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母親業と決断疲れ

数年前から、「決断疲れ」という言葉を見かけるようになった。
決断の数を減らす為に毎日同じ色・デザインの服を着る、という話も一般的になった。
確かに、選択や決断って疲れるんだよね。削減できるならした方が良い。
でも、削減したくてもできないことってあるよね。

例えば、子どもに関するあれこれ。

母親業(わかりやすくイメージする為の表現です。父親がやってるご家庭もありますよね)ってとても大変なんだけど、何が大変って、頻繁な「選択と決断」だと思うんだ。
そりゃあ、他にも「抱っこ」や「遊びに付き合う」などの体力的な問題や、「片付けても片付けても散らかる」とか「リクエストに応えて作ったご飯を全然食べてくれない」とかの不毛感との闘い、「一人遊びしてくれてるけど数秒おきにママ見て!と呼ばれて全然家事出来ない」なんかのサブタスクが細切れで入る為にメインタスクを思い通りに進められないじれったさ、などなど挙げればキリがないけれど、「選択と決断」の回数と責任の重さは、母親業のストレスのかなり大きな割合を占めていると思う。

それこそ服。その日の気候や気温と子どもの体調を考慮して選ぶ。季節の変わり目は特に気を使う。肌着の種類も含めて考える。そして選んだ服を子どもが気に入らなかったら、選び直しになる。
子どもは外でも遊ぶし、外気からの影響を強く受けるから、多少の我慢ができる大人のように毎日同じ服装って訳にはいかない。それに感性を育てる必要もあるので、その子自身が希望する場合を除き、同じデザインの服ばかり毎日着せるのは勿体無い。
子どものことを大切に想えばこそ、毎日選択と決断が必要になる。因みに朝晩2回だ。寝巻きの選択も必要。それ×子どもの人数。

食事のメニューもそうだ。栄養バランスとその日の子どもの体調、好き嫌い、冷蔵庫にあるものもしくはスーパーで値引きされているもの、先に使わなければならない食材、最近の子どもとの会話で興味を持っていそうな料理、幼稚園や保育園のメニューとの兼ね合い、それらを考慮して選択して決断する。
調理をする間も、段取りを考え、子どもの様子を見ながら、ちょくちょく呼ばれて手を止め他の仕事を挟みながら、会話をしながら、火の加減や狭い調理スペースの効率的な使い方なんかにも頭を回しながら、小さな選択と決断をし続けている。
調理中が一番マルチタスクな気がする。
子どもに加えて夫の面倒も見なくちゃいけなかったりするからね。てんやわんやだよ。

子どもに対して、状況に応じてどんな声がけをするのかっていうのも、常々悩んで選択して決断している。その一言がどんな影響を与えうるのかを考えて、その子にどんな影響を与えたいのかを考えて、正解が分からない中で。

子どもに関して何を選択するのも決断するのも、子どもが大切だから色々悩むし迷うし決断には責任が伴うしで、すごくストレスになるんだよね。
それが子育ての醍醐味であり幸せであり正体でもあるのだろうけど、家事は家事で考えることがあるし、働いていたら会社と家庭という全く違う世界を行き来しながらそれぞれで選択と決断を繰り返すわけで、これでパンクしないなんて脳みそってハイスペックだなぁと感心するわけです。

だって、会社フォルダと家庭フォルダがあって、会社フォルダには仕事フォルダがたくさん入っていて、それぞれの仕事フォルダにも階層があったり、ファイルが大量に並んでいたり、それらを開いたり閉じたり削除したりを繰り返しながら働くじゃん。
それで、家庭フォルダにも家事フォルダがたくさん入っていて、育児フォルダもあって、それぞれにやっぱり階層があったりするじゃん。会社フォルダよりは簡単に処理できるファイルが多いんだけど、数が多いし別々のファイルが関係しあっていたり、フォルダを超えて共有しなきゃいけないものも多いし、複数のファイルを開いたまま別のファイルを開かなくちゃいけなかったりする。処理の途中で子どもによる新規作成ファイル(重要度・高)が差し込まれることもしょっちゅう。
しかも別のPC(家族)のファイル処理の為に自分が動かなくちゃいけない事もたくさんあって、しっちゃかめっちゃか。

仕事から帰ってきて自宅のドアを開けた時、ぶわゎぁーってフォルダとファイルが開くんだよ。子どもたちの園グッズの確認と明日の準備、すぐに洗濯しないといけないものは無いか、健康チェック、手洗いうがいと服の汚れ確認、家の散らかり度合いと片付け要否判断、夕飯の量はどれくらい食べられそうか、夕飯準備にどれくらい時間をかけられそうか、などなど順に処理していって、寝かしつけまでノンストップ。
人によっては、その後さらに会社ファイルの処理をする場合もあると思う。尊敬しかない。
これでフリーズしないって、母親業している人ってハイスペックPCだなぁと思うのです。

でも確実に疲労はしている。

新生児から夜泣きがなくなるまでの期間はまともに睡眠をとれないし、夜泣きがなくなっても、子どもって夜中に起きたりおねしょしたり鼻血出したりするんだけど、そういう気配に気づいてすぐ目が覚める。つまり睡眠が浅いので、溜まった疲労が抜けきらない。
夜中におねしょや鼻血の処理をして、布団に入って、やっと寝られたと思ったらすぐ朝で、子どもが「おはよー」と起こしてくれるんだよ。可愛い。眠たい。でも可愛い。

子どもが成長して、自分で服を選ぶようになったり、食べたいメニューを挙げてくれたりすると、母親業は少し楽になる。だけど小学校や中学校に上がると、学校に関する選択と決断がまた様々必要になるんだろうなぁ。(私は未経験なので分かりませんが取り合えず怖い((((;´・ω・`))))



「ちゃんとやろう」と思うとすっごくすっごく大変なので、適度に手を抜きつつ、最低限の事だけできればOKくらいに思っておいた方がいい。それを分かってくれるパートナーなら良いんだけど、そうじゃないから母親業って辛いんだと思う。


子育て楽しいけどね。
子ども可愛いし、毎日幸せだし。
でも疲れが溜まって余裕がなくなると、怒鳴っちゃったりするんだよ。
がんばってるのに、やる事たくさんあって時間ないのに、身体も頭も疲れて動かすの精一杯なのに、余計な新規作成ファイル投げてくるんだもん…。

「怒鳴ってごめんね」って抱きしめると「いいんだよ。ぼくもごめんね」ってキメ顔で言ってくれる長男も、ニコニコしながら「だいすきだよっ♡」って言ってくれる次男も、幸せになって欲しいから、これからも母親業がんばります。

ここまでお付き合いいただいて、ありがとうございました!あなたにいい事が起こりますように。 何かにもがいて苦しい人へ。その苦しみを、ちゃんと吐き出してください。ここで待っています。 https://www.lively-talk.com/service