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「急性」と「慢性」という病気の切り口①

みなさんも、病気を「急性○○○○」とか「慢性○○○○」とか呼び分けているのを見かけることがありますよね。

これらの「病気の切り口」にどんな意味があるのか、そしてどんな違いがあるのか。この記事ではそれをざっくり理解することを目指します。長くなってしまうので、本日は「前編」とさせていただきます。

今日の内容は、「ホメオスタシス」です。

実は使える「ホメオスタシス」の知識

「でた!医学とか生物の授業を受けてると、ぜったい最初の方に出てくるやつ!」

「『ほめおすたしす』って言葉、なんか知らんけど、テストで覚えたよな!あれ結局なんやったんやろな!」

って声が聞こえてきそうです(笑)

気持ちは本当によく分かります!

「結局、どう役に立つのか分からず覚える知識ナンバーワン」ですよね。

ぶっちゃけ、右も左も分からない医療系学生の最初の頃に、こんな抽象的な言葉を覚えさせられても、その後の勉強に活きませんよね。いわゆる「勉強のための勉強」の代名詞な気がします。

でも実は、この言葉のニュアンスを知っておくことは、臨床で「じわじわ」役に立ちます。これからのわたしの記事でも繰り返し登場しますので、ここで「ざっくりとしたイメージ」だけ掴んでください。今日はその話です。

身体は、ワガママな細胞たちが最適なパフォーマンスを発揮できる環境を常に維持している。

窓から外をみていると、鳥が翼を広げたまま、空中に静止している姿を見ることがあります。

バタバタ羽を動かすわけでもなく、大きく姿勢を変えることもなく、ただ風を受けて空中でじっとしている。よく見ると、ピクピクと身体のあちこちが動いている様子も見えて、「実は全身の力の入れ加減・抜き加減を調整している」んだな、とわかります。風の向きや強さは刻一刻と変わります。その変化に合わせてわずかに身体のあちこちの力加減を調整している。結果、大きな目でみると「まるで止まっている」かのように見える。

「ホメオスタシスってこういうことか。」

わたしたちの経験でいえば、バランスボールの上でじっとしている感覚に近いかもしれません。

体細胞は「労働条件」にうるさい

わたしたちを構成しているそれぞれの細胞はとってもワガママです。「温度と湿度が適切で定期的に換気をしてくれないと、ちゃんと仕事をしません」と言ってる社員のようなものです。つまり、われわれの細胞の営みは、「だいたい37℃くらい、pH 7.4くらい」という環境でないとうまくいかないようにできています(至適温度とか至適pHとか聞いたことがあるかもしれません)。

そのため、わたしたちには「刻一刻と変わりゆく環境の中で、生体内の環境だけは一定になるように維持しようとする仕組み」があります。

「やっぱり分かりにくい」と思われるでしょうか。分かりやすく例えましょう。わたしたちは夏の猛暑でも、冬の極寒でも、「体内の細胞たちは常にベストパフォーマンスが発揮できるように調整できる仕組みがあるのです。

そして、これらの「ホメオスタシス」を維持するための中枢も、やはり「脳」にあるのです。看護師国家試験でいえば、「体温調節中枢は視床下部にある」という知識が代表的ですね。

病気になった場合も、ホメオスタシスを維持しようとして、「いろんな代償機構」が働く

次回、急性疾患と慢性疾患の大きな違いについてこのホメオスタシスの観点から説明します。お時間の余裕のある方、よければ次回までに下記の質問の答えを(ふわっとで構いません)考えてみてください!

☆急性疾患と慢性疾患とではホメオスタシスの働き方にどんな違いがあるでしょう?(医療従事者の方は急性心不全と慢性心不全とで違いを比較してみてください)

※「ホメオスタシスといっても、あまりに急激な環境変化には速やかに対応しきれない」ということに着目して考えてみてください。


下記記事も参考にしてみてください。

参考記事

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