サマーズダイアリー 8/19

帰りの飛行機はお盆休みに来てくれた友だちと、中国南方航空に乗った。それはロシア上空を通るものだった。人を殺している国に加担したくないけど、友だちに高い金を出して欲しくはない。
それにロシアなんて当分見れないだろうと上空から眺めた。
羽田空港で日本語を聞いた時、電車に乗る時、自分の携帯をタッチして入って気分が上がった。
エスカレーターで前の人が鬱陶しそうにしていて日本人を感じた。
ドイツに5年住んでいる友だちがコンビニでの支払い方法が分からなかったと言っていたのにたった2ヶ月の私でも戸惑った。
ヘトヘトになりながら30キロを超える荷物を運んだ。自宅の階段が一番くじける。

足は浮腫で足首がなくなっていた。出国前に塗ったペディキュアは親指だけになっている。
家は異常に片付いていたので、入ってすぐに色んなことを理解した。ワクワクしていた風呂や洗濯のことなんて考える余裕もなくなった。心を落ち着けるために、まずは荷物を片付けることにした。
私は彼が迎えに来てくれないことに対して、ただいじけるだけで、呑気にこれからの暮らしのための皿や映画を見るためのポップコーンをお土産に買っていて、恥ずかしかった。
片付いている部屋に残る彼の私物をみて、「そういえばこんな服もあったな」とか。
テーブルに手紙と共に添えられていた180分の映画を観て気付けば朝の4時。
玄関を開けると日本の夏の朝の空気。手紙を書いていた彼も朝だったんだと気付く。お腹が減ってコンビニで餃子ともちもちのたい焼きを買う。たい焼きはいつのまにか白くなくなっていた。
旅の間、私は彼との生活について考えただろうか。私は彼に何ができるか分からないままでいた。日本で迎えるこんな朝に、みそ汁が必要だったとは想像もしていなかった。

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