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『感情教育』フローベール

19世紀のフランスの作家フローベールの代表作です。
村上作品では『風の歌を聴け』や最新作の『街とその不確かな壁』で主人公が『感情教育』を読んでいるシーンがあります。

フローベールのもう一つの代表作『ボヴァリー夫人』はいかにも不倫小説ではあるのですが、『感情教育』では不倫を含めた主人公フレデリックの恋愛に加えて、彼の成長ぶり(良くも悪くも)や19世紀半ばのフランス政治などさまざまな要素が詰め込まれています。この詰め込んだ感じが、この小説の良さなのかなと思います。
個人的には、前半はストーリーがゆるく進んでいるように感じますが、中盤からさまざまなことが起こっていき、目が離せなくなりました。

フレデリックが、他の女性との関係を作りながらも、人妻のアルヌー夫人を忘れられないように、誰かにすごく恋した経験を思い出したり、誰かを愛することの大切さを感じたりする作品でした。この点で、『街とその不確かな壁』やガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』ととてもリンクするなあと思いました。

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