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人間はモノではない。減らすという表現自体おかしい。

前回、「ニュースウォッチ9」での記事を書いて、それをツイートしたら、2100RT、30万インプレッションにも達した。

NHKがすげえのか、40代一人暮らしが過敏なのか…。


で、見ました。「NHKスペシャル AIに聞いてみた」

やっぱり違和感があるのは、一人暮らし=孤立社会と直結して考えている部分です。一人暮らしはあくまで状態であって、それが全て孤立した人たちではないのです。物理的に孤独であることと心理的に孤立してしまうことを混同してはいけないと思う。

番組中「どうしたら40代一人暮らしを減らせるか?AIに聞いてみた」に対して、マツコが「どうしたら40代一人暮らしが幸せになれるか?じゃなくて減らせるかなの?」って聞いていたのが印象的。一人暮らしという状態に問題があるのではなく、増え続ける単身世帯を問題にするなら、素直に考えるべきはマツコの言う方向です。

人間はモノではない。減らすという表現自体おかしい。


そもそもなぜ一人暮らしが非難されないといけないんでしょう?

自分で選択して一人暮らしをしている人もいるし、図らずも一人暮らしを余儀なくされている人もいる。誰かと一緒に生活することが苦痛に感じる人もいる。それこそ多様性の時代と言いながら「一人で暮らすことは悪」という決めつけが違和感なんだと思った。


なぜそれほどまでに状態で判断しようとするんだろう?

「結婚しない生き方はおかしい」というのもまさに結婚という状態こそが善であり、そこには「できない」人の不幸感や「一人でいたい」という個人の思いは無視されてるわけです。

最期にマツコが「何も結婚しなくてもいいわけね?」と念押ししていたのは、マツコ流の気配りで、ステキだなあと思った。


それともうひとつのAIの提言「仕事を面白がるな」だけど、それこそ大きなお世話。状態のダメだしどころか生き方のダメだし感がある。落合陽一さん曰く「ワークアズライフ」の考えの人だって沢山いる。仕事を労働と捉える考え方が古くて、遊びを仕事にする人もいていいし、それこそ個人の自由です。

とにかく人間の価値や意味が、一人暮らしや独身という状態によって決まるもんではないわけです。

人間なんですよ?マネキンが展示されているのとは違う。一人一人感情があり、性格があり、幸せの感じ方も違う。

膨大な情報量を処理できるAIが寄り添うべきなのは、マクロではなくそうした個人の内面ではないでしょうか。


なんだかんだ書きましたが、番組の狙いや試みには大賛成です。本当は、AIの出した事象にポジ派とネガ派が討論する形も面白いと思いますが、なかなかあの時間帯では難しそう。副音声でやりあうとかでもいいと思いますけどね~。それにしてもマツコデラックスって凄いな。それが一番印象的でした。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。