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モレスキン

え、ノートにペンホルダーがない?

モレスキンのハードカバーノート

そんなもん、ここへ…

こうだ!

ぶすっと

モレスキンは傷が付くほど良いのだ。

知らんけど。

この尋常ならざる価格のモレスキンを敢えて雑に扱う、という美意識。

文房具は比較的好きだが、傷付かないように扱うのは違うと思う。枯れてゆくことに美を感じるのはジャパニーズワビサビィだ。
 経年変化は美しい(雑に扱うという点は私個人の資質の問題だが)。ヒトもモノも、劣化などしない。変わり続けるだけだ。久しく止まりたるためしなし、だ。


イタリアのブランド・モレスキンはそのナラティブの作り方が上手い、というかズルい。

ゴッホやピカソが使った伝説のノートという触れ込みだが、実際に彼らが使ったノートは今のモレスキンではない。現代のは飽くまでその復刻版。だがそこはフワッとさせている。

「ゴッホが使った的なノート」、「ピカソが使ったに等しいノート」、「ヘミングウェイのやつに似てるノート」なのだ。

そしてそのブランディングにまんまと乗せられているのがこの私だ。

見よ、これが消費者だ。

ちなみに最近の人では作家の森見登美彦や映画監督のジム・ジャームッシュも使っているそう。最早ここまでくればゴッホの名を借りなくてもちゃんとブランド力があると言える。

正直色んなノートを持ってるが、一番長く愛用しているのはモレスキン。歴は10年以上になる。

手元にはここ3年分しかなかったけど、モレスキンタワー。

SNSでは20冊くらい積んでる人いますね

最近手書きの文量が増え過ぎて一冊消費するののに半年かからなくなってきてしまった。

殆どの場合、
ハードカバー・ラージサイズを使っている。※ラージサイズは細身のA5。
仕事では方眼 or ドット方眼、プライベートは無地で自由に。

本のように扱える点がハードカバーは良い。書き終えると一冊の本が出来上がる。特別なことなど起こらない生活でも、汚れて付箋で膨らんだモレスキンを見ると少しだけ、自分にお疲れさんと言ってやりたくなる。いや、ホントに疲れてるし。

Amazonにジェネリックモレスキンが安く出ているがあまり気持ちが乗らない。紙質が悪いのもあるかもしれないが、好きな物を使うというのは気分を左右する。女性が素敵な食器で食事したいというのも頷ける。気分が上がるのだ。

逆に気に入ってないものは気分が下がる。
 私はスウェットでコンビニに行くときに知り合いに会ったら死ぬ病気に罹っている。

ステージ4だ。

自尊心の低さを隠すために物にこだわるという部分もあるだろう。虎の威を借る狐である。フォックスボローザパワーオブタイガーだ。
 私の場合はそれもあるが、好きな物を使っていれば多少の嫌なことは跳ね返せるところが心強い。

「貴様ァ、そんなんで良いと思っているのか!」
「申し訳ありません!(でも俺モレスキン持ってるし)」

これでけっこう行ける。

っていうか行ってる。

妻へ落書き用にXLのモレスキンをプレゼントしたが一向に触ろうとしない。興味ない人はそんなもんなんだな。

ノートとしては信じられんくらい高い(¥3,000くらい)モレスキン。でも好きになってしまったのだ。10年間でいくら使ったのかは計算しないようにしよう。君はこれからもずっと一緒だ。

さぁ、喫茶店でノートを書こう。絵を描くかもしれないし、文章を書くかもしれない。

ハードカバーは解放への扉。モレスキンは自由への入り口なのだ。

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