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健康行動をもっと続けたくなるしくみは「AIカラダ年齢」でつくろう

前回の記事で、より積極的な健康管理のしくみにゲーミフィケーションを応用した「健康総合ランク」というしかけを活用する話を紹介しました。

健康総合ランクは、毎日の健康行動レベルの現在位置を確かめ、近い将来の目標を示します。いわば「鼻先にぶらさげた人参」で、もうひとがんばりの行動を促すしくみといえます。

行動を促すきっかけとしては有効な健康総合ランクですが、これさえあればいつまでも健康行動を続けられるかというと、そう簡単にはいきません。
健康管理は毎日ずっと続けてこそ価値が出てきます。ゲーミフィケーションの要素を使ったいろいろなきっかけで短期的な関心を向けつつ、年単位での長期的な健康行動を続けたくなる動機づけのしくみが必要です。

本記事では、動機づけのしくみを応用した、長期的な健康行動を促すしくみづくりをみていきましょう。キーワードは「AIカラダ年齢」です。

長期的な健康行動を促す「エンハンシング効果」

自発的な健康行動を持続させるしくみとして覚えておきたいのが、動機づけの考え方です。
動機づけ(モチベーション)は、目標を設定して行動を起こし、目標の達成に向けて行動を持続させるプロセス全体を指します。

外発的動機づけと内発的動機づけ

動機づけには、出発点となる目標の置き方の違いにより「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」があります。
外発的動機づけは、モノや金、承認や賞賛など報酬を目標に行動するものです。負の報酬、つまり罰を避けるための行動も含みます。
対して内発的動機づけは、直接的な報酬がなくても行動そのものによる満足感や快楽、やりがいを得たいと自ら行動するものです。

直接的な報酬を与える外発的動機づけより、自らやりがいを感じる内発的動機づけのほうが優れていると言われることがありますが、両者は動機づけの方向性が異なるだけで、優劣はありません。
むしろ、それぞれの特性を活かし、効果的に組み合わせた動機づけのセットをつくる方向で考えましょう。

効果的な動機づけのセット「エンハンシング効果」

外発的動機づけと内発的動機づけを効果的にセットしたもののひとつに、「エンハンシング効果」があります。
エンハンシング効果は、外発的動機づけに基づいた行動が内発的動機を高めていく心理的効果をいいます。
見返りにつられて始めた行動だったけど、いつのまにか行動そのものに充足感を覚えて楽しくなり、のめりこんでいくような状態です。

エンハンシング効果を引き出すための報酬としては、賞賛(褒める)が有効だとされています。また、褒め方にもポイントがあり、生来の特質ではなく、行動のプロセスを褒めるほうが効果が高いとされています。
例えば「あなたは頭がいいね」と褒めるより「よくがんばったね」と褒めるほうが、その後チャレンジする課題がステップアップし、自発的に行動をとるようになるのです。

健康行動のがんばりを賞賛する「AIカラダ年齢」のしくみ

エンハンシング効果を健康管理にうまく応用させるには、いかに良質な賞賛をタイミングよく与えるかが重要となります。
日常の小さな動機づけはいろいろなゲーミフィケーションの要素で関心を向けることができます。エンハンシング効果を狙う賞賛の報酬は、年単位の長期間のプロセスを踏まえて「よくがんばったね」と褒めるものにするとよいでしょう。

賞賛のポイントは、年に1度の努力の評価

WellGoでは、AI解析に基づく「AIカラダ年齢」という評価のしくみをつくっています。
AIカラダ年齢は、年に1回30歳以上の従業員が受ける人間ドックの値から、実態としての健康具合を体の年齢に換算して示します。
「この1年間のがんばりの結果、あなたの健康状態は◯歳相当でしたよ」というわけです。

1年ごとに、健康行動の結果が体の年齢という見える形になって表されます。がんばった分だけ報われるわけです。実年齢より若くなれば正の報酬、年をとってしまうと負の報酬として、次回の検診までのがんばりにつながります。

なぜ体の若さを可視化するのか

ところで、「あなたは若いね」と言われても、誰もが嬉しくなるわけじゃないと思われたかもしれません。
エンハンシング効果を狙う報酬に、体の「年齢」という若さへの賞賛をもってくるのはなぜ有効なのかについて、少しだけ触れておきましょう。

ここで押さえておきたいのは、AIカラダ年齢が若さの指標を体の健康としている点です。つまり、脳の認知や知見、思考などの若さを示しているのではなく、あくまでも「体の健康としては◯歳相当の若さだ」というわけです。

生物的な観点から言えば、種として持続するための機能は重要です。ヒトは寿命の長さに比べて種の維持のための期間が比較的短いといわれ、若い体に対して魅力を感じやすいとされています。

健康行動のがんばりとして評価するのは、あくまでも身体の若さに対するものです。知能や精神的な要素は含まないことに注意しましょう。
「AIカラダ年齢」は、健康全体の年齢とせず、あくまで体の年齢であることを名称からも受け取りやすいようにネーミングしています。

AIが体の年齢を評価するメリット

もうひとつ、なぜAIで体の年齢を評価するのがよいのかについてもみておきましょう。

人間は多様な生き物です。精神的な行動を除外し生物的な要素だけをみたとしても、異なる環境の中でそれぞれの生活を送る以上、まったく同じ状態になることはありません。
単純に生まれた日を超えたら1歳年をとるという実年齢が若さの目安として一般的に受け入れられているのは、わかりやすさからでしょう。

大勢の従業員一人ひとりの健康状態を評価し、個別に体の年齢を割り出していく作業を人が手作業でするのは困難です。毎年のように社会事情も健康に関する知見も変わり、よりどころとする指標のアップデートも必要。評価者によって結果がぶれてもいけませんし、個人情報への配慮も欠かせません。

AI解析により、高い精度で安心の評価を届ける

従業員の健康状態のように、個人を特定せず膨大なデータを解析した上で、その結果と個別の状態を照らし合わせ、偏った解釈をもたずに評価する必要があるものには、AI解析が向いています。
AIによる解析であれば、データは大きくなればなるほど、また頻繁に更新されるほど学習が進み、高い精度で評価できます。ベースとなるデータの匿名性の確保など個人情報への配慮も手厚く行うことが可能です。

金融システム由来のAI健康評価で良質な動機づけを

WellGoの健康管理システムは、金融機関(証券取引)で5分後の株価を銘柄ごとに予測評価するAI解析のしくみをアジアで初めて開発したチームにいた2名が中心となって構築しました。
「お金と血液は似たようなもの。見えないところでうまく循環すると元気になる。大量に外に出るとろくなことがない」などとたとえられることもありもします。企業の株価も健康診断と似ているかもしれません。

社会の動向や価値の変遷を踏まえつつ本質的なあるべき姿の軸はぶらさず、常にアップデートしながら安全な解析を続けるAIを味方につけ、企業の持続と従業員の充足を両立するWell-Beingな健康経営を進めていきましょう。

AIカラダ年齢はそのひとつとして、エンハンシング効果の高い持続的な動機づけのしくみを支えています。


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