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夏ワインとジェノベーゼなど ~日伊の料理とワイン⑤イタリア北部の白ワイン~

いよいよ、8月です。
夏のイタリアワインは、酸味のある北部の白ワインがおススメです。

7月に美味しかったイタリア白ワインをまとめてご紹介🥂


ピエモンテ州のアルネイス

イタリア北部の都市トリノを州都とするピエモンテ州。
西の国境はフランスに接しています。

ピエモンテ州の白ブドウに「アルネイス」という土着品種があります。
「アルネイス」とは、ピエモンテの方言で「いたずら好き」「へそ曲がり」を意味するそうです。
栽培がやや難しく、一時は絶滅しかけたそうですが、土着品種を見直す動きのなかで復活を果たしました。

ピエモンテの「ロエロ」という地域で栽培されており、このエリアは「王のワイン」と言われる赤ワインのバローロでも有名です。
これまでアルネイスは何度かいただいたことがありましたが、先日、よく行くイタリアン店で「ブルーノ・ジャコーザ」という作り手のアルネイスを選んでみました。

ブルーノ・ジャコーザ ロエロ・アルネイス 2021
Bruno Giacosa Roero Arneis

ちょっとピンボケしちゃいました

このワイン、ホストテイスティングしたときに、思わず「わっ、旨っ!」て言ってました。
これまで飲んだアルネイスのなかで、別格に力強く、骨格がしっかりしています。
香りは、洋なし、白桃、柑橘類、白い花、ドライながら南国のフルーツのような甘い香りがして、果実味が豊か、綺麗な酸味がありつつ濃厚、余韻にちょっと苦味のアクセント。

パッションフルーツ、パイナップル、生ハム、ブラータ

この時、最初の一皿は、ブラータチーズに生ハムをのせて、パッションフルーツとパイナップルを添えた前菜。

このトロピカルな香りの前菜に、この土着品種100%のワインが良く合うこと!

パッションフルーツの酸味、パイナップルの甘味、生ハムの塩味、ブラータチーズのとろりとした生クリーム感にばっちり合いました。

ワインの美味しさって、伝えるのが本当に難しいんですが、いいワインって複雑な味と香りがめくるめく次々と訪れて、渾然一体となって感動~♪(余韻に浸る)ってなるんですよね。
香りや味わいが複数の方向に向かって、内側で膨らむ感じ。

それで、その印象が強いと、翌日、不意にその香りが甦ってきたりします。
この時も、翌日、あ~こんな香りだったなと、一瞬、記憶に甦りました。

ほんとに美味しい白ワインでした。

白ワイン800種類以上の経験のなかで、特に印象的な5本に入ります。

このワインの作り手を調べたら、ブルーノ・ジャコーザさんは、バローロ界でとても評価が高いんです。
バローロがボトル1本3万円とか。スゴイ。

ジャコーザさんのロエロのアルネイスは、エノテカで販売価格5千円くらいです。
いかがでしょうか。

ちなみに、このワインは、ウニと蛤の前菜や、サルティンボッカもいけました。
魚介類やチーズ、軽めの肉料理も合うと思います。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州のソーヴィニヨン・ブラン

先日、フレッシュバジルでジェノベーゼのソースを作ったところまでご紹介しました。

このソースで何を作ったかというと、ケイチェルおじさまの「エビとアボカドのジェノバ風」のパスタです。

五右衛門でこのパスタは食べたことありませんでしたが、ケイチェルおじさまの記事をみて検索してみると、このパスタは五右衛門で人気No.1とのことで、再現レシピをアップしている方が複数。
これは作ってみないとね。

ということで、パスタを作っていきます。
アボカドを切ってみると、まだ固かったので、最初にソテー開始。
片栗粉と酒で洗ったむき海老もフライパンに入れて、色が赤く変わったら、干しエビを戻した水ごと加えて、白ワイン少し、茹でたパスタ、ジェノベーゼを混ぜあわせます。

ケイチェルおじさまは、ホタテの出汁を加えていらっしゃいましたが、なかったので干しエビで旨味を出しました。

飾り用のバジルがなく、パルミジャーノをかけて出来上がり!

エビとアボカドのジェノバ風

このパスタ、めちゃくちゃ美味しいです!

ジェノベーゼのバジル、ニンニク、松の実、チーズのコクのある香りが、パスタによく絡んでいます。
プリっとした海老とねっとりしたアボカドもベストな組み合わせで、どちらかだけより、高めあっていると思います。
干しエビの旨味も底支えしてくれました。

ちなみに今回のパスタは、ガロファロのフェットチーネです。
以前、アメリケーヌソースで美味しかったパスタです。
ゆで時間は13分と長いですが、食べている途中でパスタが伸びることもなく、ジェノベーゼに負けない小麦の香りがして、ワインのつまみとしてゆっくり味わえました。

さて、この料理に合わせたのは、アルト・アディジェの白ワインです。

トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州は、イタリア北東部、イタリア最北端の山岳地帯です。
オーストリアと国境で接しており、公用語にはドイツ語も含まれます。
日本ではあまり認知度が高くないかもしれませんが、イタリア屈指の白ワイン産地です。

ジェノベーゼのハーブのニュアンスに合うだろうと思って選んだのは、このアルト・アディジェのソーヴィニヨン・ブラン。

ボルツァーノ ボーツェン ソーヴィニヨン モック 2021
Bolzano Bozen Sauvignon Mock

アルト・アディジェのソーヴィニヨン・ブラン

このワインが好きで、もう6回はリピートしています。
また、このワイナリーのピノ・ビアンコ(ヴァイスブルグンダー)やゲヴェルツトラミネールなどもおススメです。

ソーヴィニヨン・ブランには、ハーブのような青っぽい香りがあります。
ワインは、青リンゴ、パッションフルーツ、アプリコットの香り、ミディアムボディで、適度な酸味、余韻にグレープフルーツのような苦味。

海老とアボカド入りパスタと組み合わせると、ワインはパッションフルーツのような南国の酸味のあるフルーツの香りがします。
バジルと相まっていい香り~♪

料理とワインの重さもいいバランスでした。
オイルベースのややコクのあるパスタに、ワインの果実味が豊かさを与えてくれました。

ジェノベーゼのパスタとワインの相性がとても良かったので、翌日、記憶に蘇ったのは、ジェノベーゼの風味とワインの相乗効果の余韻でした。
一瞬だけですが。(間違っても二日酔いじゃないんですよ。)

ヴェネト州のソアーヴェ

ジェノベーゼのソースが美味しかったので、早速リピート。
2度目はシーフードとブロッコリーのジェノベーゼ和えにしました。

ブロッコリー、新じゃが、タコ、海老に、たっぷりジェノベーゼ
(お皿についたソースはパンに付けて完食)

セブンイレブンにタコとブロッコリーの惣菜がありますね。
あれのアレンジバージョンです。
海老とジェノベーゼも合いましたが、タコとジェノベーゼも美味しいです。

この料理に合わせたのは、ヴェネト州のソアーヴェです。

テヌータ・サン・アントニオ ソアーヴェ モンテ・チェリアーニ 2019
Tenuta Sant'Antonio Soave Monte Ceriani

左側のソアーヴェ

このワインも数回リピートしています。
ブドウ品種は、ソアーヴェといえばのガルガネーガ100%。
ワインの香りは、白桃、柑橘類。果実味と酸味のバランスがよく、軽いミネラル感があります。
料理と一緒にいただくと、ワイン単体よりも、コクと旨味が増します。
相乗効果ですね!予想どおり、料理とワインがよく合いました。

ソアーヴェがつくられるヴェネト州は、州都がヴェネチアです。
ヴェネチア特有のバール、「バーカロ」ではソアーヴェやプロセッコが人気だそうで、日本でも良く見かけるので、ご存知の方も多いと思います。

ちなみに、先程の写真の右側は、より軽いソアーヴェで、2千円しませんでした。
このような気軽なソアーヴェや、シュワシュワしたプロセッコのようなスパークリングは盛夏にいいですね。

あと、ジェノベーゼといえばジェノヴァでしょと。
ジェノヴァはリグーリア州の州都です。
リグーリア州のワインとジェノベーゼパスタを合わせるとすると、ピガートがいいそうです。
ピガートはリグーリア州の希少な品種で、ヴェルメンティーノと遺伝子的には同じと言われます。
1度飲んだ印象は、ミネラル感があり、ボディがあって、その時は秋だったので、真鱈の白子のグラタンに合わせました。
ピガートはあまり見かけませんが、運が良ければ、リグーリア州ならではのジェノベーゼとピガートの組み合わせで、地中海沿いの風景に想いを馳せるのもいいのではないでしょうか。

⛵️ ⛵️ ⛵️

以上、いかがでしたか。
イタリア北部の白ワイン、試してみたくなりましたでしょうか。
今回ご紹介した3種類の白ワインは、ドライながらコクのあるタイプなので、秋の初めまでオススメできます。

梅雨明け後、ほんとに暑い日が続いてますね。
フォローさせてもらってる日本ワイナリーさん達も、「日当たりのいいブドウ畑は暑い」「今年は収穫が早くなりそう」とつぶやいていらっしゃいます。
外でお仕事される方など、どうぞ、お身体お大事になさって下さい。

最後までお読みいただきまありがとうございました🥂

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