なことはなかったですか?」

もう出てくるわ出てくるわ壮絶な話のアレコレ。それに対するママさん方の対応の話もすごいのだ。とても可愛らしいママさんだと思っていた人が、息子に対峙するためにどれほどの労力を投じたかとか、中には子供と一緒に死のうと思った、毎日親子で泣いていたという話まで出てくる。

その中にすっごく心に残った話があるので、シェアしてみたい。特に大袈裟な話ではないんだけど。

香港のバリキャリ女性さんの話である。

彼女は息子さんの思春期の時期に、彼女自身のプロモーションがかかった、重要な仕事を抱えていたらしい。

まず前提として、香港では夫婦共々がフルタイムワーカーであることが多く、基本的に子供の世話や家事については、住み込みのヘルパーさんにお願いするのが一般的である。とはいえ色々な子供の教育その他についての意思決定は親が行うのは当然のことである。子供は常にヘルパーさんの目の届くところにおり、安全ではあるが、親に相談したい時にすぐに相談できるかというと、そうではないこともあるだろう。彼女の家庭もそこは変わらなかった。

息子さんがとても悩んでいることがあり、それを親である彼女に相談しようとしたらしいが、その時に彼女は自分のことだけで精一杯で、そのことを正直に伝えつつ、結果的には彼を突き放してしまったらしい。親として自分は最低かもしれないけれど、そうするしかなかったそうだ。

その時の息子さんの心持ちがどうであったかは分からないのだが、それからしばらくの間、親子関係がピリピリギスギスしていて、その状態のまま息子さんは米国の大学へと進学してしまった。

が、子供はそこで勝手に大人になってしまったのか、そこからよくビデオ通話をするようになったらしい。彼女はキャリアも長く、子供のこれからの仕事人生を前に、彼の方から親である彼女に直接相談することも多くなり、それについて彼女が話せる話題の引き出しは多く、過去のことが嘘のように親子関係が良くなったらしい。

「今が一番、息子との関係がいいのよ。小さい頃にできなかったとしても、関係は後からいくらでも変えることができる。だからあまり色々と思い悩まずに、その時に自分ができることをやって、至らないところを後悔せず、自分に余裕のある時に(できなかったことを)取り返せばいいんじゃないかな。」

その時に、これは「ニッポンの働くママさんに、この言葉を聞かせてあげたい」と思ったのだ。仕事が忙しく子供が小さい頃に側にいてあげられなかったとか、寂しい思いをさせてしまったかもしれないと後悔しているのなら、そんな必要はなくて、社会人としてのキャリアとそこから得た経験から、子供にとって有益な話がこれからいくらでもできるだろうし、それでええんちゃうかなと思うのであーる。

今は子育てや教育についての情報が飽和状態で、子供のある時期に適切な働きかけができなかったとしたら、もう取り返しができないかもしれないと思う人もいるかもしれないけれど、これからの長い人生が待っている子供さんからすると、「そんなこと決めつけないでよー、失礼だなぁ、もう。これからだってなんでもできるもん!」と思っているかもよ?

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