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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑦

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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑦

 隠岐の島攻略作戦会議後、天照、中の島及び西の島に残る駐屯部隊からの情報、それら総ての収集を開始。集まった情報は全てその3日後にはまとめられ俺の下に集約。頑張ってくれた隊員達に休息を取るよう訓令をだし、俺は執務室のデスクに座り資料に目を通していた。

 衛星からの写真と、駐屯部隊から情報を精査し一枚の写真に俺は頭を抱えた。島の中心部エリアに大型幻獣が観測されている。しかも、蜘蛛型だ。俺が佐渡島で交戦した相手とは別のようで、指揮官タイプの一体と推測して間違いない。島を占領されている以上、想定されていた幻獣ではあるが、正直に言えば居て欲しくなかった。

 こいつの火力は凄まじく放置してしまうと上陸部隊は間違いなく全滅する。航空部隊による爆撃もこいつには通用しない。たどり着く前に確実に撃ち落されるし衛星からの攻撃も意味がない。電磁加速砲に匹敵する火砲を装備しているのだ。間違いなく迎撃される。

 では、どうするか? 交戦前に不意打ちで撃破するしかない。作戦の第一段階でこいつを撃破してかつ西の島に注意を向ける……
「西の島に野戦砲を設置するしかないな」
 俺は一人結論を呟く。大型の精霊鋼弾頭に祝詞を加え、強力な魔弾を精製して射撃する。これには大型野戦砲が適当だ。滑空砲による狙撃もありだろうが陽動効果としては薄い。だが、効果が出すぎてこちらに戦力が全部来るかもしれない。それを踏まえるとこの野戦砲は数発撃てなければいけないな。

「――俺だ。神代博士に繋いでくれ」
 俺はデスクの電話を取り、呼び出しボタンを押して交換の士官に告げる。士官は『了解』と、直ぐに回線を繋ぐ。
「……なにかしら? 忙しいから手短にお願いね」
 数回のコール後、電話に出た博士は不機嫌だった。嫌な予感がしているのだろう。

「博士。隠岐の島に大型幻獣の指揮官タイプが確認されています。これを撃破するために新型弾頭が撃ててかつ魔弾にできる大型の野戦砲を準備して頂けませんか?」
「野戦砲? 滑空砲じゃダメなの?」
 俺の注文が予想の斜め上だったのか、博士は不思議そうに訊き返してきた。
「大型幻獣だけを撃破できても意味がないんですよ」
「そう……貴方の言う野戦砲というのは、戦術的効果に加えて戦略的効果も求めているということかしら?」
 俺の手短な答えに察した博士は確認するように訊く。

「そうです。敵の注意をこちらに引く必要があります」
「……うん。それなら自走砲をちょっと改良すればできなくはないわね。でも、条件があるわ」
「なんでしょう?」
 意地悪く言う博士に俺は要求を呑むつもりで訊き返す。

「人手が欲しいわ。エンジニアと封魔部隊にそれから、黄泉ちゃんをこっちに少し貸してくれないかしら?」
「わかりました。すぐに手配させます」
 悪戯っぽく要求する博士に構わず俺は即答する。勇司を説き伏せる必要があるが何とかするしかない。だいいちここでゴネたら話がこじれる……  

ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く


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