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叶わぬ思い

ー"煩悩まみれ"の年越し

大晦日(12月31日)の深夜零時ごろにつく「除夜の鐘」。人が持つ108の煩悩を祓うとされる。ところが、2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、全国的に除夜の鐘を中止するお寺が相次いでいる。祓われなかった煩悩にまみれたまま、2021年を迎えるのも悪くないー。そう思っていたが、どうも中止の意味を勘違いしていたようだ。中止になるのは、一般の人が鐘をつくことのみ。やはり、"煩悩まみれ"の年越しは叶わない。

相次ぐ「除夜の鐘」中止

「大晦日、除夜の鐘はコロナウイルス感染防止の為、中止と致します」ー。週末、ぶらぶら散歩している途中、見慣れたお寺の掲示板にこんな張り紙。一年の終わりと始まりを告げる鐘の音が20年は聴けないと思うと、幾らか寂しい気持ちになる。

別のお寺にも同様の掲示があった。猛威を振るう新型コロナの影響の大きさを物語る。まだ20年は終わっていない。ただ、これまでを振り返り、本当に新型コロナに振り回された一年だったー。つくづくそう感じた。21年は収束に向かって欲しいと願うばかりだ。

勘違いと鐘つきVR

インターネットによると、全国各地のお寺が除夜の鐘を相次いで中止にしているそうだ。密閉、密集、密接の「三密」を避けるための対応策という。そこで、個人的に勘違いしていたことに気付く。

中止になるのは一般の人が除夜の鐘をつくことであって、除夜の鐘をつくこと、それ自体は中止にならない。お寺のお坊さんが鐘をつくようだ。その様子をオンラインで配信する予定のお寺もあるらしい。

鐘つきのバーチャルリアリティー(VR)ー。そんな試みになるのかは知らないが、リモートワークが当たり前の時代にふさわしい除夜の鐘のあり方かもしれない。個人的にはどこか物足りない気がするが。

お隣の国でも

除夜の鐘の風習は、お隣の韓国にもあるらしい。インターネットによると、有名な鐘楼である普信閣(ポシンガク、ソウル市)で行われる除夜の鐘は、その模様をテレビ中継するのが恒例となっているそうだ。

ただ、20年の大晦日はソウル市がこのイベントを中止すると発表。現地メディアによると、中止は53年の開始以来初めてという。大晦日から元日にかけては、事前に制作した映像を流すらしい。

どの国も新型コロナに振り回されている。

(トップ写真:「除夜の鐘」中止の張り紙に戸惑うりす=りす撮影の写真を基にりす作成)

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