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イタリアワイン会〜ヴェネト州編①

イタリア1周するCasamiaのワイン会

今回はヴェネト州編

私がマネージャーを努めております新潟市にあるワインショップCasamiaでは定例でイタリアワイン会を開催しております。各回イタリアワインを州ごとに紹介していきます。今回はヴェネト州。

イタリアの州をまわるワインの旅

なぜヴェネト州?ヴェネト州ってどこ?という声が挙がると思います。
イタリアワインと言うとトスカーナ州やピエモンテ州。またはシチリアやプーリアが有名所。今回が初開催なのですが、初回にヴェネト州を取り上げたのは“アマローネ”というワインの素晴らしさを知ってもらいたいと言うのが一番の理由です。


イタリア高級ワインの代表格

アマローネはイタリアワインを代表する高級ワイン。ですが、バローロやブルネッロと比較すると知名度は高くなく、価格もこの2種よりも高いので手を出しづらい面も多い。
フルボディの赤ワインが好みの方でも口にしたことがない方が多いと思う。
また、バローロだとネッビオーロ、ブルネッロだとキャンティのようにセカンドモデルではないが、同一品種だったり味わいが近い品種がないのも踏み出しにくい理由の一つだと思う。
「リパッソがあるじゃないか」という声もありそうだが、しっかりと造り込んだアマローネの香りは唯一無二と私は思っています。


ワインだけではなく、地域の食文化も

Casamiaのワイン会では、その土地のワインだけではなく地域の食文化も併せて紹介しています。イタリアは19世紀に統一され、都市国家としては若く地域ごとに食文化が色濃く残っています。その土地の食文化を一緒に学ぶことがイタリアワインを学ぶ上でとても重要になってきます。

カルパッチョは牛肉だった

ワイン会では様々なヴェネトの料理を紹介しましたが、長くなってしまうので割愛して。カルパッチョだけ紹介しておきます。

日本では魚介の定番料理として有名なカルパッチョですが、発祥の地はヴェネト州で、魚介ではなく牛肉であったと言われています。
貴婦人の要望に答えるべく、バーのマスターが牛肉を薄切りにして白いマヨネーズをかけて提供しました。その赤と白のコントラストが当時画家として注目を浴びていたヴィットーレ・カルパッチョ氏の色使いに似ていることからカルパッチョと名付けられました。
現在では日本では牛肉ではなく魚介を使用することが一般的には知られておりますが、日本風にアレンジしたのはラ・ベットラ・ダ・オチアイの落合シェフと言われております。
(※余談ですが私も今から20年くらい前にレストランでイタリア料理を作っていたこともあるのですが、落合シェフの料理本を愛読していました)


ヴェネトとワイン

ワイン産地の繁栄

7世紀末に誕生したヴェネツィア共和国は東方貿易で栄えました。ヴェネツィアの貴族は内陸部のヴェローナ近郊に農園を所有し、そこでワインが造られた。
ワイン産地を多く抱えていることもあり、生産者やワイン業者がヴェローナ周辺に集まり、ヴェローナはイタリアワインの中心地となり現在では国際的な見本市の開催地となっています。
また、ブドウの生産面積もイタリア国内1位です。


ワイン会では今回は下記のワインを提供しました。

D.O.C プロセッコ
D.O.C ソアヴェ クラシコ
D.O.C ヴァルポリチェッラ
D.O.C ヴァルポリチェッラリパッソ
D.O.C.G アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ


スッキリ乾杯酒のプロセッコ

シャンパンやカヴァと並ぶ世界の3大スパークリングワインの一つと言われているプロセッコ。プロセッコに使われているグレーラ種というブドウ品種は実はイタリアの白ブドウ品種で一番の生産量を誇る品種なのです。

もちろん輸出量も多いのですが、現地でも乾杯酒として定番のスパークリングワインです。シャルマ方式で造られるプロセッコは大量生産が可能で補糖を行わないので、ブドウ本来のフレッシュな味わいが特徴のスパークリングワインになります。

ちなみにCasamiaでは、このプロセッコをシャルマ方式ではくシャンパン方式(瓶内二次発酵)で造る、いわば昇華させたタイプのプロセッコも販売しています。こちらは泡がきめ細かく、持続性をもった旨味がとても美味しいです。


プロセッコにもランクがある

実はあまり知られていないのですが、プロセッコにもランクがあります。


プロセッコDOCが60%強、30%超えがコネリアーノ・ヴァルドッビアデーネと、2カテゴリーで95%を占めております。上位のコネリアーノは比較的手に入りやすいです。販売価格は2,000円台とお求めやすい価格かと思います。


ソアヴェとソアヴェ・クラシコ

続いてソアヴェ・クラシコ。ソアヴェ・クラシコはヴェネト州の首都ベローナから東に車で30分ほどの地域がソアヴェの生産地域。

アマローネの生産地域とも近い

ソアヴェはもともとはベローナ近郊の丘陵地帯であるソアヴェ村で造られる白ワインでした。さっぱりとして、ミネラル感あふれる辛口の白ワインはあっという間に人気になり、生産地域を広げて大量生産に舵をきります。

下記の地図を見て下さい。オレンジ色の地域がもともとのソアヴェの生産地域。他が現在のソアヴェの生産地域。

Soave(wine)-Wikipediaより


ものすごい規模の拡大ですよね笑


大量生産の流れから生産地域が拡大して、本来の味わいがないソアヴェが沢山流通するようになりました。これはトスカーナのキャンティとキャンティ・クラシコとの関係にそっくりです。
リーズナブルなワインが出てくることは悪いことではないのですが、地元の方々からすると「それはちょっと違うんじゃないか?」ということなのでしょう。
本来のソアヴェの味を守るために、昔のソアヴェの生産地域(地図のオレンジ色)ではソアヴェ・クラシコと名乗り生産されています。

ソアヴェ・クラシコの生産地域は丘陵地帯であり、ミネラル感をもった複雑な味わいが軽快なソアヴェにプラスされるイメージです。中には長期熟成可能なソアヴェもあり、高品質なワイン造りが試みられています。


今回のワイン会で提供したソアヴェ・クラシコ。なんと言っても特徴はシュール・リー製法を取り入れていること。シュール・リーとは発酵後の酵母である「澱」を残し、熟成させることで酵母の旨味をワインに残す製法。
パンドゥミーと言われるパンの耳のような香りがワインに残ります。

このワインに合わせるのは牡蠣でしょう。ミネラル感だけでなく、シュール・リー由来のコクが牡蠣の旨味をしっかりと残します。
もちろん、ヴェネトの郷土料理バッカラマンテカートも間違いなく合います。バッカラマンテカートはバッカラ(干し鱈)をミルクで煮てペースト状にしたもので、バケットやポレンタとともに食べます。
ヴェネト州ではバッカラをつまみながら、ソアヴェでグイッといくのが日常定期に楽しまれています。


さて、次はヴァルポリチェッラ3種にいきたいところなのですが、少し長くなってしまったので、パート②に続きます。パート②ではいよいよアマローネの登場です。

Casamiaのオンラインショップではワイン会で登場したワインを期間限定でセット販売しております。ヴェネト州のワインを楽しみたい方はぜひ。


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