「二月尽く」
二月尽くさみしきものは月の暈
昨夜のことから始まる。
月に暈がかかって、光の粒子が濡れているかのような夜。
夜更けに膝が痛みだし寝返りも難しく、夜着の重さに悶々とする。
眠れぬままに起きだして、湿っぽい月を恨めしい気持ちで眺めてしまう。
身体が痛むと心も痛くなるのだった。
朝になり、杖にすがってよろめきつつ病院に行くと膝に水が溜まっていた。
水を抜いて薬を注入してもらい、帰宅する頃にはずいぶんと楽になった。
雪掻きの無理が溜まって、膝が限界に来てしまったか。
タクシーの運転手さんが「もう二月も終わりだから、あとは溶けるだけ」と励ましてくれた。
病院では車椅子に乗せられて、みんなにこの上なく優しくして貰うという、普段はなかなか無いお姫さま体験もした。
ゆうべは月をみて泣きたい気分だったのに、今夜は「今泣いたカラスがもう笑ろた」。
ゆうべの白い月と違って、今夜の月はすこし黄色みを帯びている。
濃い24時間だった。
※「月の暈」は秋の季語ですが、お目こぼしを...。
2024・2・28