酒嫌いだった若者

自分は初めからワインが好きだった訳ではない。むしろ、アルコール飲料自体嫌いだった。

自分が大学生だった1990年後半から2000年前半は、今とはまるで様相が違った。サークルと言えば飲み。大学時代はバドミントンサークルに所属したが、それが間違いの始まりだった。当時自分の周りはバカみたいに飲み、酔いつぶれる人に溢れていた。酔いつぶれることが目的としか思えないような飲み方をしていた。酒自体も有体に言ってマズかった。学生が飲み放題コースで頼むものなので、ある意味当然だが。それでも多くの人にとっては何も問題はなかった。アルコールが入っていさえすれば良かったのだ。今でも高田馬場を訪れると、あれは一体何だったのかと思う。

3年生のときに幹事長に任命された。飲みサークルであるにも関わらず、代々バドミントン経験者(小/中/高)が就く傾向があり、自分もそれだけが理由で選ばれた。酒が強い訳でもなく、はっきり言ってやりたくなかったが、結局引き受けた。しかし、今にして思えばこの時にサークルを辞めておくべきだった。

「ビンだ、ビンだ♪」とかをする意味が分からなかった自分は、練習後の飲みには殆ど参加しなかった。幹事長が飲み会に参加しないということは、当時の常識からすれば考えられないことだろう。サークルの運営は実質私以外の幹部が担っていた。彼らには多大な迷惑を掛けてしまったが、助けてくれたことに感謝している。

大学卒業後、大学院での2年間を挟み、大手SIerの子会社に就職した。大学時代で酒が嫌いになっていた私は、社会人になっても同じようなノリで飲むことになるのかとビクビクしていたが、全くそんなことはなかった。新人研修期間に同期と飲むことはあったが、現場配属以降は年末年始や人の異動のタイミング以外殆ど飲み会は開催されなかった。酒を飲まなくてよいというのは、何て素晴らしいことかと思ったものだ。今になって思うと、この期間は酒嫌いを治すのにちょうど良いリハビリだったのかもしれない。

経済学を専攻してきた私にとって、現場配属後はプログラミングに悪戦苦闘、残業の日々が続き毎日が必死だった。それでも、次第にコツがつかめるようになると、残業時間等は大きく変わらないが、心に余裕が出てきた。それと同時にある1つの問題に気が付いた。私は何1つ趣味と呼べるものを持っていなかったのだ。

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