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血を吐いてもひとり(2022/10/18)

【ガラケー以前のおもひで】

今からもう20年くらい昔、川崎のアパートに一人で住んでいたとき。
胃潰瘍が悪化して胃に穴があき、太い血管を破り、大量吐血したことがありました。

ピューって。
噴水みたいにピューって、自分の口からどす黒い血が噴き出してくんのw

あ、やべ、止められない、どうしよ…とかとか思っているうちに、世界が急速に白くなっていきました。


ところで当時、時代は携帯電話以前。PHSが主流の頃でした。
PHSって携帯とは仕組みが違い、少し町外れに行くと全然繋がらなかったんですね。

例に漏れずその川崎のアパート周辺は、電波状況が非常によろしくなかった。


救急車呼べなーいww
このままじゃ誰にも気付かれずに死ぬ\(T▽T)/www


ああ、一歩だ。
一歩でいいから家から出なきゃ…。


立って歩いたのか這っていったのか転がり落ちていったのか分からないけど、急坂を下るとすぐのところにあった小さな内科のクリニック。
あとから聞いた話によると、僕は自力でそこまでたどり着き、

「救急車お願いします。たぶん胃です」

と告げて、完全に意識を失ったとか。

待ち合いにいた人たちが、ホラー映画のワンシーンのように椅子をガタタ!っと鳴らして立ち上がり、後ずさった気配はうっすらと感じました。
超怖かったと思う。口から血ィ噴きながら血まみれの人間がいきなり転がり込んでくるんだもの(謝)。


気が付いたら大きな病院に搬送されていて、

(あまりの痛みに救急車の中で目は一度覚ましたらしいですが。寝ないでください!意識保って!って救急隊の方が遠くで叫んでいたのもうっすら覚えている)

財布も鍵もそれから件のPHSも何も持たず(持てず)に家を出た僕は、一時身元不明の急患になっていましたが、おかげさまで2週間ほどの入院で生還しました。
保険証も持っていなかったため全額支払った医療費も、後日手続きをして3割負担で済みました。


(あとあと考えると、保険証は持ってなくてよかったんだと思う。先に身元が割れていたら、人体実験されていた大学病院に戻されてたと思う笑)


お医者さんの話では、失血性ショック死するかしないかのギリギリの出血量で、普通に考えればその状態で意識を保って自力で歩いて移動なんかできないはず、ということでした。

うーん、長年の骨髄疾患で貧血慣れしていたから…?

いやはや、何が幸いするか分からない\(T▽T)/


(↑貧血も発症中は病院に行くたびに「なんで立っていられるの?( ̄▽ ̄;)」と言われるので)

(知らんわ笑)


僕はメールも電話も滅多にしないほうでしたし、そのときはたまたま東京都内に引っ越す予定になっていて休職中でもあったため、室内で倒れていてもすぐに誰かが気付いてくれることはなかったはずでした。
もしあそこで家から出られていなかったら、何日くらい発見してもらえなかったんでしょうね。

自分の中では笑い話だけど、いざというときにどこからでも電話ができる今は本当に有り難い時代です。


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