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フィルム写真のランニングコストを考える

フィルム写真を始めて2年ぽっちの私ではありますが、私は貧乏ゆえ、自分のやりたいことをやるためのコストカットについては真面目に考えてきました。
今回は需要の高そうな、フィルム写真という道楽をサスティナブルに考えていきます。

1.そもそもフィルムの必要があるか

まず、本当にフィルムでなくてはいけないのか、必要なのかということから自問自答しましょう。
おそらくほとんどの人が、現在わざわざフィルムを使う理由は、デジタルとは違ってフィルムは”エモい”からというふわっとした感覚ではないかと邪推しています。
しかしそれは浅学ゆえに、フィルム以外でも可能な表現であるということを見落としている可能性があります。フィルムっぽい色合いなら富士フィルムのミラーレスカメラに『フィルムシュミレーション』なる、色をフィルムっぽくしてくれる機能があります。
もちろん、カメラ自体そこそこ高かったりしますが、高校生でもバイトを半年もすれば買える値段のものもあります。まずは、そういったカメラの作風などを検索してみて、これで充分だとなれば、そちらの道もありだと思います。
大事なのは、視野狭窄にならずまずは様々な可能性や選択肢を模索することです。絞るのはそれからです。

2.期限切れフィルムを中古で買う

次は、期限切れフィルムをフリマサイトなどで中古で買うというルートです。
しかし、はじめは感覚がつかめず、ハズレを掴まされたり、思わぬ失敗があるかもしれません。失敗も一つの道程、道楽の一部ではありますが、覚悟はしておいてください。
巷では、期限切れフィルムを”熟成フィルム”などと言って、高く売りつける業者果ては都内のカメラ屋さんなどもいます。実際に私は目にしています。
もちろん、わざわざフィルムを使うのですから、期限切れの独特の色転びや褪せた感じなどを魅力に感じるのもわかりますが、お買い求めの際は何卒、冷静になってください。
ちなみに、使い捨てカメラからフィルムを抜き出すという方法もありますが、これは通常のフィルムよりも劣化が倍以上早いと思ってください。さすがに、フィルムの曖昧な描写が好きと言っても、何も写っていないネガを愛せる人がいるでしょうか。さすがに曖昧すぎる。
私の経験則ですが、モノクロフィルムは20年以上切れていても結構写ります。カラーですと、20年前のものは期待しないこと。期限が10年前くらい前になりますと、期限切れらしい適度に劣化した描写が期待できるかもしれません。
フィルムは温度が高い場所だと劣化しやすく、冷蔵保存されていた場合は室温放置に比べずいぶん劣化は抑えられます。しかしメルカリに冷蔵保存ないし、冷暗所保存と書いてあったとしても、その真偽がわかるのはそれは受取評価をしたずいぶんあと。仮に真偽がすぐわかったとしても、反証することは難しいです。真に受けないように。

3.ハーフカメラを使う

通常、フィルムと言えば35mmというフォーマットが基本です。
それを通常の半分の面積だけ露光し、2倍の枚数撮れるというのがハーフカメラです。
デジカメでいう、センサーサイズがフルサイズの半分くらいの大きさ、APSCぐらいの大きさで撮ると思ってもらったらいいです。
何が変わるかと言えば、理論上、フルフレームに比べボケ感などは少なくなります。スキャンの方法にもよりますが、データの画素が一枚あたり半分くらいになります。つまり、画質・解像度はフルに比べて劣るというのは間違いないです。
しかし、枚数が2倍撮れるということは、コストは単純計算で半分。めちゃくちゃ撮れます。故に、人によっては全然撮り終わらないというデメリットもあります。
ちなみに私は、フィルムカメラを4台所持していますが、内3台はハーフカメラです。

4.現像所を安価なネット郵送にする

次にコストカットできそうなのは現像代です。そうです、フィルム代よりかさむのがこの辺ですね。
現像所が無くなってきた昨今、どこでもありそうなのはカメラのキタムラあたりだと思いますが、2024年現在【現像代 950円】です。しかしこれだとネガが届くだけ、プリントしてもらうか、データを送ってもらうサービスを使わなくては通常の写真になりません。
2024年現在【36枚撮りの場合プリント代1800円】【データ転送代 880円】
すべてやるとフィルム1本につき3630円かかる見通しです。高すぎる。フィルム2本分くらいです。
そこで、ネットを検索しますと、現像とデータ転送しかもネガ返却で1本たった400円でやってくれるところもございます。例えばこことか。
これでずいぶん現像代は浮きましたね。

5.自家現像をする

ここからはちと中級者向けとなりますが、フィルムは自分で現像することが可能です。きちんと現像するには、それなりの知識と経験とアイテムが必要となりますが、初期投資さえすれば、かなり安価にそしてスピーディーに現像を行うことが可能となります。
特に、モノクロは現在キタムラに出しても外注になるため返ってくるのが2週間後なんてこともあります。まずは、簡単に現像液も手に入るし、現像自体も簡単なモノクロ現像から始めてみることをおすすめします。
まだ廃盤になっていたいものですと、ヨドバシカメラにもギリまだ売っているSPD(スーパープロドール)という現像剤がおすすめです。この現像剤は増感も可能で、「このフィルムを使ったときは暗かったかなぁ」というときは少し温度や時間マシマシでやるといいぞい。
自家現像のメリットは計り知れません。特に私はヌード撮影をするのですが、場所によってはデータ化してくれないというところもあるらしいですし、そもそも人に見られたくないという人もいますよね。
今日撮ったものを今日現像できる。好きなタイミングで自分の手でコントロールできる。自由がそこにある。
私等はフィルムスープという技法をよく好んでいるのですが、水没したフィルムは基本お店では取り扱ってくれません。そういった実験的なことも自由自在にできるというのも良い点です。というか、私にとってはそれしか選択肢がないというぐらいの気持ちです。
ぜひ、やってみてください。

6.長巻きフィルムを使用する

これも中級者向けですが、通常切り売りされているフィルムとは違い、もっと長い状態で売られているフィルムがあり、それを使用するという方法もあります。大体一本あたり500円くらいになるとか。
マリックスさんから長巻きのモノクロフィルムが出ています。こちらからどうぞ。
しかしまずは、長巻きをフィルムに巻くにはローダーというものが必要になり、巻きつけるためのパトローネが必要になります。このへんは私より上手に解説してらっしゃる方がいると思うので、おまかせします。
もちろん、自家現像をしている人しか長巻きフィルムは使用できません。長巻きから取ったフィルムをお店に出すとトラブルの種になりますので、絶対に自家現像をお願いしますね。

7.最後に

他にもいろいろとコストカットできる部分はあるのですが、ここで書くには難儀なものばかりですので割愛いたします。(現像液自体を少なくする→回転現像とか。。。)
これらを全て実行するとかなり安価に、フィルム道楽を続けることができます。

通常モノクロフィルム(1300円)+現像代等(1800円)で3100円かかるところ
長巻きモノクロフィルム(500円)+現像代(静止現像だと50円くらい?)で550円くらいで一本撮れるという計算になります。
撮るのがハーフカメラですと、72枚撮り。
550÷72で1枚あたり8円という計算になりました。
これなら現実的で継続的な価格ではないでしょうか。

私はこんな感じで、フィルムをなんとかやってます。
金銭的事情でフィルムを敬遠しているあなたも、こちらへおいでよ。

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