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香港の公立病院(医療保険制度)がすごすぎて驚いた話

 香港には数年ずつ2回住んでいたのだが、その間に病院にお世話になったことは多々ある。

カナメは香港で胆嚢摘出手術を受けているし、子供に至っては、歯の矯正をしたり、皮膚疾患の切除手術や、幼い子供の歯科治療でも全身麻酔を使ったことがある。

当時、住んでいた場所の近くに夜間&救急対応可能な総合私立病院があったこともあり、必要があれば、その私立病院に駆け込んでいた。

私立病院の場合は、目の玉が飛び出る程、お高い診療代を払って病院を後にすることになる。それが入院を伴う手術の場合は尚更である。カナメの手術費の支払いは、クレジットカードの限度額を余裕で超えまくり、あわててカードの引き落とし口座にDEPOSITして限度枠を引き上げて、ようやく決済にこぎつけた。

そんなこんなの海外暮らし、色々なことが勃発する。

末っ子バクが学校のPE(体育)の授業中に転倒して怪我をしてしまった。

学校から呼び出しを食らって、慌てて学校に到着後、先生から詳細をお聞きしながら、救急隊員さんとのやり取りの後、バクと一緒に救急車で公立病院に到着

バクの状態は「はいはい、明らかに手首が骨折してますね〜」という感じで、私ができることは特になさそうだったのだが、とにかく脳内が「海外で救急車に乗ったら、いくら払わないといけないのか」ということで頭がいっぱいであった。

救急隊員さんが受付までエスコートして下さり、バクの香港IDカードを提示しつつ、思わず脳内の声が口に出てしまった。「救急車の料金は.........、今ここで支払うのかしら?めっちゃ高いですよね……」と。

長身マッチョの救急隊員のお兄さんは、「あ、それは受付で聞いてみて。香港IDカードあるんだよね。オッケー。カードがあれば、おそらくそんなにかからないはず。」

と言って、彼は颯爽と消えた。受付に残された私は不安すぎてゲロ吐きそうであった。

結局、そのまま手術を受けて入院、その翌日に帰宅、その後定期的にチェックアップに行くことになったのだが、救急車の料金は請求されなかった(汗)。救急車を呼んだのが学校だったからかしらん?

それよりも驚愕したのは、

全身麻酔アリの手術をして(レントゲンなどの検査付き)
鎮痛剤などの薬もどっさり頂き
一泊病院にお泊り(ごはん付き)

なのに二日分の定額料金しか請求されなかったの!!!

要するに、手術の内容や薬価に関係なく、このコストですべての恩恵が受けられるということ。

確か、当時、初診がHK100、翌日からHK70程度だった記憶が(汗)。これで全部込み込みだったはず。

しかも通院時も一日料金を払うだけですべての医療が受けられる。薬代を別に請求されることもない。

診察待ちでランチ時間をまたぐと、なぜか待っている人全員にお弁当が配られるという謎システムにも遭遇(汗)。そこそこのボリュームの中華弁当である。

そして特筆すべきは、その医療レベルがめっちゃ高い!

患者さんの数が多くて手術の数が半端ないので、医療従事者全員のスキルが高い、高い、高すぎる!

説明も的確、完全にMECE。情報に洩れもダブりもない完璧な説明。聞きたいことにはすべて答えてもらえて、リクエストもばっちり聞いてもらえる。

そして看護師さん、その他のスタッフさんもテキパキと働いていて、かつ連携が完璧!
引継ぎも完璧!
初めて見る看護師さんでも、前の看護師さんに伝えていたことが完璧に伝わっていて、こちらが何度も確認する必要なし!

英語の紹介状もサクッと出してもらえた(手首にワイヤーを埋め込んだまま、国際引っ越し)。

こんなすばらしい香港の公立病院にも、唯一のデメリットが。

死ぬほど待つ…………orz

救急搬送されても、待つ(汗)。

通院時にも3時間以上は待つ(お弁当もらえるけどさ)。

(ちなみに私立病院だと、ほとんど待たない……..。)

今の料金を調べてみたら、さすがに値上がりしているけど、それでもリーズナブルな価格設定だと思う。

香港IDカードがないと、このページの下の方にある「Non-eligible Persons」の料金になる。高すぎる(汗)。

あって良かった香港IDカード!(税金は払ってたけど)。

公立病院でいいなと思ったのは、この価格設定である。

すっごく待つし、でも安価で最高の医療を受けられる。
でも毎日通うには、そこそこ高い。つまり濫用されないレベルの設定なのだ。

例えば、一般的な通院の場合、「General outpatient($50)」で、日本円にすると945円。

リハビリや精神科になると、少し高くなる。

3時間待ち、一回に1,000円前後はかかるから、本当に必要な時にしか行こうとは思わない。そしてコスト節約したい層には、私立病院に行く選択肢はない。

ただし、香港には別の選択肢もある。それが「中医(中国漢方医)」である。我が家も大変にお世話になったよ。

香港大学中医学部付属の中医病院がセントラルにあるが、このフロアに到着すると漢方の香りが全体に蔓延していて、漢方薬萌えする私は、毎回ここの空気を堪能しまくったものよ(「薬屋のひとりごと」の猫猫ちゃんの気持ちがよくわかるw)。

香港には、公立病院がいくつかあるので、おそらくコロナの病院対応も日本みたいにグダグダにならなかったんじゃないかな。公立病院って、国レベルで何かあった時に強制力を持って何かをやってもらうことができると思うし。日本みたいに小さな私立病院だらけだったら、お金をばら撒いて言うことを聞いてもらうしかなくなるし、それでもNOと言えちゃうしね。

香港IDカードを持つ人には、安価で最高レベルの医療を提供できる公立病院を擁しながら、私立病院の選択肢も豊富にある香港の方が、日本よりも格段に良いシステムだと思ったよ。

日本の場合、いざとなったら国レベルでのアクションをとりづらく、しかも医療費が安価すぎて濫用されまくりだからね。

国によって良い部分も悪い部分もあるけれど、良い部分はどんどんと取り入れればいいと思うで。


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