ゴールデン横丁

泰然自若でいられるはずがない

カリスマの相次ぐ引退

一時代を築いたカリスマの引退が相次いでいる。アントニオ猪木は政界引退を表明。長州力もプロレスラーとしての現役生活にピリオドを打った。分野が違うが、イチローも先に現役に別れを告げた。往年のパフォーマンスに慣れ親しんできたファンとしては、それをとても寂しく思うも、これも"時代の節目"と割り切るのは簡単。だが、そうでない人たちもいそうだ。

流れに拍車

アントニオ猪木が表舞台から姿を消すことで大きな打撃を受ける可能性がある筆頭候補は、お笑い芸人・アントキの猪木だ。猪木のモノマネに笑いを織り交ぜたネタは一時期、抜群の人気を誇り、当時はネタ番組に引っ張りだこだった記憶がある。

リング上の猪木本人を見たことがある人には分かるはずだが、アントキの猪木は猪木本人の表情から声色、細かな仕草まで、ほぼ完璧にコピーしていたと言える。久しぶりにユーチューブ(YouTube)で、アントキの猪木のネタを見てみたが、今でも腹を抱えて笑える。

だが、猪木本人を知らない世代が増えるにつれ、一時期の勢いを失い、すでに"一発屋"認定を受けている。その上、猪木本人が政界からも退けば、人気凋落の流れにますます拍車がかかるだろう。新たなお笑いタレントも増える中、露頭に迷う恐れもありそうだ。

長州力のマネが売りの長州小力、イチローを見事に模倣するニッチローという芸人2人も同じ状況と見て間違いない。個人的には、ニッチローを見る機会が激減するのは惜しい。イチローのバッターボックスに入る際の予備動作のモノマネなどは、定期的に見たくなるネタの一つ。

それぞれの思い

アントキの猪木、長州小力、ニッチローは、それぞれ"飯のタネ"だったカリスマの引退について、どう思っているだろうか。ちょっと気になる。表面上は強がったり開き直ったりなど幾らでもできそうだが、家族を支えることなどを考えれば、内心は泰然自若でいられるはずがない。

ここを踏ん張って、もう一花咲かせてもらいたいものだ。

(写真〈上から順に〉:現役当時のアントニオ猪木=ゴールデン横丁、45年の現役生活に終止符を打った長州力=M-ON! Press)

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